インタビューやワークショップの開催など多くの方々の協力 のもと様々な活動を行いました。 インターン、ワークショップ、インタビューなどを中心にここでしか聞けない貴重なお話も紹介しています。
iiMaquet
食品ロス削減を目指したソーシャルショップ
iiMaquetは2019年5月に世田谷区野沢にオープンし、廃棄されてしまうはずであった野菜、果物、牛乳などといった様々な食品を小売店から買い取り、リーズナブルな価格で販売しています。 現在では、インターン生の受け入れやワークショップの開催など、若い世代への教育の実現も図ろうとなさっています。今回私たちはこのiiMaquetで開催された「親子と学ぶワークショップ」のオブザーバーとして参加させていただいた他、このiiMaquetの経営者である山中善昭さんにインタビューをさせていただきました。
山中さんにお話を伺いました。
元々は百貨店に勤務なさっていましたが、その後ネット通販で利益をあげます。その後、本を読みたくても読むことのできない人々がいる現実を知り、ネパール、そしてカンボジア、インド、ラオスに図書室を寄贈しました。そして東日本大震災の時には避難所にミニ図書館を寄贈します。しかし事業の利益の一部を社会貢献事業にあてること疑問を感じ、利益の一部ではなく、 事業そのものが直接、社会に貢献できないかと考えていました。そうした中、2018年に東京にいる友人から「食品廃棄が大量にあり、もったいなくてしょうがないので、なんとかできないか」という相談を受け、そこで食品ロスを無くす事業に挑んでみようと決意し、今のiiMaquetに至ったそうです。
廃棄されてしまう食料をレスキュー
iMaquetでは、企業から納品期限や販売期限切れの食品を適価で買い、リーズナブルな価格で消費者に販売をなさっているそうです。実際にトラックから野菜を積み下ろす様子
店いっぱいに並べられる野菜
店頭に並べられた野菜はほとんどなくなるそうです。本来ならばスーパーで廃棄されるはずだった食品が、1年で300トン分レスキューされています。
そもそもどうしてスーパーではこんなにもまだ品質のいい野菜を長く店頭に商品を並べ続けることができないのですか?
それには「3分の1ルール」が大きく関わってきています。3分の1ルールでは食品を作った日から賞味期限までを3等分し、納品期限や販売期限までに食品を納めたり、売ったりしなくてはならないんです。そして販売期限が切れたものは、大体の場合すてられてしまいます。
どうしてお店とかで割引して無理やりにでも、売らないのですか?
お店としても割引をするということはそのものの価値を下げるということです。例えば、 割引されたトマトと普通の定価のトマトが同じ店に置いてあったら、割引されたトマトが売れて、定価のトマトがあまり売れなくて、利益がでませんよね。
なるほど。。
やはりお店では、食品を廃棄した方が楽かつ早いから、どうしても経済的利益を優先させてしまうんですね。 だから私たちiiMaquetでは販売期限を過ぎた食品を適価で買って、安くしすぎないリーズナブルな値段で販売し、お客様にも理解してもらえるようにしております。 目指すは「アップサイクル」で、私たちiiMaquetでの野菜や果物を販売することで、商品の価値を高めていきたいです。
そうなんですね。それでは、スーパーやコンビニとかで、食品が余ってしまうのならば、それを0円で販売すれば、食品ロスはなくせるのではないかと私たちは考えていたのですが、それはつまり「食品の価値を下げる」ということになってしまうということですか?
はい、そうです。私たちも実際にどうしても売れなかったものを、たまに店の前の「ご自由にどうぞ」というところに置いています。 でも「無料」ということにするということは、その野菜や果物の価値をゼロとしてしまいます。もちろんその野菜の利益が出ないということもありますし、これ目当てに来るお客さんが出てきて、普通に売っている食品が売れないという可能性も出てきてしまいます。 だから、私たちは「アップサイクル」を目標として掲げています。アップサイクルとはリサイクルから一歩進んだ試みで、「より価値が高いモノを生み出していく」という意味合いがあります。 廃棄されてしまうはずであった食品をiiMaquetで売ることで「食品ロス削減に貢献できる商品」として価値を高めることができると思います。
食品ロス削減×若い世代へ教育
これからなさっていきたいことは何でしょうか?
