燃料電池自動車(燃料電池車・FCV)は、車両に搭載する燃料電池で発電し、モーターを動力にして走る電気自動車のことを指します。
燃料電池の原理は古くから知られており,「夢のエネルギー」とされていましたが、2010年代になり、ついに実用化の段階を迎えました。
「究極のエコカー」と呼ばれる燃料電池自動車(FCV)は、国産車ではトヨタの「MIRAI(ミライ)」とホンダの「クラリティFUEL
CELL」が市販されており、次第に普及が始まっています。
水素自動車ではガソリンで動くエンジンとは違ったエンジンが搭載されています。
それは、水素エンジンです。
水素エンジンはこのような仕組みで動きます。
1.空気中から酸素を取り込みます。
2.燃料電池の発電方法である水素と酸素を反応させて電気を発生させます。
3.2で発生した電気を使い、モーターを動かします。
一つ目のメリットは「二酸化炭素をはじめとした有害なガスを出さない」です。
水素エンジンは大まかに電気・酸素・水素の3つを使い動いているため、有機物を燃やさず二酸化炭素が発生しません。
二つ目のメリットは「ガソリン車と比べて音に違いがない」です。
実際にレーシングドライバーが参加した水素自動車のテストでは「水素と言われずに乗ったらこういうエンジンだと思ってしまう」や「思ったほど違いはないですね。普通のエンジン音のように感じます」と毎日のようにエンジン音を聞いている人が普通のように感じるということはそれだけ近いのでしょう。
これはただ普通のエンジン音なだけですが、この普通を二酸化炭素を排出せずに実現できていることは普通ではありません。
そんな普通ではないことができるのが水素自動車の強みでしょう。
三つ目のメリットは「補給にかかる時間が短く手間も少ない」です。
電気自動車は満タンまで充電するのに、急速充電で30分ほどかかるのに対し、水素自動車は水素をわずか3分で充填することができます。
これはガソリン車とほとんど同じ時間です。
一つ目のデメリットは「水素ステーションの数が少ない」です。
2022年度の水素ステーションの数は174基ですが、経済産業省によると、2027年度までに水素ステーションを500基程度整備することを目標としています。
また、水素ステーションの整備費は約4億円と高止まりしているので、この費用を削減することや水素ステーションの運営費を削減することで、整備が推進できるでしょう。
二つ目のデメリットは「燃料の貯蔵などのコストが高いため価格も高い」です。
水素は2022年度は1㎏あたり約1200円で販売されており、ガソリンのほうが安いですが、経済産業省は2030年までに1㎏あたり約340円、将来的には1㎏あたり約220円にする計画を立てています。
三つ目のデメリットは「ガソリン車ほど長く走れない」です。
例えばトヨタのMIRAI Z(水素自動車)と、トヨタのヤリス
Z(ガソリン車、CVT)の燃費(WLTC燃費)を比較すると、MIRAIの燃費は135km/kg、つまり水素約7.4gで1㎞走行できます。
一方ヤリスの燃費は21.3km/L、つまりガソリン約46.9mlで1㎞走行できます。1㎞走行するのに何円かかるかを計算すると、ヤリスのほうが安くなるので、MIRAIのほうが燃費が悪いといえるので、水素自動車はガソリン車よりも長く走れないといえます。
四つ目のデメリットは「水素の製造過程で二酸化炭素を排出するため完全に0ではない」です。
水素を製造する方法はさまざまで、その中で二酸化炭素を排出するのが、天然ガスまたは石炭を原料として製造する方法です。この方法で作られた水素をグレー水素といい、二酸化炭素が排出されてしまうので、これをブルー水素やグリーン水素に転換していく必要があります。