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各章の考察

■三章


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 ■アルコールラムプで走る汽車


アルコールラムプで走る汽車

 ジョバンニが、お母さんに小さい頃の思い出を語る部分がある。「…カムパネルラのうちにはアルコールラムプで走る汽車があったんだ。レールを七つ組み合せると円くなってそれに電柱や信号標もついていて信号標のあかりは汽車が通るときだけ青くなるようになっていたんだ。いつかアルコールがなくなったとき石油をつかったら、罐がすっかり煤けたよ。」その後ジョバンニはカムパネルラと一緒に銀河鉄道の旅に出ることになる(六、銀河ステーション)。
 ジョバンニ達は小さな列車に乗って銀河の旅を続ける。この列車は「六、銀河ステーション」において、「それにこの汽車石炭をたいていないねえ。」「アルコールか電気だろう。」という二人の会話によって描写されている。また、窓の外の銀河は青白く光り、きれいな野原の中では青や橙や、いろいろかがやく三角標がちらちらゆれたり顫えたりしている。
 アルコールラムプで走る汽車は、ジョバンニにとって、カムパネルラとの大切な思い出。その汽車に乗って、近頃は話す機会の少なかったカムパネルラとともに旅をすることは、未来の思い出作りであると同時に、過去の思い出の回想でもあったのではないだろうか。


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