私たちの問題意識

以上の問題を受けて、IoTの介入の余地がありそうな具体的問題をピックアップして解決策を考えます。


施設介護  ~介護士から見る現場~

実際の介護現場の様子を知るため、私たちは介護老人保健施設デンマークイン新宿を訪問し、理事長の山田さんと、介護長の千葉さんにお話を伺いました。

この施設では、高齢者の介護度に合わせて部屋やロビーの小物をかえたり、入所していない方にも日中のみリハビリのためバスで送迎しデイサービスを行ったりと、一人ひとりにきめ細やかな介護サービスを提供しています。地域や家庭との結びつきの中で高齢者の方々に憩いの場をもたらし健康寿命延伸の一助となっています。

治療や回復に重点を置く病院とは異なり、介護施設ではリハビリなどを通して自分でできることを増やすことによって生きる意欲を取 り戻したり、自立を支援してより質の高い生活を送るようにすることを目標としています。病院から介護施設に移ってきた方々が笑顔 を取り戻していく様子を見ることが、介護士のやりがいに繋がります。しかし、個別の対応が必要になってくるため被介護者に対する 介護士の人数は追いついていないというのが現状です。

デンマークイン新宿には160人の高齢者(70~90代で平均85歳)が入所しており、利用者30人あたり介護士3~4人がつく 状態です。経営上は妥当ですが利用者3:介護士1というのが理想だそうです。

デンマークインの介護士の方々は多忙を極めながらも質の高い介護サービスを提供していました。そこで、実際に1日の介護プログラムはどのような流れになっているのかを伺いました。

3回の食事の際に配膳や食べる補助、片付けをするほか、合間には排泄ケアやレクリエーションを行います。特に、介護士が一人ずつに対応しなければならない 入浴時間に高齢者は手持ちぶさたになります。



私 たちの問題意識1

  1. 空き時間をいかに埋 めるか、退屈させないかが課題
  2. 空き時間を埋め、負 担軽減してくれるIoT製品が必要
  3. 実験1.介護ロボットSota実証実験


自宅介護  ~家族介護の限界~

自宅介護の中でも特に深刻な、老老介護や遠方の家族による介護について考えます。
そこでWeb制作チームの一人、オフィーリアさんの体験談を綴ってもらいました。
在宅介護にどんな問題があるのか、以下の体験談を読んで感じてください。


オフィーリアさんの体験談

私の祖父母は海外で暮らしています。そんな祖父母の元に私と両親は最低でも年に一度は訪れています。

しかし7年ほど前に祖父が認知症と診断されました。それから祖母による老老介護が始まりました。祖母がその中で時々漏らしていた 悩みの一つに認知症の症状である徘徊がありました。 例えば祖父は家の中にいるにも関わらず「家に帰らなければならない。いや、会社に行かなければならない。」などとつぶやき、家を出ていこうとするのです。 祖母は引き止めようと何度も現実を言い聞かせるけどれも、発症中の祖父は聞く耳も立てずに力ずくで家を出ようとしました。やはり 女性の祖母にとって男性である祖父を引き止めることは甚だ大変でした。
また、認知症による人を識別する能力の低下は祖母の心をひどく苦しめました。祖父は時々妻であるはずの祖母のことを他人だと突き 離したのです。
こうして介護側の祖母は体だけでなく心も疲労していました。その一方、被介護側の祖父も自身の症状に苦しみ、祖母に対しての申し 訳なさから、時々 「ごめんな」 と謝っていました。

老老介護をする2人のところには近所の方が手伝いに来ることもありました。 けれどもそのうち、祖母はやはり老老介護には限界があると感じ、祖父を介護施設へ送ろうと考えるようになりました。しかし、祖父は内気な性格から介護施設 では馴染めずに症状が悪化し、救急搬送されるまでに至りました。

在宅介護の中で祖母は体力が落ちた祖父を家に残して買い物をしに行くようになりました。そうして祖父は外出する機会が減り、人と 会話をする機会も減りました。以前はテレビでサッカーの試合を見てやじを飛ばしたり、毎日新聞を読んだりしていた祖父の姿はだん だん見なくなり、代わりにぼーとしていたり、ベットやソファーで寝ていたりする祖父の姿が増えていきました。これらは祖父の症状 の悪化に繋がったのだとこのプロジェクトを通して今の私は思います。だからもしも私の家にペッパーなどのIoRTの機器があった らそういった事態を改善できていたのではないかと考えてしまいます。 さらに祖父は認知症に加え、高齢による高血圧も心配の一つでした。だから祖母は毎朝祖父の血圧を測るのが日課でした。このように血圧をも測ってくれるよう なウェアラブルなどを活用できていたら祖母の苦労は大幅に減っていたと思います。

したがって、私は祖母にとって在宅の老老介護がより容易なものであったら、2人はより老後を楽しめ、当然祖父はもっと元気に長生 きしていたのではないかと考えました。


私 たちの問題意識2

1. 自宅介 護における徘徊は介護者が対応し難い問題である
2. 問題徘徊 時に被介護者の外出を知らせる、見守りネットワークが必要
実験2.見守り機能

 



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