実際に「食品ロス削減の対策を行う店」として食品ロスについて情報発信していきたいですね。
iiMaquetではおよそ年間300トンの廃棄されるはずであった食品を売っています。しかしこれは全国で年間600万トンを廃棄する日本の食品廃棄量に比べると本当に少ないです。でもこの小さな努力も無駄ではありません。そして私たちiiMaquetについて知ってもらい、iiMaquetを通して食品ロスという問題についても多くに人に知ってもらいたいですね。
それでは今回の「親子と学ぶワークショップ」もそういった思いから?
そうですね。今回の「親子と学ぶワークショップ」に参加してくれた子がこれをきっかけに食品ロスといった社会問題につて考え、関わってくれたらなおさら嬉しいですね。 これからも、店の運営とともに、食品ロスについての「教育」ということにも力を注いでいきたいです。
親子と学ぶワークショップ開催
上でも紹介したiiMaquetにて後日、私たち自身「親子と学ぶワークショップ」を開催させて頂きました。
食品ロスについての勉強
作成したスライドをなぞりながら食品ロスの概念、原因、問題点、今からできるアクションプランなどいくつかの観点から食品ロスについての授業をしました。また、私たちが一方的に講義を行うのではなく内容をアウトプットできるような構成にしました。 最後に「ぼく/わたしのアクション宣言」という形で食品ロス削減のために明日からできるアクションプランを記入してもらいました。明日から取り組めるアクション宣言をすることによって問題が参加者が問題を自分ごとにすることを目的にしています。 記入後には数名の方に宣言をシェアしてもらいました。レジ体験
開店後、小学生とともにレジ体験を行いました。商品のバーコードの読み取りや、お釣りやレシートの受け渡し, 客さんへの声出しなどをメインに小学生をサポートしました。小学生の子たちにとっては初めての作業でしたが、積極的に参加してくれました。感想
ワークショップの構成、コンテンツなど全て一から作ったため当日まで全く手応えが掴めず大変でした。また小学生たちに、どのようにしてわかりやすく説明するのかというのが私たちの中での不安要素でしたが終了後は満足した様子が見受けられ嬉しかったです。 今回のワークショップが子供たちの将来の食生活や消費活動の役に立ったたら、私たちとしても未来につなげることができたような気がして嬉しいです。参加者の感想の一部
・内容も食品ロスの現状について初めて知る事が多く、気付きを得ることができました・子ども達と共にお店の開店準備をさせていただき、またレジも体験させて頂き貴重な体験の機会をさせていただきました。息子も初めは私(母)に勝手に申し込まれてしまったのですが今日参加後は満足な様子でした。ありがとうございました。
・食に対する考え方もこれを機に変わった気がします。ありがとうございました!
・分かりやすい言葉で丁寧に伝えて頂いたので 良く理解することが出来ました。 高校生も知識が深く、 感心しました。
フードエコロジーセンター
相模原市にあるフードエコロジーセンターに行ってきました。そして工場内を見学をさせてもらった他、高原さんにお話を伺いました。フードエコロジーセンターについて、そして工場内の様子について、下の動画にまとめましたので、まずは再生ボタンをclick!
循環型をつくる
動画内でもあった通り、仕組みとしては食品事業者から、捨てられる予定の食品をレスキューし、フードエコロジーセンターに運ばれ、豚の飼料と加工されます。新たな価値を生み出したその飼料は養豚工場へ出荷され、豚の栄養となります。 そしてその豚は再び食品事業者のもとで販売される、という循環を生み出しています。安心して食べることのできる飼料
人間の食べ物を豚に与えて、大丈夫なんですか?
はい、そもそも豚さんが食べることのできるものを沢山もらっています。人間が調理した後のものよりも、 調理する前の野菜だったり、パンだったり、トルティーヤの生地だったりをもらっています。ですので、豚さんも安心して食べることができます。このようにして、循環システムが成り立っています。
そうなんですね!
