署名
署名活動とは
署名活動は、特定の問題に関して、多くの人の賛意としての署名を集め、問題の意思決定機関に提出するなどして意見を反映させるための手段です。法的拘束力を持つものと、法的拘束力を持たず、意思決定に圧力をかける目的のものがあります。
法的拘束力を持つ署名
法的拘束力を持つ署名は、直接請求に関するもので、地方自治法に定義されています。
直接請求の種類について、
①条例の制定改廃の請求
②事務の監査請求
③議会の解散請求
④議員・長や他の役職員・各種委員の解職請求
の4種があります。
①条例の制定改廃 地方税の割り当て、徴収や分担金、使用料、手数料の徴収に関するものを除く全ての条例に対して行うことができます。 ②事務の監査請求 地方公共団体の行っている仕事全般に対して、監査委員の調査を請求することができます。 監査請求には住民監査請求というものもあり、これは財務会計上の行為が違法若しくは不当であるとされるときに住民が監査を請求できるというものです。署名は必要なく、住民一人の請求でも受け付けられます。
また、これらのうち議会の解散請求と議員・長の解職請求については、住民投票が行われ、過半数の同意があったときに、議会は解散し、議員・長はその職を失うことになります。
また、これらの署名運動については、濫用を防止するため、罰金や懲役、禁錮をともなう厳重な規制が加えられています。
四年以下の懲役もしくは禁錮または百万円以下の罰金
暴力もしくは威力を行使して署名をさせた、 交通・集会の便を妨げる、演説を妨害するなどして署名の自由を妨害した
三年以下の懲役もしくは禁錮または五十万円以下の罰金
署名数の増減や請求に必要な書類や署名簿を奪ったり破いたりする妨害行為をした 選挙権を持つ他人の名前を無断で使用した 選挙権を持つが、なんらかの理由で署名できない人の名前を使用した。委任を受けた場合でも代筆した人が署名をしないまたは偽名を使った
二年以下の禁錮または三十万円以下の罰金
国や地方公共団体の公務員、行政執行法人、特定地方独立行政法人の役員若しくは職員がその地位を利用して署名運動をした 沖縄振興開発金融公庫の役員又は職員がその地位を利用して署名運動をした
十万円以下の罰金
政令で定める請求書や請求代表者証明書を付していない署名簿、政令で定める署名を求めるための請求代表者の委任状を付していない署名簿、その他法令の定める所定の手続によらない署名簿を用いて署名を求めた 政令で定める署名を求めることができる期間外の時期に署名を求めた
その他の署名活動
署名を提出された機関には要望を受け入れる義務はありませんが、これらの署名活動も大きな力を持っています。 1954年、アメリカが太平洋ビキニ環礁で行った水爆実験によって、焼津港を母港とする第五福竜丸をはじめ、マーシャル諸島島民や周辺海域で操業していた日本などのマグロ漁船が被曝などの被害を受けた「ビキニ事件」への抗議として全国各地で自発的に沸き起こった署名運動は、3000万筆以上を集めたとされており、1955年の第一回原水爆禁止世界大会の開催にまで発展しました。
ネット署名
このような署名活動では、インターネットで署名を集めることもあります。このような活動はネット(インターネット)署名、オンライン署名、ウェブ署名などと呼ばれます。 国会や公的機関への請願や陳情については、署名は原則として直筆でなければならないため、ネット署名は法的な拘束力を持ちません。 ネット署名には専用のサイトもあり、2007年にアメリカで発足したchange.org(チェンジドットオルグ)では、1か月に1万5000件以上もの世界中の署名活動がネット上で公開され、世界196カ国で4億人を超える人々が利用しているとされています。フェイスブックやツイッターなどのSNSとも連携して広く拡散できるほか、サイト上での活動がメディアに取り上げられることも多く、手軽さと爆発力で、主に若者の社会運動の手段として注目を集めています。
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