台湾の食品ロス
私たちは10月に行われた台湾での研修に参加しました。研修では現地の学生と交流し、日本と台湾の食品ロスについて議論し合いました。 ここでは台湾の食品ロスについて学んだことや、研修中に私たちが感じたことを紹介したいと思います。台湾の現状
台湾の食品ロスの大きな原因として外食産業が活発であることが挙げられます。台湾では朝食は作らずに買ってきたものを食べる、もしくは外食をするという文化があります。 朝食のみならず昼食や夕食も飲食店で食べる人が多く、「ほぼ毎日外食をする」という人が25.7%、「週1回以上外食をする」人が79%にものぼります。 ちなみに、日本では「ほぼ毎日外食をする」人は2.3%、 「週1回以上外食をする」人は57.2%です。 (出典:我が国の外食産業の海外展開支援マニュアルー台湾編ー 農林水産省) 飲食店は安全性の視点から期限切れや作って時間が経ってしまった食品は必ず廃棄するほか規格外品も捨てるため、どうしても食品ロスの発生量が大きくなります。
台湾政府は現状を改善するため、食品ロスについての消費者や外食産業の関係者に対する教育やデータバンクの作成などを行っています。 台北市でも生ごみを堆肥・飼料に変えて利用する取り組みが行われるなど食品ロスの削減に向けた活動は活発化してきています。 私たちが訪問した台北市立第一女子高級中学(日本の高校に相当)でも、生ごみ用のバケツがありました。生ごみでできた飼料は豚のえさになるようですが、 日本は家畜のえさにもこだわるので、生ごみを食べて育った豚というイメージは受け入れられにくいかもしれません。
私たちが聞いたこと、感じたこと
私たちはこの台湾研修中に現地のホストファミリーの家で宿泊しました。その際、各家庭の食品ロスについて伺うことができました。
〜ホストファミリーから聞いたこと〜
・食べ物を買いすぎてしまうことがよくある。また、食べ物を多く買う傾向が台湾では強いかもしれない。
・レストランでは食べ残すことが多い。
・冷蔵庫の中身はまめにチェックするように心がけている。そうすると食品ロスを減らせるだけでなく腐ったものを食べることもなくなるので一石二鳥である。
また、私たちは台湾現地のレストランで食事をする機会が多くありました。その中で次のようなことを感じたり、考えたりしました。
・たくさん食事が出されて食べきるのが大変だった。その一方、大皿で料理が出てくるので人によって量の調節がきいた。
・ほとんどのお店で食べきる前にお皿が下げられてしまった。
・魚が丸ごと出たり豚肉が骨付きで調理されていたりと食品における取り除かれた部分が少なく、可食部分を調理の途中で廃棄してしまうことを防げるのではないかと思った。
この研修で私たちは食品ロスが世界的な問題であることを再確認するとともに食品ロスの対策について考え話し合い、有意義な時間を過ごすことができました。 このページを読んだことをきっかけに、世界の食品ロスについてをなくすために日本が世界と協力してできることや世界の国々から学べることについて考えていただけると幸いです。
(メンバー撮影)
オーストラリアの食品ロス
オーストラリアでは年間約750万トンの食品ロスが発生しています。この食品ロスは約80億オーストラリアドルに相当し(日本円で6400億円程度)、 非常に大きな経済的損失と言えるでしょう。 食品ロスの大きな理由として、家庭での食事、外食に関わらず、 期限切れ及び食べ残しが多いことが挙げられます。この2つは食品ロス全体の60%を占めています。これらの理由として、 多くの家庭で買い物の前に冷蔵庫の中身を確認しないこと、食事を作りすぎて余ってしまうことなどが政府の調査でわかっています。 オーストラリアでは共働きの家庭がほとんどであり、親は子供のために食事を多く作る傾向があります。 そのため冷蔵庫の中に食べきれなかった食事がたまってしまうことが多いです。学生が昼食の食べ残しを学校のゴミ箱に捨ててしまうケースも少なくありません。 また、政府は各家庭でコンポストを利用することなどを推奨することで食品ロスの発生を抑えようとしています。 これらの方法はイギリスで実施され効果があったものです。 オーストラリアの人口は40年後までに約2倍になると言われています。そのため、将来食料の需要も高まります。 その時人々の食糧が確保できるようにするためにも食品ロスを減らし、持続可能な社会を作っていくことが大切です。(メンバー撮影)