放射線の分類


 放射線がどのようにグループ分けされているのか見てみましょう。

 まず、放射線の中にはどんなものが含まれているのでしょうか。
「放射線」という言葉を広い意味で捉えると、

   ・「高い運動エネルギー」を持つ粒子の流れ=「高速」の粒子の流れ
   ・電磁波

の二つが含まれています。
電磁波は、ラジオなどに利用される電波、赤外線、紫外線、可視光線、γ線(X線)などの「波」です。

しかし、普通私たちは電波や赤外線、可視光線のことを放射線とは言いません。
私たちが放射線に対して持っているイメージとしては、
「健康に害をもたらす力がある」 というのが一般的ではないでしょうか。
ここでいう「健康に害をもたらす力」とは、主に電離作用のことを指しています。

そこで「放射線」は、電離作用のない「非電離放射線」と電離作用のある「電離放射線」に分類できます。
今までに登場した、α線、β線、γ線、中性子線、電波、赤外線、可視光線、紫外線を分類すると
次のようになります。

表1
非電離放射線 電波、赤外線、可視光線
電離放射線 α線、β線、γ線、中性子線、紫外線

紫外線も実は「電離放射線」です。
日焼けは熱傷であり、紫外線は細胞のDNAを直接損傷するので皮膚ガンになるリスクが増加します。


さらに、「電離放射線」の中でもさらに「粒子放射線」「電磁放射線」とに分類できます。
粒子放射線は、電離作用を持つ「高速」で飛ぶ粒子の流れのことです。
電磁放射線は、電離作用を持つ電磁波のことです。
電離放射線のα線、β線、γ線、中性子線、紫外線をさらに分類すると次のようになります。

表2
粒子放射線 α線、β線、中性子線
電磁放射線 γ線、紫外線



それでは、私たちが日常で放射線と呼んでいるものの正体は結局なんなのでしょうか。
これまでの分類を整理すると、

放射線とは電離作用を持つ、「高速の粒子の流れ」または「電磁波」である

ということができます。
特に指定がない限り、このサイトにある放射線という言葉はこの意味で使われています。