ICTでくらべる

ICT教育とは、一言で言えば「教育のデジタル化」であり、パソコンや電子黒板、インターネットなどの情報通信技術を活用した教育のことである。 国によってこの教育の充実度は大きく異なっている。ICT教育はその国の将来に大きな役割を果たすことが考えられるため、重要視していく必要がある。

日本の教育におけるICT普及率はOECD加盟国で最低レベルであり、ほとんどICTが活用されていないのが現状である。それに対して他の多くの地域では活用度に差がありつつも、多くの学校でプロジェクターやデバイスを使用しており、教育の地域格差をなくすことにつながっている。

日本

OECDの生徒のICT機器活用状況に関する調査によると、学校の授業でのICT機器の使用が他国と比べ少なく、授業での使用時間はOECD加盟国で最下位である。それに加え、学校外での使用もチャットやゲームに偏っている。 また、コロナに際して行われたOECDの緊急調査では、日本の教育におけるICT機器の普及率は調査対象77カ国中、66位、教員のICT教授スキルに至っては77カ国中、最下位という結果が明らかになった。

アメリカ

アメリカは州によって教育のIT化の状況が異なるが、メイン州においてはすべての公立中・高校生にノートPCを配布している。また、カリフォルニア州の高校では、オープンソースのデジタル教科書を導入している。 また、データ管理のIT活用も進んでおり、各種テストスコア、名前・住所などの個人情報といった個別の生徒のデータの情報も簡単に確認することができ、それらはすべて教育区のサーバに保存されている。 授業内中でコンピュータを活用してコンテストに挑戦するなど積極的にICTを授業に取り入れる学校が多くある。ある学校では積極的にICTを活用することで、授業などで「デジタルシチズン」を育てるとの方針を示していた。

エストニア

エストニアは田舎が多く教育格差を生まれやすいと考え教材を電子化している学校が多く、ほとんどの学校でフリーWi-Fiを使用することができる。子供たちの間では自分のICT機器を学校に持ち込むBYOD(Bring Your Own Device)形式が盛んになっている。結果的に教育の地域格差がなくなり、教育のシステムとしても効率化されている。

オーストラリア

多くの教室にプロジェクターとスクリーンが備わっており、パソコンを普段の授業で活用している学校が多い。私立学校では独自のサイト上に授業で使用される日本でのプリント類のようなコンテンツをすべて公開して、授業中、生徒たちはそのサイトを見ながら学習を進める。そういった学習でのそれぞれの進捗は教師から確認できるような仕組みとなっている。様々な学校で共通していたのは、ICTが学習に自然に使用されているという点である。

シンガポール

シンガポールはIT先進国であり、教育にも積極的にITを取り入れられている。フューチャースクール(国がイニシアティブをとり、ICTの利用環境を整備、活用、教授法や実践内容をめざましく変革させることを目的とする国策)の指定をうけた小学校では、1人1台コンピュータが使える環境が整備されている。

ガーナ

教育の ICT をサポートするためのキャパシティー・ビルディングという取り組みが強化されてきた。取り入れられている例としては、国内の教員養成大学におけるICTの指導者が、学習のマイクロソフト・パートナー(PIL)プログラムの下で、教授=学習過程における技術を統合する方法の研修を受けている。こうした教員への教育を行うことで、ICT教育の促進をしている。

OECD

経済協力開発機構は、日本を含む38ヶ国が参加している国際組織であり、貿易や途上国支援を通じて国際的課題解決に取り組んでいる。

キャパシティー・ビルディング

キャパシティー・ビルディングとは、組織内で必要となる能力を養うことである。例えば、マネージメント能力やリーダーシップの発揮などが必要な能力にあたる。

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