ヒエログリフ

ヒエログリフは初期の文字として紀元前3000年ごろに誕生し、 音素文字の基礎になりました。文字は古代エジプト文明を支えましたが、この文字を扱う人口は極端に少なく、ついには秘密の門外不出の文字となります。このためにヒエログリフの使用が終わると、4世紀までにはエログリフを読める人はいなくなり、歴史から忘れられます。それから1400年後、ある偶然からヒエログリフが解読されるきっかけが起こります。

ロゼッタストーンの発見

フランスのナポレオン・ボナパルトは1798年にエジプト遠征を行います。この際、エジプト文明の調査をするために167名の調査団を携えていました。調査団は数学者・科学者などで構成されていました。遠征から1年後、ナイル川河口付近のラシードで、石碑が発見されます。これがロゼッタストーンです。ロゼッタストーンには3種類の文字による文章が上から並んでいました。後で分かるのですが3種の文字は上からヒエログリフ・デモティック・古代ギリシャ文字です。ナポレオン一行はこの石碑の内容を写し取ってフランスに持ち帰ります。

▲ナポレオン

▲ロゼッタストーン

解読

実はロゼッタストーンが発見されるまでにもヒエログリフの存在は知られており、何人もが解読に挑戦しましたが、失敗に終わっていました。ロゼッタストーンの発見は、ヒエログリフの解読の材料になるのではないかと期待されたのです。

一番下に記されていたギリシャ文字はもちろん解読することができました。そして研究を進めるうちに、上の2つの文字の文章も同じことが記されているのではないかといった仮定がなされました(結局この仮定は正しかった)。解読はこのギリシャ語との対応で地道に進められていきました。しかしこの作業が難航します。解読はなかなかなされずに、30年の時がながれました。

天才シャンポリオンの登場

1790年にフランスに生まれたジャン・フランソワ・シャンポリオン(1790-1832)は、ロゼッタストーンが発見されたときはまだ9歳でした。しかしながら彼は天才的な頭脳を持ち、そのころにはラテン語を習得し、17歳までには13ヶ国語以上の言語を取得したといいます。

▲シャンポリオン

シャンポリオンは11歳のとき、数学者フーリエにロゼッタストーンを見せてもらう機会がありました。興味を持ったシャンポリオンはその場で「大きくなったら自分が必ず読んでみせる」と話したといいます。それからシャンポリオンはヒエログリフの解読をはじめます。苦戦しましたが、初めて目にしてから20年後、ついに解読に至ります。そして1822年、シャンポリアンは解読結果を発表します。こうしてヒエログリフ解読の一報は世界に伝わることになりました。

なお、シャンポリオンはその後も研究活動を続け、エジプト文明を対象にした学問「エジプト学」を開拓し、「古代エジプト学の父」と呼ばれるました。しかし長年の研究に熱中したせいもあってか、若年41歳でこの世を去りました。

ヒエログリフの解読の影響

ヒエログリフの解読は、古代エジプトの研究を大きく進歩させました。文字は文明を支える根幹だけあって、その解読は謎めいた文明の解読につながるのです。