未来計画!!
東京の未来を考えよう
ユッピー「地産地消って、僕が動くためのエネルギーも僕の家で生み出せるってこと?ワクワクするなあ!」
茶実子「ユッピーの充電が再生可能エネルギーでできるのね、楽しそう!私たちがいる東京も、エネルギーを自給できるといいわね。」
ユッピー「うん!あれ?そういえば東京のエネルギー自給率って0.49%(2014年)で、47都道府県中最下位だったよね。安定したエネルギー供給があるように感じていたけど、ほとんどは海外や国内の他の地域に頼っているんだね。」
茶実子「当たり前に生活している裏で環境破壊が起きていたり、事故などで始めて依存していたエネルギーの大きさに気づいたり、なんてことは防がなきゃね。 東京都の2016年の人口は約1300万人(東京都ホームページより)。ニュージーランドの約3倍の人が住んでいるの。どうすればもっとエネルギーを地産地消できるかしら。 」
ユッピー「日本の政府目標は2030年までにエネルギー自給率を25%にすること…。東京にとっては程遠いなあ…。」
茶実子「落ち込まないで、ユッピー。私たちがこれまでに学んだことは?」
ユッピー「学んだこと…?ああそっか、それぞれの地域の特色を生かす…!」
茶実子「東京にも生かせる特色は必ずあるわ。それを考えてみましょう!」
@太陽光の利用
・太陽電池による発電
ユッピー「見つけたよ、特色一つ目!東京には建物やビルがたくさんあるね!」
茶実子「ビルや学校の屋上なんかは、開放されていないところも多いけど、せっかくだから利用できないかしら。」
ユッピー「太陽光発電は再生可能エネルギーの中で最も導入しやすいっていうよね。東京都では、海浜公園や給水施設の駐車場の屋根に太陽電池を取り付ける取り組みが既に進んでいるんだ。 ただ、太陽電池にはまだまだ難しいところもあるみたいだよ。 」
茶実子「えっ、そうなの!?えーと…わかった!太陽が出ていないと発電できないわ。夜や、昼間でも雨が降っているような日はだめね。」
ユッピー「あたり!それに、そんなに発電量が多いわけじゃないんだ。でも、自前の補助電源にはとても有効だよ。たとえば病院には、災害時の非常用電源として設置されていることが多いんだって! それともう一つ。太陽電池の変換効率は一般に使われているものでも10〜15%しかないんだ。」
茶実子「大部分が無駄になっちゃうのね…。自然のままに利用することはできないかしら?」
・太陽熱による発電
ユッピー「えーと、太陽電池に頼らない太陽熱エネルギーの使い方もあるみたいだよ。たとえば、反射鏡で太陽光を集め、蒸気を沸かして電気に換える集光型太陽熱発電でしょ。それから、高い煙突を建て、地上部と最上部との気温差による上昇気流で電気を生むソーラーチムニーなどがあるんだって!」
茶実子「太陽電池以外の視点もあると気づかされるわね。でもこれらの設備を設置するための広い敷地が必要になるのね…。ビルの屋上だけでは足りないわね。東京には向かないかも。」
・自然のままの利用
茶実子「あれ?集めた太陽光は電気に変えられて照明光になるのよね。
太陽光→電気→照明光…って無駄じゃない?」
ユッピー「たしかに!太陽光は窓から入るし、昼間に電気をつけるくらいならそれを利用した方が無駄はないね。ピピッ… 100ワット分の照明の点灯時間を毎日6時間減らすと電気料金は年間5000円以上安くなるよ。その分二酸化炭素排出量も減らせるね!」
茶実子「天窓が活躍しそう!高層マンションでも、南側に大きな窓を付けたらきっと気持ちいいわね。ニュージーランドのように、冷暖房を使う時間を減らすこともできるんじゃないかしら?」
ユッピー「太陽の熱でお湯をつくる太陽熱温水器や、太陽光を照明に換えるスカイライトチューブっていうのもあるんだって。中国やドイツなどでも普及が進んで活躍しているみたいだよ。エネルギーを全て電気に換えるだけじゃない、賢い使い方を探そう!」
