今、何が起こっているのか
今、世界では飢えに苦しむ人が多くいる一方、食品ロスが大量に出ています。食品ロスの実態についてまとめました。日本の「今」 日本では年間約632万トンの食品ロスが発生しています。これはなんと世界の食料援助量の約2倍にもなります。 つまり、日本の食品ロスをなくすだけでも、世界の食料問題をほぼ解決できると考えられるのです。
日本の食品ロスはどこから出ているのでしょうか?
家庭系と事業系の割合を見てみると、上のグラフが示すようにおよそ半分の食品ロスが家庭系、もう半分が事業系となっています。 −家庭系の食品ロス− 家庭からの食品ロスは皮を厚くむきすぎたなど調理せずに取り除いた部分(過剰除去)、食べ残し、 保管したまま期限切れとなった食品(直接廃棄)の大きく3種類に分けられます。家庭から出される生ごみのうち、56%が調理くず、 17%が食べ残し、22%が手つかずの食品ですが、特に問題なのはこの22%の部分です。 上のグラフのように、手つかずで捨てられる食品の内、約4分の1が賞味期限前となっており、すぐに捨てる必要がないにもかかわらず廃棄されてしまっているのです。 逆に半年以上も期限が過ぎているものが3分の2以上あり、ここから食品の期限について管理が十分に行き届いていない現状がうかがえます。
−事業系の食品ロス− 食品製造業、食品卸売業、食品小売業、外食産業から出る食品ロスを事業系といいます。
・製造業:製造段階でのミス、規格外品の発生、製造過多
・卸売業:商品の汚損、破損
・小売業:納品期限切れ、規格変更、売れ残り
・外食業:調理ロス、食べ残し、売れ残り
各産業で上記のようなことが食品ロスの主な原因となっています。
現在にもまして廃棄物を再利用する取り組みや、各業種でしっかり連携をとり、製造のしすぎを防いでいくことがもとめられるといえるでしょう。
世界の「今」 世界に目を向けた時、食品ロスはどれほど出ているのでしょうか?
FAO(国際連合食糧農業機関)の報告書によると、毎年世界で廃棄される食料は世界食糧年間生産量の約3分の1にあたる13億トンにものぼります。 下は世界の地域別の食品ロスの地域別の発生量です。
顕著な違いが表れているのが消費の段階です。豊かな地域ほど消費段階で多く食品ロスが出る傾向にあります。これは当たり前ですが、 豊かな地域ほど食べ物が豊富にあり食べきれずに廃棄される場合が増えます。一方で開発途上の地域で人々に食料が行き届いていないことが多々あるにもかかわらず、 生産から小売りの過程で食品ロスが出てしまうのは市場の仕組みが未発達であり食べられるうちに売り切れないことがあるからです。
アンケートを取ってみた
↑消費者庁が実施した調査結果(平成27年11月)対象:日本全国の日本国籍を持つ15歳以上1万人
↑私たちが実施した調査結果(平成28年10月)対象:本校の1・2年生220人
ここでは消費者庁が平成27年に実施したアンケートと同じ質問をし、比較しました。消費者庁の調査によると、 食品ロスを知っている人は4分の3を超え、予想していたよりも高い認知度でした。校内アンケートでは、なんと95パーセントもの生徒が食品ロスを知っていました。 地理や家庭科の授業で食品ロスについて学んでいることが認知度の高さにつながっていると考えられます。 食品ロスを意識した取り組み 上記のアンケート結果から食品ロスの認知度が高いことがわかりましたがロスを減らすために実際にどのような取り組みをしているのでしょうか。 Q、食品ロスを減らすためにどのようなことに取り組んでいるか A、 ・食事を残さず食べる 167人 ・飲食店で注文しすぎない 152人 ・賞味期限を過ぎてもすぐに捨てずに、自分で食べられるか判断する 143人 ・賞味期限と消費期限を把握しておく 105人 ・冷凍保存を活用する 103人 ・食べきれる量を購入する 95人 ・料理を作り過ぎない 43人 ・食べきれないものはおすそわけして皆で食べきる 3人 ・食品ロス削減の取り組みを行っている事業者に対し、商品を買うなどの応援をする 2人 ・ポスターをつくった、飲食店で食べ残しを持ちかえる、生ごみを家の植え込みに捨てる、ペットにあげる、捨てようとしている人を直接止める 各1人 ・取り組んでいることはない 5人 対象:本校の1・2年生220人 たくさんの生徒が様々な取り組みを行っていることがわかります。食べ残しを出さないことなどは、小さいころから習慣として気を付けてきた人も多いのではないでしょうか。 アンケートから、多くの人たちが食品ロスについて知っていて、ロスを減らすための実際の取り組みもある程度なされていることがわかりました。