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海の生態系

ここでは海の生態系について説明します。

海の生態形の基本
 海洋汚染の説明を始める前に、なぜ生態系の話をする必要があるのか。それはもちろん海洋汚染に関係してくるからなのですが、それともう一つ、海の生態系が陸の生態系とは多少違ったものだからです。
 一言でいってしまうと、海の生態系は植物プランクトンによって成り立っていると言っていいでしょう。こう一言で言ってしまえるほど単純なものならいいのですが、このプランクトン関連の事だけでもかなり複雑な構造を取っています。
 まず、植物プランクトンに関して言えば海の中に溶け込んでいる栄養を吸収し、光合成を行って栄養を得ています。最終的にこれらのプランクトンは死骸になるわけですが、そうすると海底に沈んでいき、深海にすむバクテリアなどによってリンや窒素といった栄養に分解されるのです。これはプランクトンが海の上層部の栄養を海底に運んでいる事になります。これを生物ポンプと言います(図1)。しかしこのままでは、上層部の栄養が不足して、植物プランクトンの増殖がストップしてしまいます。この事を『栄養塩制限』と言います。逆に海底では光エネルギーが不足してしまいますが、これを『光制限』と言います。
 ところで、海には透明度の高い場所と低い場所がありますが、これにも今述べた事が関連してきます。どのような仕組みなのかはさておき、上層と下層の水温の違いにより、上層と下層で海水の交換が起こりにくくなると、上層では栄養塩制限によってプランクトンが増殖しにくくなり、海の透明度が上がります。つまり風などの何らかの方法によって、上層と下層の海水が交換されれば上層部が栄養不足にはならないので、プランクトンが繁殖し、逆の状態が起こるわけです。特に亜寒帯で秋から冬に、夏に出来た安定成層(上層海水の密度が小さく、下層海水の密度が大きい状態を成層といいます)が崩され、一旦栄養が全体に行き渡った状態で春の日差しによって浅い安定成層が出来ると、栄養と光が満ち足りた状況の中で植物プランクトンが大繁殖を起こします。これはスプリングブルーム(春季大繁殖)と呼ばれています。
 プランクトンに関してはとりあえずこれで説明が足ります。もちろん場所によって例外はありますが、基本的な構造はこのようになっています。
 とにかく、これらの植物プランクトンが生産者の役割を果たすわけです。あとは基本的には第一次消費者として動物プランクトンが、第二次消費者として魚介類が、さらにその上に哺乳類などが……というように続いていくわけです。

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