米議会襲撃事件

海外での政治活動の有名な例として挙げられるのが、2021年1月6日に起こった米議会襲撃事件です。

この事件は、2020年に行われた米大統領選挙で、共和党のドナルド・トランプ氏が、民主党のジョー・バイデン氏に敗れたことを受け、トランプ氏支持者が議事堂の前に集まって抗議デモを行った際に、一部の過激な支持者が議事堂内に無断で立ち入ったことで起こりました。警官1人を含む計5人が死亡し、少なくとも570人が逮捕されるなど、大変悲惨な結果に終わりました。この襲撃を「民主主義への脅威」として糾弾したメディアも数多くありました。

このような事件の発生には、アメリカの政治的背景や、当時の社会情勢が深く関わっています。アメリカでは、約150年前から一貫して共和党と民主党による二大政党制の政治が行われてきました。基本的に選択肢が2つしかないため、自分の政治信念に基づいていずれかの政党を長期的に支持することが多く、熱狂的になりやすい傾向があります。その信念が引き金となって、米議会への襲撃といったような一線を越えた行動に出てしまうのです。

次に、今回の大統領選挙は、コロナ禍で行動自粛が求められていたことにより、普段の選挙と大きく違う点がありました。郵便投票の割合です。2016年の大統領選挙では、全体の23.5%に当たる約3,300万人が郵便投票を行いましたが、2020年では約46%と倍増しました。よって、注目が集められ、手違いや不正のリスクについて問われることになりました。特にトランプ氏は、郵便投票の大半が民主党への票であることに危機感を覚えたためか、開票が終了後もこの制度を「不正選挙だ」と主張し、支持者に抗議を行うよう煽動しました。各州で票の再集計が行われたにもかかわらず、不正を主張し続けてこのような事件を招いてしまったことは非常に痛ましいことです。

次へ><戻る