工夫された飼料
このエコロジーセンターでつくられた豚の飼料が他の飼料と異なる点として、液体状であるということです。たいていの飼料は粒状のものですが、液体となっているのにはいくつか理由があります。まず、水をとばすにはエネルギーが必要ですので、それをカットし、環境に優しく作ることができるからだそうです。
また、豚さん的にも、液体ですと、粉末のように肺に入ってしまうことがなく、健康面的にもよいという利点があるそうです。
SDGsについて話しました!
襟元についているのはSDGsのバッチですか?
はい、そうです(笑)私たちの活動もまさにSDGsに沿うようなものですので、社員はこれをつけています。
でも、私たちのこの工場は2005年に創業されましたけれど、当時は「SDGs」などと言った言葉もなく、 「食品ロス」もあまり知られていないような時から、この事業をやっておりました。ですので、ちょうど私たちのやっているようなことがSDGsの「持続可能な開発目標」と重なっていったという感じです。
そうなんですね、なんだかかっこいいです。
ありがとうございます。ですので、最近、沢山の企業が「SDGs」という名を使い、宣伝していますが、それは結局社会にとってプラスなのかマイナスなのか、わからないのです。 ですので、みなさんも、「SDGs」っていう名前ではなく、中身に注目して欲しいです。その企業は実際どういったことをやって、それがどう社会にプラスなのかってことを。
なるほど、しっかり自分で確かめなくてはいけないんですね。
はい、そうです。なんでも鵜吞みにしてはいけません。私が正しいかどうかでさえ皆さん自身で考えなくてはいけませんが、 自分のこの会社は絶対に社会に役立っていると自信を持っていますので、こうやって皆さんとお話をし、工場内もすべて見学してもらっています。(笑)
そうですね。自分の目で見て、頭で考えることが大切なんですね。
情報発信
現在フードエコロジーセンターでは工場見学(新型コロナウイルスの情勢によっては中止)やオンラインでの講話、など情報発信に力を入れているそうです。感想
フードエコロジーセンターさんのビジネスモデルは「社会問題の解決」と「ビジネス」を両立していて、「社会問題解決を目指すビジネスはビジネスとして成立しにくいのではないか」と考えていた私にとって衝撃的な体験でした。
フードエコロジーセンターさんの様な循環型ビジネスがどんどん日本に普及していくといいなと思いました。
高原さんの言葉一つ一つから、ご自身が関わっていらしゃる事業への誇りを感じました。高原さん、たくさんの貴重なお話ありがとうございました!
nue by totoya
ごみの出ないゼロウェイストな量り売り専門店「nue by Totoya」に取材させて頂きました。
totoyaのホームページはこちら
量り売りで無駄な包装をなくす
nue by totoyaではすべての食べ物を量り売りで売っています。店内にはナッツ類や豆類、ドライフルーツ、そば、はちみつなど様々です。
商品の多くはヨーロッパから認証されたオーガニック食材を輸入しているそうです。
お客さんに持ってきていただいた容器の重さを測ってから、それぞれが食品を欲しい分だけ入れ、お会計の時に容器の重さを引いた食品の重さに応じて、値段が決まるそうです。
買い方
①持参の容器の重さを測り、色鉛筆で記入する
②欲しい分だけ食材を入れる
③お会計
まとめて入荷する
totoyaさんではスーパーやコンビニなどのように、毎日毎日商品を入荷し、常に商品を店頭に並べて置く状態にするのではなく、まとめて食品を入荷し、輸送費や放送を削減しています。
まとめてだと、商品がなくなったりしてしまいませんか?
やっぱり、なくなってしまう時もあります。常に店頭にあるというのではなく、あるものをお客様に買っていただいています。 そこのところは、お客様にもご理解をいただいて行なっています。
確かに今の私たちって、「常に店頭にある」ということが、当たり前になっちゃっているんですね...。
⑤モデル店として量り売りを広めていく
現在ではtotyaさんではモデル店として量り売りの講座を行なっています。オンライン形式と、実際にtotoyaで行なう形式の2つの方法で行なっています。どういった思いからこういった量り売りの講座を行なっているのですか?