Aバイオマス(生物資源)の利用
・食べ残しをバイオマスエネルギーに
茶実子「東京は人口が多い分、ごみも多そう。特に食べ残しはもったいないから減らしたいわ。」
ユッピー「みんなも僕みたいに、食べなくて大丈夫ならいいのにね。」
茶実子「そういうわけにもいかないのよ。あれ?ごみが多いことって、東京の二つ目の特色じゃないかしら。ユッピー、食べ残しの廃棄状況は?」
ユッピー「ピピッ…約56%はそのまま捨てられている。再生利用率は約39%(『自然エネルギーの可能性と限界』、2010年)。 食品ロス率が最も高いのは食品小売業で、大規模な再生利用に割けるお金を高くしにくいんだって。」
茶実子「食品小売業って、ファーストフード店などの、私たちが普段食品を手に入れている小規模な店のことよね。大量に捨てられているのね…石油や石炭の代わりにごみを燃料にするバイオマス発電に、もっと使えるんじゃないかしら。」
ユッピー「堆肥にするのもよく聞くよね?」
茶実子「調理した食べ物は塩分を含んでいるから、必ずしも歓迎されないみたい。」
ユッピー「あ!それなら生ゴミからエタノールを作って、ガソリンに混ぜて自動車の燃料にするのはどう?新日鉄住金エンジニアリング株式会社ではその技術を実用化して、自治体なども対象に販売しようとしているんだって。」
茶実子「エタノールにするなら問題はないし、小型のプラントを使えるから小売業でも再利用できるわね!ごみ処理施設と組み合わせるのも効果がありそう。」
・下水処理からバイオマスエネルギーに
茶実子「そういえば、以前に都内の水再生センターを見学したことがあるわ。」
ユッピー「下水道の汚水をきれいにして河川や海にかえす施設、だよね?」
茶実子「ええ。その過程で発生する汚泥は捨てられるんだって。東京は人口も多いし、たくさん捨てられるんじゃないかしら。」
ユッピー「あ!わかった、これも発電に利用できるってことだね?ちょっと待って、ピピッ…あった!森ヶ崎水再生センターでは下水処理の過程で発生するエネルギーを利用しているんだって!汚泥を加温して作るメタンガスからバイオマス発電をして、電力は施設で使っているみたいだよ。発電のときの排熱も使っているんだって。
茶実子「施設内の電力を再生可能エネルギーで賄おうとしているのね!探してみると、色んなところで取り組みが進んでいるのね。こんな場所をもっと広げていきたいわ。」
まとめ
ユッピー「大規模な発電をしにくい東京だけど、逆に言うと小規模な発電が得意ということでもあるんだね!それに、小規模な発電だからこそ一人ひとりの意識を高めることもできそう!」
茶実子「東京にも生かせる特色は必ずある。言った通りでしょ?」
ユッピー「あっ自慢げ!でも…うん、本当にその通りだよ。なんだか希望が湧いてきた!」
茶実子「そして、使うエネルギー自体を減らすことも重要ね。資源は地球全体のもの。足りない分を国内の他の地域に助けてもらうのは仕方ないけど、できる限りの努力をしないとね!」
ユッピー「地域の特色と一人ひとりの努力を組み合わせて、エネルギーを地産地消する。そんな場所が世界中で増えていけば、エネルギー問題を抱えないクリーンな地球になるね!」
さいごに
ユッピー「あ…」
茶実子「ユッピー?」
ユッピー「…もう時間みたいだ。僕は戻らなきゃ。」
茶実子「そっか、未来に…ねえユッピー、私たちの未来は明るくなったのかしら?」
ユッピー「それは僕には答えられないんだ。君が決めることだよ。でも、ここまで考えてきた君ならきっと大丈夫!エネルギーは決して遠いものじゃない。地球全体の問題は、君にとっての問題でもある。できることから実行していけば、必ず扉は開けるよ。君が最初の小さな一歩を踏み出して!」