スポーツ界

このページはスポーツと差別の歴史をまとめています。

ニグロリーグ

1880年代、白人と平等な生活をすることができないという風潮が反映して、黒人選手は試合に出場することができませんでした。これに対し反発が起きたためニグロリーグと呼ばれる黒人だけで構成されたチームが結成されました。また、黒人はメジャーリーグに出られないというカラーラインというルールが存在していました。


初のメジャーリーガー(ジャッキーロビンソン)

1947年、ジャッキー・ロビンソンが初めてカラーラインを破りメジャーリーグに登場しました。当初はチームメイトに冷たい目で見られ、ファンからは屈辱的な発言や差別的な行動を浴びせられました。しかし、これに対しロビンソンは反発するような行動はせず、実績とロビンソンの素晴らしい態度によってチームメイトに受け入れられるようになりました。さらには、当時は観客席も白人と黒人で分けられていましたが、黒人のファンが増えことで席を分ける制度を廃止することになりました。


守備位置による差別(スタッキング)

ジャッキーロビンソンの登場により、1960年には黒人選手の割合が増加していきました。しかし、スタッキングと呼ばれるポジション別での差別が多くなりました。投手や二塁手のような中心的ポジションの割合は白人の方が高く、一塁手や外野手のような非中心的ポジションは黒人の割合が高いのです。1980年時点では、中心のポジションでの人種別の割合では白人:黒人が44:18で、非中心的ポジションでの人種別の割合では白人:黒人が25:54であったという調査記録が残されていました。現在では、スタッキング行為はほとんどなくなったと報告されています。


スポーツ界での差別の現状

近年、スポーツ界では黒人選手が増加している傾向にあります。アメリカの三大プロスポーツであるMLB(メジャーリーグ)・NBA(バスケットボール)・NFL(アメリカンフットボール)での人種での選手別割合を見ていきましょう。NBA(バスケットボール)では、1971年に黒人の割合が54%だったものが、1979年には75%、1996年には80%と大幅に増加しています。NFL(アメリカンフットボール)では、1971年に32%だったものが、1978年には48%、1996年には67%とこちらも大幅に増加しています。このように、増加傾向のあるスポーツもありますが、はんたんに減少傾向にあるスポーツもあるようです。MLB(メジャーリーグ)では、1970年に25%だったものが、1979年には73%まで上昇したが、1996年には17%まで減少してしまいました。さらに現在は7.7%まで減少してしまいました。。なぜ、減少してしまったのでしょうか?原因は2つあると考えられます。一つ目は、黒人の子供が野球に関心を示さなくなってきたことです。二つ目は、野球はバスケットボールなどに比べて野球をするための費用が高いのです。野球ではバットやミット、ボール、ヘルメットなどの備品にお金がかかってしまいます。このことから、黒人の貧困率が黒人選手の減少に影響しているのではないかと考えられます。 (https://www.interbasket.net/news/what-percentage-of-nba-players-are-black-how-many-are-white/31018/より)


差別の存在

最近では、メジャースポーツでも黒人選手の割合が高くなっています。また、NBAのように選手のほとんどが黒人選手だというスポーツもあります。しかし、黒人選手の割合が高いNFLでは黒人管理職の割合は0%で、NBAでも7%に満たないと調査されています。NBAでは人種に関係なくスポーツをやるべきだとされていますが、実態を見ると裏では人種による差別が行われています。また、「機械を扱うことが苦手だ」という理由から、コーチのような指導者権限を黒人に与えない傾向が見られます。表面上では差別は起きていないように見えますが、実態を知ると差別は存在しているのです。
(「アメリカ黒人とスポーツ」ー井上果笛より)