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理想的な運動

理想的な運動

中高生に必要な最低限度の運動時間は、体育の授業を除き、1週間に1.5時間です。


では、どのような運動が適切なのでしょうか。
中高生期は、心肺機能は充実し、また、筋持久力も高まるので、スタミナ作りを中心とした運動が適しています。

中高生の運動には三つの大原則があります。

  1. 『安全であること』
  2. 『効果的であること』
  3. 『楽しいこと』

心拍数 安全でも、効果的でなかったり、逆に効果的であっても、けがをする危険性のある運動では、日常的に行う運動習慣として好ましくはありません。
安全で、健康によい影響をもたらし、楽しく続けられるような自分に合った運動量を設定する必要があります。
『自分に合った量を設定する』目安は運動の『強度』です。
基本的に、効果的な運動とは、『少しきつい』くらいの運動です。

この『少しきつい』という強度を、より具体的に定める方法があります。
自分の最大心拍数から求める方法です。
最大心拍数とは、1分間における最大の脈拍数です。
一般に、220から自分の年齢を引いた値が、最も近いとされています。
そして、運動中、または運動直後にはかる心拍数が、これの60〜90%の範囲にあるときが、『少しきつい』という『適度な強度』にあたるときです。

例えば、16歳である私達の最大心拍数は、

220−16=204

なので、122〜183のときが、『少しきつい』くらいの適度な運動の強度ということになります。
皆さんも、運動中には難しいので、運動直後に、心拍数を測ってみて、自分のしている運動がどれくらいの強度のものなのかを確かめてみるとよいでしょう。

心拍数

このようにして、1分間測ります。

また運動中には、休憩も大切です。
過度は運動はかえって、心臓や関節に悪影響を及ぼします。
『とてもきつい』と思ったら、すぐに休憩をとりましょう。
また、運動は入浴の2〜3時間前には終わらせ、一旦休憩をしてから、入浴し、入浴後は、軽いストレッチなどで、体をリラックスさせる運動をしましょう。

水分補給について

運動時には、こまめな水分補給が大切です。

人間の身体の60%は水分で出来ていて、なおかつ0.9%の塩分濃度が保たれています。
人間が生命を維持するためには、必ずこの二つが一定基準を保っていなければなりません。
この水分量と塩分濃度が狂うと、私達んお身体を構成する60兆個の細胞は生きられなくなってしまいます。
細胞の活動が衰えると、身体の各器官が上手く働かなくなり、生命維持が出来なくなっていきます。
また、運動中に汗をかいて、血液中の水分が減ると、血液がドロドロの状態になり、循環が悪くなってしまいます。
そうすると、酸素や栄養のめぐりが悪化するために、運動能力が低下し、身体の反応が鈍くなり、けがにつながります。
また、口から取り込んだ水分は、吸収された後、血液や体液となって全身で使われます。
水分は体内に留まることは出来ず、絶えず、尿や汗、呼気や便となって排出されるため、私達は常に水分を取り込まなければいけないのです。
言い換えれば、上手に適切な水分補給をすることは、身体の状態を良いコンディションに保つことにつながります。
しかし運動中、一度にたくさんの水分をとると、腹痛がしたり、身体が倦怠感を帯びたりしてしまう可能性があります。
では、どれくらいの頻度で、どれくらいの量の水分を補給すれば良いのでしょうか。
基本的に、下の表のように、運動前、運動中、運動後のそれぞれのタイミングで、適切な量をきちんと補給することが大切です。

水分補給の表

のどが渇いたと感じる前に補給することが大切です。
のどが渇いた、と感じるときには、身体が既に脱水気味になっているということだからです。

運動をする前にも、きちんと水分補給をしましょう。

では、水分補給をするといっても、どのような飲料を補給すればよいのでしょうか?

1時間程度の運動時には、よほど激しいものでなければ、『水』が一番適しています。
汗の99%は水なので、失われた汗の分を補うためには、水を補給すればよいのです。
2時間以上の激しい、汗を大量にかく運動時には、水だけでなく、塩分の補給も必要となって来ます。
大量の汗をかいた時には、塩分も失われてしまうからです。
身体の塩分(ナトリウム)が減少すると、

  • 筋肉のけいれんが起こる
  • ナトリウム濃度を保つために、水分の排出が行われ、脱水に陥りやすくなる

といった体調不良が起こる可能性があります。
ですから、激しい運動時には、塩分と水分を一緒に補給することが大切です。

具体的には、ミネラルウオーターやスポーツ飲料で、特に、塩分が0.1〜0.2%程度含まれているものが良いでしょう。
またカロリー補給のために、2〜3%糖分が含まれていると、さらに良いです。(★これはあくまで『2時間以上の激しい運動』の場合のみです。1時間程度の運動時に、このようなものを補給してしまうとかえって水分の吸収を阻害し、塩分・糖分過多になってしまう可能性があります。)

水分補給 校内で調査した結果、7割の生徒が、運動後には水分補給を意識して行っていました。
ちなみに校内で『水分補給の飲料』を調査したところ、水が26%、スポーツ飲料が46%、清涼飲料水が14%、その他が14%でした。
その他に含まれているのは、ほとんどがお茶でした。
清涼飲料水は糖分を多く含みます。

水分補給の内容 激しい運動時には2〜3%程度の糖分が必要とは言いましたが、運動時に5%以上の糖分を補給すると、かえって、身体への水分の吸収を妨げることになってしまいます。
よって、水分補給に清涼飲料水は適していません。
またお茶も、麦茶なら問題ないのですが、緑茶に多く含まれる『カフェイン』には、水分を尿にして排泄させる利尿作用があるため、かえって水分を体外へ排出させる原因になってしまいます。
よって、お茶、特に緑茶は、運動時の水分補給には適していません。
自分の運動量に適応し、なおかつ健康的な飲料を選びましょう。
また、水分補給には、その飲料の『温度』も大切です。
運動時には、冷たいものがおいしく感じられますが、冷たすぎるものは内臓に負担をかけます。
常温、または11〜15℃くらいに冷やしたものがよいでしょう。
こまめな水分補給は、運動において、本当に大切です。
脱水症では、体重の3%以上の水分を失い、かつそのまま水分補給をしないでいると、めまい、吐き気、けいれんなどの体調不良が生じて、生命の危機に陥ることもあります。
まず、これを予防するためにも、運動時には、欠かさず水分補給をすることが大切です。
もし、『脱水症かもしれない』という生徒が近くにいたら、すぐに先生を呼び、応急処置をしてもらいましょう。
また、自分で「脱水症かな?」と思ったら、すぐに先生に言って、日蔭で休み、水分補給をするようにしましょう。

脱水症のサイン

  • 口の渇き
  • 尿が濃くなり、回数が減る
  • 皮膚がカサカサになる
  • 目がくぼむ

特に熱い夏には、熱中症や日射病の注意も必要です。
しっかりと適切な頻度で適切な飲料を適量、こまめに補給して、快適に運動をしましょう!

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