医療のあり方

解剖について

自分がたとえどんな死に方をしても解剖される可能性があります。また献体という解剖学習のため自分の体を提供するなどということを希望する場合自分の親戚などに自分の死後の対応をしっかり伝えておくことが大切になります。また遺族の方はそのような話をしっかりと覚えておいて死後の対応をするべきだとおもいます。ここでは解剖の種類4つを紹介していきます。

正常解剖

 

とは?

人体の構造を調べるために行う解剖のことです。別名系統解剖とも言い、有名なのは江戸時代後期に杉田玄白らが行い「解体新書」を著したことです。昔は人体の構造を調べるために行われていましたが今では医学の進歩したため医学部や歯学部の学生などが教育の一環として解剖学実習で行われています。最近では医学部や歯学部の学生だけでなく看護師や理学療法士(リハビリの専門職)、歯科衛生士などの様々な医学分野の人が行うのが主流になってきました。

遺体はどこから?

解剖に必要な遺体は故人(亡くなった人)の献体の遺志(死人の生前の意志)に従い遺族が提供してくれたものを使っています。そう考えると自分たちの一番身近な解剖かもしれません。昔は死刑囚の遺体を使うこともありましたが、今は献体の希望者が多くなったため死刑囚の遺体を使うことはあまりなくなりました。献体をするには生前から大学に登録しておく必要があります。

お葬式はどうするの?

提供するには死後48時間以内に大学に運ばなければいけないため葬儀をあげるならその間にやらないと遺体がない葬式をすることになります。また搬送費と火葬費は大学が負担してくれる制度があります。

使った遺体はどうなるの?

1〜3年で遺族の元に帰って来ます。

②病理解剖

とは?

病気で亡くなった人の死因を特定したり生前の診断や治療法があっていたのかを確認するために行う解剖のことです。大体は臨床医(患者と直接接して診察や治療を行う医師)が遺族の承諾を得て病院内で行われます。解剖結果は報告書として出され医師の間で共有され、今後の診断や治療の大事な資料になります。

使った遺体はどうなるの?

1ヶ月〜数ヶ月後に清拭され遺族に返されます。

③司法解剖

とは?

よくニュースなどで流れる種類の解剖のことで、事件性がある死体(他殺、自殺、事故)の死因を解明するために行われるものです。ただし事件性のある死体すべてが解剖されるわけではなく事件担当者の警察や検察が解剖するかしないかを判断して行われます。このとき遺族の意見は通りません。執刀医は主に高度な技術を持った法医学者が執刀します。ただし優秀な法医学者や司法解剖の整備、行うための予算が不足しており解剖率は約12%と低いことが国内の問題の一つになっています。

使った遺体はどうなるの?

警察や検察が「死亡検案書」を発行するまで遺体は帰ってこず葬儀をするのも難しい状況になります。

④行政解剖

とは?

事件性はないと判断された遺体の死因を調べるのを目的としたものが行政解剖というものです。この解剖も遺族の承諾なしに行うことができることがあります。しかしそのかわりに東京23区、大阪市、横浜市、名古屋市、神戸市のみでしか解剖を行うことができません。承諾があった場合は上記以外の地域でも解剖を行うことが可能になります。

遺体はその後どうなるの?

司法解剖と同様に警察や検察が「死亡検案書」を発行するまで遺体は帰ってこず葬儀をするのも難しい状況になります。

司法解剖の問題

現状

ここでは最近問題になってきている司法解剖の解剖率について説明します。2009年のデータですが下の図を見てもらうと分かる通り日本の司法解剖率は約11%であるが北欧は70〜80%、英国やオーストラリアでは40〜50%全世界で見てとても低い傾向にあります。

⬆警視庁のデータより
理由は3つほどあり
①もともと日本に解剖という文化がない
②費用の不足
③人材不足
ということが挙げられます。
①からは解剖の文化がないことにより解剖にあまり良い印象を持っていなかったり身内や自分が解剖されるのに抵抗がある人が多いです。
②からは国が財政的に解剖の費用まで出せなくその影響で解剖できる環境が整わないのが問題になっています。
③からは解剖を行う法医学者が全国に150人しかいないという圧倒的な人材不足により解剖するのがとても難しい状況にあります。
この大きな3つの理由が重なり解剖率が非常に小さいと考えられています。

今後の課題と医療解剖で私達にできること

ではこの問題を解決するにはどうしたらいいのかというと解剖は悪いものではなく良いものだというイメージをもっと世間に広めていくことと、もっと多くの人材を確保、そして国の費用を今以上に増やしてもらい解剖できる環境をちゃんと整えることが大切だと思います。そのために私達ができることとしては解剖に対して理解を深めなるべく前向きに検討することが大切です。司法解剖では自分たちの力ではどうにもなりませんが病理解剖や正常解剖などに自ら献体したり遺族に海保いうを受けさせ今後の医療に貢献しくことができればもっと日本の医療が発展すると思います。

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