鉱石の分類
- 色による分類
硫黄の黄色やかんらん石の黄緑色など、特徴的な色の鉱物は識別しやすいです。
鉱物は特定の波長の光を吸収または反射することによって色を帯びるのですが、このような光の吸収、反射にはいくつかの理由があります。
ひとつは微粒元素の存在です。微粒元素とは基本的な結晶の構造に関わらない「不純」な原子の事で、
原子百万個のうちわずか3個が「不純」な原子でも特定の可視光を十分に吸収して鉱物に色が付くことがあります。
また、結晶構造の中で本来なら原子やイオン基がおさまっているはずの場所が空になっている場合も色が付きます。
さらに鉱物の構造そのものが色の原因となる場合もあります。規則的に並んだ小さな粒が光を回折するオパールや2種類の長石という石の層境界が光を回折させるムーンストーン、それぞれ独特の色と光沢をもちます。
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光沢による分類
鉱物の表面が光を反射する様子を光沢といい、大きく分けると金属光沢と非金属光沢がの二種類があります。
金属光沢とは金や銀や銅といった滑らかな金属表面が放つ光の反射で、このような鉱物はたいてい不透明です。
非金属光沢を示す鉱物は一般に透明で、光を通します。
非金属光沢はさらに細かく分かれ、割れたガラスのようなガラス光沢、ダイアモンドのように明るい金剛光沢、樹脂のような樹脂光沢、真珠貝や真珠のような真珠光沢、脂ぎったような脂肪光沢、絹やサテンのような絹光沢、ほとんどあるいはまったく光を反射しない無艶、光沢の無い土のような土光沢などがあります。
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条痕による分類
鉱物を素焼きの板にこすりつけると粉末になり、この粉の色を条痕色といいます。鉱物を識別する時には結晶の色よりも条痕色の方が有用です。
結晶の色は標本によっていくらか幅があるからです。したがって条痕は間違えやすい鉱物を区別する場合にも役立ちます。
たとえば鉄の酸化鉱物の赤鉄鉱は赤い条痕を示し、同じく鉄の酸化鉱物である磁鉄鉱は黒い条痕を示します。
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劈開による分類
鉱物が特定の平らな面に沿って割れる現象を劈開といい、結晶構造の中の原子間の結合力が一番弱い場所で起こります。
劈開面は一般に平らで光を均一に反射します。また、劈開の状態は結晶の面に対する劈開面の方向と、割れやすさとで表されます。
簡単に割れる場合は完全な劈開と言い、以下、程度に従って明瞭、不完全、困難と分類されます。
同じ鉱物でも劈開の方向が違うと劈開面の性質が変わる事もあり、劈開を示さない鉱物もあります。
- 断口による分類
鉱物は劈開面以外の方向に割れることもあり、このような割れ方をした時の断面を断口といいます。
これは鉱物を識別する手掛かりになります。針状の断口は金属、貝殻状の断口は石英でよく見られます。
他に平坦(凸凹はあるがやや平ら)、不平坦(凸凹があり完全に規則性が無い)、多片状などがあります。
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粘靭性による分類
鉱物が示す物理的特性の中で結晶構造中の原子間の凝集力によって現れる幾つかの性質をまとめて粘靭性といいます。
- 展性…金、銀、銅がもつ破壊することなく平らにできる性質。
- 切削性…ナイフで切れる性質。
- 撓曲性…簡単に曲がり、力を除いても曲がった状態を保つ性質。
- 延性…引き延ばすと細い線になる性質。
- 脆性…壊れやすい性質。
- 弾性…曲げた後に元の形に戻ろうとする性質。
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硬度による分類
鉱物の傷つきにくさ、または傷つきやすさを硬度といいます
。硬い鉱物でひっかくとやわらかい鉱物は傷つきますが、
逆は起こりません。鉱物の硬度は10段階に分けられたモース硬度で表され、数字が大きいほど硬くなります。
基準の鉱物十種類と比較して書く鉱物の硬度を決めます。硬度は強靭性や強度とは異なります。硬い鉱物はかなり脆いです。
燐酸塩鉱物、炭酸塩鉱物、硫酸塩鉱物、ハロゲン化鉱物、ほとんどの硫化鉱物や含水鉱物(水分子を含む鉱物)は大抵柔らかいのですが
無水酸化鉱物(水分子をもたない酸化鉱物)と珪酸塩鉱物(水晶など、SiO2を含むもの)は比較的硬いです。
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屈折率による分類
透明なまたは半透明な鉱物に光が入ると速度と方向が変わり、この変化の程度を屈折率といいます。
屈折率は空気中と鉱物中の光の速さの比で表されます。屈折率が高いほど白色光の中に含まれる色は大きく分散されます。
屈折率は特殊な液体または安価な装置を使って調べることが出来ます。
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蛍光性による分類
蛍光色を示す鉱物があり、このような鉱物に紫外線を当てる(照射する)と様々な色の可視光を発します。
同じ場所で採取された同じ種類の鉱物でも蛍光性は標本によって異なるためこのため鉱物を同定するには蛍光性の確認だけでは不十分です。
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