放射線の専門家による講義


より専門的な知識を身につける為に、放射線の専門家に講義をして頂きました。


  • 講  師 :原子力安全技術センター 田村勝裕氏 
  • 講演内容:「放射能が及ぼす影響、放射能の危険性」
  • 実施日:7月24日(火)
  • 参加者:3年工業化学科3人,1年情報技術科13人


工業化学科の生徒の感想


<分かったこと>

 放射線にはさまざまな種類があって、福島第一原発から漏れているものだけではなく、自然界にも存在する。 例えば、放射線の一種のラドンでは、ラドン温泉というものがあり、ラドンを浴びて体の細胞を活性化させることもある。 ラドン温泉はラドン濃度74Bp/kg以上のものをいう。 また、少量の放射線で癌になることはごくまれなことで、放射能によってDNAが損傷された場合でも、大部分は正常な細胞によって修復される。 放射線の利用では食品にX線などの放射線を照射して、貯蔵期間の延長と殺菌・殺虫などを行う食品照射がある。日本ではジャガイモの発芽止めなどに使われている。 放射性廃棄処分場は、放射線がでないようにカバーをかけ、煙が漏れていないかなどを監視カメラで管理すれば、どこにでも作ることができる。 しかし、放射性物質があるという事実だけで嫌がられるため、なかなか作業が進まないのが現状である。 放射線治療は、臓器を失うことなく治療ができるからいい。だが、放射線をあてたところが赤くなるなどと副作用はある。 また、放射線治療の放射線が、正常な臓器に当たってしまい悪い影響が出てしまう場合もある。 そのようなときのために、IPS細胞というのが今、研究されている。IPS細胞というのは人口多能性幹細胞のことで、新しい肝臓などの臓器を作ることができる。 放射線を追い出す機能が、私たちの体には備わっている。

<思ったこと>

 田村先生は、放射線についてのデータをたくさん説明してくれた。 その中には、「今までのデータやコンピューターで計算したこれからのことを予測しているデータがあったが、公表されなかった。」 と、強い口調で言っていたのを鮮明に覚えている。田村先生のように知識を持っている人は、本当のことを知っているから、メ ディアが隠していたり間違ったことを言っていたりしても気づくが、私たちみたいなまだ正確な知識を持っていない者は、間違っ たことを信じ、隠されていることにすら気づかない。それではだめなのだ。正しい知識、正しい情報を得る能力を身につけなけ ればならない。放射線のことは本当に何も知らなかったが、私たちの生活に常に影響を与えていると知ったので、身近に感じ 知れば知るほど興味深くなった。また、田村先生の分かりやすい講演のおかげでイメージが湧きやすくなった。放射線について ある程度のことが分かったら今度はそれを他の人に教えたい。これからは、放射線についてだけでなく今話題になっていることを 自分の事と捉え、積極的に調べていきたい。 そして、ただ調べるだけでなくそこから自分は何ができるのか、どうすればよいのか を考え、実行していきたい。



情報技術科の生徒の感想

 世界で一番自然放射線量が高い場所はイランのラムサールである。 しかし、がんを発病する人が少ない。その理由はラドンという種類の放射線ががんの治療をおこなうことができるからである。 他にも放射線を使った食品照射や医療への利用など、放射線は人に害を与えるだけでなく、いい効果を与えることもある。なので放射線は絶対に危険なものではない。
 福島第一原発事故の影響で高濃度の放射線が漏れたため、現時点で64%の人々が帰宅困難になってしまっている。 さらに、5年たったとしても帰宅困難者の人々は32%にしかへらず、その後も放射線が残留してしまい帰れない場所が出てしまう可能性がある。 放射線がどう拡大していくかを予測する、SPEEDIというシステムがある。その機能は漏れだした放射線の量や拡大傾向を計算するなどがある。 このような情報通信系のWebシステムを開発できるようになりたい。
 われわれ人間は常に自然放射線や宇宙線によってひばくしている。 なので考えるべきなのは放射線をなくす方法ではなく、いかにこの放射線を上手く利用する方法であり、これを考えていくことが日本にとって大切である。