エネルギーの「地産地消」
日本の現状
ユッピー「日本のエネルギー自給率は原子力を除くとたったの6%(2012年、経済産業省HPより)。 化石燃料をたくさん利用しているから、温室効果ガスが発生するという問題もあるんだ…」
茶実子「こうしてみると、日本はたくさんの問題を抱えているのね…。 それならこういうのはどう?」
化石燃料から再生可能エネルギーに!
茶実子「再生可能エネルギーなら資源がなくなる心配もないし、環境に優しいわよ!それに再生可能エネルギーは自然にあるものだから海外から買う必要がないわ。エネルギー自給率を上げられるんじゃない?」
ユッピー「そうだね。でも、再生可能エネルギーにはデメリットもあるんだ。」
・太陽光発電や風力発電は、気候や時間帯などによって供給量が変化し不安定。
・コストが高い。化石燃料から再生可能エネルギーにシフトしようとすると、国民に負担がかかる可能性もある。
・変換効率が悪い。つまり、利用するエネルギーに対して発生する電気エネルギーが少ない。
再生可能エネルギーの中でも変換効率が良いとされる風力発電でも、約25%(2010年、『自然エネルギーの可能性と限界』より)
・景観や騒音、振動など環境に馴染まない場合もある。たとえば風力発電では、モーター音や風切り音が騒音被害を生むことがある。
茶実子「完全に再生可能エネルギーにシフトするのはかなり難しそう…」
ユッピー「工夫が必要だよね。どうすればいいんだろう?」
エネルギーの地産地消
茶実子「再生可能エネルギーにはまだまだ難しいところがあるのよね。…そうだ!日本全体で変えるのが無理なら、都市や地域単位で、できるところから再生可能エネルギーに転換していくのはどう?つまり、地域で必要なエネルギーは地域でなるべく生産するの。地産地消よ!」
地産地消のエネルギー
ユッピー「地産地消…食べ物とかではよく聞くけど、エネルギーで?どういうこと?」
茶実子「自分たちの発電で持続可能な地域を目指すっていうこと!これなら…」
・エネルギーを他の地域から送ってもらうためのコストを減らせる
・電気エネルギーに変換する過程で発生した余分な電力や熱をその地域で利用することが可能になる。
ユッピー「無駄も減って、今の日本の問題を解決できそう!コストを減らした分、再生可能エネルギーの割合を増やすこともできるね!」
茶実子「ええ。それに、エネルギーが身近になることで節電の意識も高まりそう!」
「永続地帯」という概念
ユッピー「地産地消といえば『エネルギー永続地帯』っていう考え方があるみたいだよ!」
エネルギー永続地帯:千葉大学人文社会科学研究科教授の倉阪秀史氏らが提唱する考え方で、 区域で生産される再生可能エネルギーのみによって、その区域におけるエネルギー需要のすべてを賄うことができる区域
ユッピー「再生可能エネルギーだけで生活できるから永続か。憧れるなあ。」
茶実子「そうやって地域ごとのエネルギー自給率を上げていけば、日本全体でも上がるわね。」
ユッピー「えーと、都道府県ごとのエネルギー自給率は…」
東京都:0.49%、47都道府県中最下位
大分県:26.87%、47都道府県中1位(ともに2014年、『永続地帯』HPより)
ユッピー「大きな差があるんだね…どうやったら全体の自給率を上げられるんだろう?」
地域に合った発電を!
茶実子「ねえユッピー、大分県の自然エネルギーにはどんな種類があるの?」
ユッピー「ピピッ…地熱発電の供給量が全国で一番高いみたいだよ。地熱を利用して生んだエネルギーを含めると70%以上にもなるって!(2011年、『原発・放射能図解データ』より)すごい!でもどの地域でも真似できるものではなさそう…」
茶実子「そうね、それぞれの地域に適したエネルギー源・発電方法を活かすのがいいかも。たとえば大分県のように火山や温泉がある地域は地熱発電。酪農や畜産が盛んな地域は家畜の排泄物によるバイオマス発電をするとか、都市部は廃棄物によるバイオマス発電や太陽光発電が向いているんじゃない?」
ユッピー「地域の特色に合った発電方法なら、効率もよくなるね!」
茶実子「そしてエネルギーを"地産"した上で、"地消"する。それが自給率向上への道じゃないかしら。」