はい。私たちtotoyaだけがやっても、遠い所に住んでいる人とかは利用できません。 なので、こういったゼロウェイストな量り売りショップが全国各地でそれぞれの地域に根付けばよいなと思います。
これからも量り売りをする人が増えると良いですね。
そうですね。やっぱり実際にお店で量り売りをしてもらって、楽しいと思っていただけたら嬉しいですし、 何よりも家に帰った時、ゴミが全くでなくて気持ちいいって思ってもらえると思うんです。
そうですね!
無人販売機 fuubo
捨てられるはずのお菓子やコーヒーをリーズナブルな価格で販売する無人販売機「fuubo」。
今回はその「fuubo」の発案者であり、食品ロス削減を目的とした事業を展開している株式会社みなとく代表の沖杉大地様にお話を伺いました。
事業を始めたきっかけ
沖杉さんは大学在学中にバックパッカーとして様々な地域を訪れます。「ギブミーマネー」と手を差し出す子供たちにクッキーをあげたところ笑顔でほうばる姿をみたことをきっかけに世界の食料問題の矛盾に疑問を抱き、その後、食品ロスに真剣に向き合おうと起業されました。 現在、株式会社みなとくでは食品ロス削減アプリ「No Food Loss」、フードロスBOX「fuubo」を開発・運営しています。また売り上げの一部を支援団体に寄付しています。ライバルはコンビニ
1日約7000円分の食品ロスを出しているコンビニ。この現状を解決しようと食品ロス削減アプリ「No Food Loss」を開発します。しかしそこで気づかされたのは食品ロスを捨てれば捨てるほどコンビニの本部は得をするということ。この問題に対してひとりの力で解決しようとするのではなく食品ロスを生み出すシステムから変えていかなければいけないと強く感じたそうです。 コンビニが食品ロスを出すのであれば、食品ロスを全く出さない小売店を作ろう!と思い、そこでできたのがフードロスBOX「fuubo」です。フードロスBOX「fuubo」
「fuubo」は三分の一ルールなどによって通常の価格では販売することができない商品を販売している無人販売機です。主に大手食品メーカー「Nestle」の食品を扱っています。オンライン上で事前に商品を購入し、購入した際に発行されるワンタイムパスワードをつかって商品を取り出します。全国6箇所に設置されています。世界一の食品メーカーと契約
沖杉さんは食品ロス問題を日本に限らず地球の問題と捉え世界一の食品メーカーである「Nestle」と契約しました。
資本主義の成れの果てが食品ロス?!
日本では大量生産・大量消費の定着によって食品ロスが当たり前になっているのが現状です。環境省主導で行われる「エコアクションポイント」は大量生産・大量消費の考え方を変えるきっかけになるそうです。「エコアクションポイント」とはエコアクションに特化した全国共通のプログラムです。 国が主導で行うことで私たち国民の意識が変化していくことを期待したいですね!「fuubo」の未来
「fuubo」は安く売ることが目的でありません。商品そのものの価格を下げるのではなく「fuubo」を開けることに付加価値を与えることで安定して利益を得ることでより多くのに利用してもらうことが目的です。今後はfuuboの台数の拡大を検討しているそうです。人々の生活に身近な存在となり、fuuboがないと食品ロスがでてしまう、しかし、fuuboよって食品ロスゼロとなる、そんな社会を目指しているそうです。 それはまだまだ先のことですが、決して諦めてはいけない、と熱く語られていらっしゃいました。
感想
沖杉さんの「食品ロスをゼロにしたい」という強い思い、そして明確に目標も持ち実際に行動している姿がとても印象的でした。食品ロス問題は安いから買うというという解決方法では解決しません。食品ロスを購入すること大袈裟にいうと社会に貢献することに価値を見出す人が増えていく必要があると感じました。インスタグラム
現在、私たちはインスタグラムで、食品ロスについて情報発信をしています。これからもワークショップの開催やコンポスト教室など様々な活動をしていきたいと思っていますので、
ぜひ興味のある方はご覧になってください。