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新築志向と市場

日本の新築志向と空き家

日本では"新築志向"あるいは"新築至上主義"と呼ばれる、「家を選ぶときに新築を重視する思考」がとても強いです。 実際に平成30年の調査でも、分譲戸建て取得世帯の7割弱が、 中古の住宅を買わなかった理由を「新築のほうが気持ちがいいから」と答えています。※1
個人の好みというものはありますが、日本は欧米諸国に比べても圧倒的に新築志向が強いです。
例えば、2002年から2014年までの一万人当たりの住宅着工件数がアメリカのほぼ2倍。※2
市場で取引される中古の住宅の割合は日本の14.7%に対してアメリカは83.1%、イギリスは87.0%と大きな差があります。(図)

取引される中古の住宅の割合:日本の14.7%に対してアメリカは83.1%、イギリスは87.0%
出典:国土交通省「平成30年度 住宅経済関連データ」から引用

そして、市場での価値はどれだけ人がその商品を求めているかによって決まるわけですから、 当然、日本で中古住宅は人気がないため売れにくく、その市場価値も下がります。
そうなれば、売却用の空き家は売れずに空き家であり続けたり、 空き家の持ち主は売却をあきらめ有効活用ができなかったりします。
それに、どうせ価値がないものだと思ってしまえば、空き家を丁寧に管理することも少ないでしょう。

スクラップアンドビルド

また、不動産業界では「新築は人が住んだ瞬間に価値が2割下がり、30年住むと価値がなくなる」と言われています。
つまり、皆新築を買うときにその家の質や新しさではなく、"新築というブランド"を求めているのです。 新築であればそれだけで価値が付くのですから、建築業界も新しく建てることに集中します。
結果として、家は30年で建てて壊しての繰り返しの「スクラップアンドビルド」な社会になりました。

滅失住宅の平均築後年数(壊された家が、平均で建ててから何年たってから壊されたか)を見てみると、
日本が32年に対してアメリカは67年・イギリス81年と、明らかに日本の住宅は早く壊されています。

滅失住宅の平均築後年数:日本が32年に対してアメリカは67年・イギリス81年
出典:国土交通省「平成30年度 住宅経済関連データ」から引用

家の寿命というのは、本来30年で尽きるものではありません。
確かに、建ててから30年たてば、ガタが来たり壊れてきている部分はあるかもしれませんが、 その反対にまだまだ使える部分も多いはずです。それを再利用したり、修理したりせずに 住宅自体を壊して建て直すというのは、
大量消費社会から持続可能な社会への移行という面で見ても正すべきことですし、
空き家問題の面で見ても、正すべきことです。

新築志向により、まだ住める中古住宅が売れないだけでなく
築30年超えの空き家の多くが、負動産としてみられてしまいます。
そこに住もうと考える人さえいれば、負動産に価値が生まれ、負動産は不動産になれるにもかかわらず、そういった現状があります。

※1 国土交通省 住宅局「平成30年度住宅市場動向調査」よりデータを引用。

※2 小林正宏「欧米との比較における日本の住宅市場の特徴」よりデータを引用。