私たちは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の取材をさせていただきました。
このページでは、実際にNEDOに私たちが考えたいくつかの質問に答えていただき、わかったことなどをまとめています。質問は計7つです。
燃料電池だけでなく、石油・化学・金属・ガラス・食品まで、あらゆる工業用途に使われています。
今は発電用燃料として注目が高まっていますが、もともと水素は隠れた万能選手で、水素が持つ強みである強い還元力を生かして産業分野で活躍しています。
石油コンビナートでは石油の精製、石油化学分野ではプラスチックの添加剤など様々な用途で水素が大量に利用されています。
代表的なものだと電気自動車(EV)が挙げられます。
EV内にも様々な種類がありますが、特にBEVと呼ばれるガソリンを使わずバッテリーだけで動く電気自動車に、再生可能エネルギー由来の電気を入れればクリーンなエネルギーで走る自動車と言えます。
水素以外の燃料という観点だと、バイオ燃料も挙げられます。
バイオ燃料は、植物油を主とする生物体(バイオマス)のエネルギーを利用した燃料を指し、他にもミドリムシなどの微生物や、植物油、樹木や木材、生ゴミ、家畜の糞尿などの有機系廃棄物もバイオマス燃料にすることができます。
特に水の電気分解では、「水電解装置」と呼ばれる機械を使って水素を作っています。 また、機械には現在「アルカリ型」と「PEM型(固体高分子型)」という
2つが商用化に近い水準であります。
「アルカリ型」は、アルカリ性溶液を用いて水電解を行うもので、白金等の希少金属を使う必要がないため比較的低コストで大規模化に向いているという特徴があります。
一方、「PEM
型」は、燃料電池の技術を応用したもので、同じ面積に流す電流(電流密度)がアルカリ水電解に比べて高いため電解槽を小型化でき、再エネのような変動電源に対応可能です。NEDO
ではどちらかに絞るのではなく、相互補完を目指して「アルカリ型」と「PEM 型」の両方を同時に進めています。
水素を作るコストは、現在約1200円/kgですが、2030年に約300円/kg、2050年に約200円/kgを目指しています。
水素を作る時間は福島県浪江町にある水素製造施設の「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」では1時間で約100kgの水素を製造できます。
これは燃料電池自動車(トヨタMIRAI)約30台分に相当する水素量で、世界有数規模の水電解装置になります。
現時点での水素製造量では間に合いません。
しかしながら世界中でつくる、ためる、はこぶのサプライチェーン全体で技術課題の解決、拡大に向けた取り組みを行っており、(世界全体で90兆円ほど)需要の増加に合わせて供給も増加を目指しております。
しかしながら現状世界で立ち上がっているプロジェクトの多くが製造(供給)に関するもので、全体を見ると実は利用(需要)に係る技術開発の方が弱い(盛り上げていかないといけない)状況です。
また、水素需要の本命は、発電とされています。
大型(100
万 kW 級)発電機で、FCV200万台ほどの水素需要を生み出せます。
そのため今後水素自動車の拡大の需要よりも、発電のための水素需要の方が大きくなると予想されます。
水素は、利用時にを排出しないエネルギーのため、クリーンエネルギーと呼ばれています。しかしながらご質問いただいたように火力発電などで水素を製造すると、製造時に多くのCO2
を排出してしまいカーボンニュートラルに貢献できなくなってしまいます。
そのため再生可能エネルギーを使って水素を製造する取り組みが全国でも広まっています。
再生可能エネルギーが普及すると昼間に供給量が需要量を上回ることが増えますが、その余剰分で水素を製造すると長時間ためておくことができるので、効率的な水素の製造、利用となります。
現時点ではそのまま水蒸気または水として、排出されるのみで活用はされておりません。
発生する量も1km走行して60ccほどです。
同じ原理で動いているエネファームでは、発電する際に発生する熱でお湯を沸かすなど、有効活用しています。