教育への応用

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インフォグラフィックスは教育にも活用されています。
その一例として、農林水産省のホームページには、日本の食料自給率の現状を分かりやすく解説してくれるビデオがあります。今後の日本がどうあるべきかを分かりやすく伝えるため、このビデオにはインフォグラフィックスの技法が取り入れられています。そこで、ここではその技法が動画にどのような影響を与えているのかを見ていきたいと思います。

上のリンクから、動画のページにアクセスしてみてください。

 この動画では全編を通して「物事のキャラクター化」が行われています。たとえば農村の高齢化が進み、耕作放棄地が増えていくシーンでは、農作業をしていた人が徐々に腰の曲がったおじいさんになっていき、若い人が畑から離れ、その土地が荒れ地に変化していきます。ここでは、インフォグラフィックスが「情報を直感的なものにする」という働きをしています。
 食料自給率のようなテーマは言葉の上だと、現実味のない空疎な説教に聞こえがちです。ですが、この動画ではそれは目の前で起こっています。たとえキャラクターが行っていることだとしても、それを目の前で見せ付けられるということはただ言葉で聞くよりもはるかに強いイメージを頭の中に残すでしょう。
 また、このような表現は「難解な物事をわかりやすく伝える」ことにも役立っています。「食料自給率の低下と私たちの未来」というテーマは、言葉で見ると難解に見えますし、実際にも決して簡単なものではありません。そこで、この動画ではキャラクター化というインフォグラフィックスの表現を取り入れました。このことは、現在の日本の主要な問題のひとつであるこのテーマへの親和性、とっつきやすさを大きく高めています。
  そして、アメリカ的な油、肉類を大量消費する食生活を行っていたキャラクターは肥満になりますが、このような表現は、このキャラクターに起こっていることが自分にも起こりうることだという意識を強く視聴者に抱かせます。このような他人事ではないという意識を持たせるのにもインフォグラフィックスの技術が仕事をしています。
このようなことから、この動画ではインフォグラフィックスが「難解な情報を直感的なものにし、他人事ではないという意識を視聴者に持ってもらう」という働きをしていることがわかりました。これは、「情報をわかりやすく直感的に伝える」というインフォグラフィックスの特性がまさに最大限に生かされた動画といえるでしょう。