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空き家が社会に与える影響

機会損失

相続などで生まれた、使われていないものの売りにも出されていない空き家は、機会損失といって 「その空き家の場所に新しい店舗などを建てたい人がいるのに、空き家があって立てられない」という状態をもたらします。

その場所に新しい店舗や住居などが建てば地域の活性化につながりますが、地域はその機会を逃すことになります。

財政破綻

外部不経済や機会損失、様々な要因で地域の人口が減少していくと、 空き家の数も増えていきます。 自治体は、空き家率30%で財政破綻をするという話がありますが、
実際に、2007年に財政破綻した北海道夕張市の空き家率は33.01%※1
米史上最大額の自治体の財政破綻となったデトロイト市の空き家率も29.3%※2と、
当てはまる例が多いようです。

人が減ったから空き家の数が増えただけで、財政破綻に空き家自体は関係ないんじゃないの?」 と思うかもしれませんが、 これは、単に住民の減少の結果として空き家の増加が現れているだけではありません。 空き家自体が、自治体の財政を苦しめることがあるのです。

インフラの非効率化

仮に、500軒の家があり、すべてに人が住んでいる町があったとします。
当然、自治体はその財源から500軒全てにいきわたるように、交番・消防署・信号機・街灯・道路などのインフラを整備しています。
もちろん、500世帯分の税収入があるため、それは何ら問題になりません。

同様に、350軒の家があって、すべてに人が住んでいる町があり、そこにインフラを整備したとします。
こちらも、350軒分のインフラを350世帯からの税収入で賄っているので問題はありません。

では、最初に出てきた500軒の家の町のうち、150軒が空き家になったとしたら?
500軒分の大きさのインフラを350軒分の税収入で維持しなくてはなりません。
これが、インフラの非効率化です。

都市のスポンジ化

都市の密度とは、ある一定の範囲にどれだけ多くの住居・店舗などがあるかということですが、
人口が増え都市が拡大されるときは無秩序に内から外へ開発がどんどん進んでいくスプロール化が発生したのに対して、

人口が減り都市が衰退するときは、都市の大きさは変わらないまま内部の様々な場所に小さな穴が開くように空き家・空き地が増えていくスポンジ化が発生し、 都市の大きさではなく都市の密度が低下するので、役所・公園などの行政サービスが非効率になり行政の負担は増加し、レストラン・コンビニなども一店舗当たりの客の数が減るので 商業など経済活動をするにあたっての効率・魅力が落ちて店舗が撤退・減少し、結果としてさらに都市の衰退(=スポンジ化)を招く悪循環を生み出します。
チームメンバーが作成。

※1:*2008年調査 「平成20年住宅・土地統計調査 」の 確報集計 都道府県編(都道府県・市区町村) 01北海道の [居住世帯の有無(8区分)別住宅数及び住宅以外で人が居住する建物数―市区町村] より算出。

※2 東京司法書士会「ファーロ司法の窓 2015年春号」よりデータを引用。
NHK「シリーズ日本新生ニッポン"空き家列島"の衝撃~どうする?これからの家と土地~」よりデータを引用。