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相続と空き家
サイトの冒頭でもお伝えした通り、空き家になった住宅を所得した経緯は、「相続した」が最も多く、空き家の半数以上はもともと相続で取得したものです。
さらに、「取り壊し予定の空き家」や、「その他の利用していない空き家」などの有効活用されてない空き家では
「相続した」の割合が、それぞれ62.4%、65.3%と高く、他の有効活用されている空き家より相続の割合が多いことがわかります。
つまり、相続した住宅は空き家になる要因を持ち合わせやすく、その上有効活用されない「もったいない空き家」になりやすいのです。
ではなぜ、相続した住宅は空き家になりやすく、その上有効活用されにくいのでしょうか?
相続で空き家が生まれる
最初に、相続した家が空き家になりやすい理由です。それは、「核家族化で親と子で別の住宅を持つようになったため、親が亡くなって相続が発生したとき
だれも住む人がいなくて空き家になる」というものなのですが、そもそもだれも住む人がいない不動産で、特に使い道もなければ売ればいいですよね?
そうはいかない理由が2通りあります。
一つ目は、相続する家が売れない場合です。
相続した家は、住んでいる人が亡くなった家ですから、誰かが住まなければ空き家になります。
しかし、新築志向の影響もあり、中々誰かに買ってもらって住んでもらうことはできません。
それでも相続した持ち主が住んでいれば空き家ではなくなりますが、
核家族化によって、持ち主は大抵自分の家を持っていますので、住むことはできません。
こうして売れなかった空き家が、固定資産税の関係もありそのままになり、
相続した家は空き家になるのです。
二つ目は、特に相続特有の理由で、故人が住宅をどうすることを望んでいたかわからない。という状態です。
つまり、亡くなった人がその家をどうしてほしかったのか、売ってもいいものなのかわからないという状態で、
「どうすればいいかわからないまま思い出がある実家でもあるのでなんだかんだ売ることができていない」だとか、
「親族どうしで『売るべき』・『売らないべき』と意見が対立してしまって、結局売ることができないまま放置している」といったことがあります。
時間がたてばたつほど住宅の価値は減少し負動産に近づいていくので、売るにしろ売らないにしろ速やかな決定が理想的ですから、
住宅の持ち主は生きているうちに自分の家をどうしてほしいか親族に伝えておくか、エンディングノートなどにきちんと残しておかなければなりません。
有効活用されにくいわけ
そして次は、なぜ相続由来の空き家が他の空き家に比べて有効活用されにくいのかです。
こちらも簡単な話で、自宅以外に「物置代わり」や「たまに寝泊まりに使う」ような住宅を(買うなどして)入手しようと考えているとき、
自分の家から遠かったり交通の便が悪いところにある住宅は選びませんよね。
それに対して、相続では自分の都合によってどこの住宅にするかなんて選べません。
核家族となっていれば、
例え東京に住んでいたとしても、実家が関西にあればもちろん相続する家は関西にあります。
となれば、行くためには何時間もかかり、交通費もかかります。ですから定期的な管理すらも大変で、
相続してすぐに売却・処分することができなければ当然有効活用も難しくなるのです。
実際に、相続で取得した住宅では、他の経緯で取得した住宅に比べ、「遠方に住んでいるので管理が困難」と答えた人の割合が高くなっています。
このように、核家族化のあおりを受けて相続からは空き家が生まれやすく、
さらにはその空き家は有効活用されないものになりがちです。
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