南沙諸島(スプラトリー諸島)の領有権を巡って、中国、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイが争っていることです。現在はブルネイを除く4カ国(台湾は中華人民共和国と等しいとする。)がそれぞれ、幾つかの岩礁・砂州の実効支配をしています。
日本にとっても、輸入している石油の8割が通る航路(シーレーン)上にある南沙諸島の領有権争いはとても重要な問題です。なぜなら、南シナ海で大きな武力衝突などがあったり、自由な航行が認められなくなった場合、輸入できる石油の量が大幅に減る、または航路の変更による価格の高騰により日本経済に大打撃を与える可能性が高いからです。
このページでは、大規模な埋め立てなどの目立った行動を行う中国について説明しています。
なお、中国は南沙諸島、中沙諸島、西沙諸島、東沙諸島を含む南シナ海全体のことを南海諸島と呼んでおり、その主権を主張しています。
南沙諸島は南シナ海南部にあります。
表から、この問題は第二次大戦後すぐから起こっていたことがわかります。
ここで重要となってくるのは、この問題に対する国際的な評価です。
仲裁裁判所の判断では、中国が南シナ海のほぼ全域で領有権を主張するため、独自に設定した境界線「九段線」には国際法上「歴史的権利を主張する法的根拠はない」とした。
また、また南沙諸島の埋め立てによってできた人工島はもともと、すべて高潮時に水没することから「島」ではなく、「岩」または「低潮高地」であり、南シナ海にはどの国にも排他的経済水域は認められないという結果にななりました。
これに対し、中国は判断は無効であり従う必要はないと主張しました。
これ以降も、南シナ海で軍事演習を何度か行っています。
これらを満たすと、「島」となり領海、排他的経済水域、大陸棚が認められる。
「岩」とは人が生活できない島のこと。領海のみが認められる。
「低潮高地」とは低潮時には沈まないが、高潮時に沈むもので、領海、排他的経済水域、大陸棚は認められない。
「人工島」とは周囲が水に囲まれた人工的に作られた陸地であり、国際法上「島」として認められず、領海、排他的経済水域、大陸棚は認められない。
領海・排他的経済水域(EEZ)・大陸棚の違い領土から12海里(約22km)の距離までの範囲のことで、外国の船は、安全を害さない範囲で通航する権利がある。しかし、日本の主権が及ぶ範囲なので、外国の船が許可なく漁業をしたり、密輸をしたら、日本の法律に基づいて船長らを逮捕できる。
「排他的経済水域(EEZ)」とは領土から200海里(約370km)の距離までの範囲のことで、領海も含む。外国の船は、安全を害さない範囲で通航する権利がある。しかし、海上・海中・海底・海底の下の資源などに関しては、日本の法律を適用できる。
「大陸棚」とは領土から最大で、350海里(約650km)の距離までの範囲のことで、「領土の自然の延長」であるとされ、領土やEEZと重なったり重ならなかったり、海底の地形によって変わる。外国の船は、安全を害さない範囲で通航する権利がある。しかし、海底・海底の下の資源などに関しては、日本の法律を適用できる。
なぜ、中国が南シナ海へ進出するのか。理由は下記のものが考えられています。
海洋強国とは
中国政府の国家目標の一つであり、2012年11月に開かれた第18回中国共産党大会で盛り込まれた。海洋権益(海洋に関する権利とそれによる利益)を高めることが目的となっている。
地域海軍とは
領海の防衛を主とし、本国より遠く離れた海域での、軍事活動の能力を保有していない海軍のこと。
外洋海軍とは
領海の防衛や本国より遠く離れた海域での、軍事活動の能力を保有している海軍のこと。