古式祭:神社の祭典には必ず「神饌」が供えられる。神饌は神社により、また時代とともに内容、種類、調理方法、盛り方など形式化されるとともに変化してきた。今日では神饌は「生饌」(生のまま)が全国的に一般的になっているが伊勢神宮、春日大社、談山神社の祭典などでは「特殊神饌」としてその神社独特の神饌を今日に伝えている。太宰府天満宮では正月と鬼すべに供えられる。「切餅」、更衣祭での「御供」(御飯)に昔の形が僅かに残っているが、江戸時代には通常でも十五菜、大きな祭典では七十五菜と多くの種類の神饌が供えられていたようである。このなかで太宰府天満宮独特のものが「覽粢」という神饌である。これは、米粉を擂木でねり、焙烙に入れ、円形を書き縦横の乱線を引いて焼いたものである。読んで字のごとく「神之を覽るの粢」であって食する粢(神前に供える餅)ではない。菅原道真公の命日である2月25日と秋の神幸祭の天満宮にとって最も大切な祭典に供えられていた。平成14年(2002年)の千百年大祭では4月7日(旧暦2月25日)に江戸時代から特殊神饌として供えられていた「覽粢の御供」を紅白で復元し、神前に供える古式祭が斎行された。
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