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免疫×病気

免疫について免疫×病気

免疫は関わることのない病気がないと言っていいほど、私たちがかかる病気に密接に関わっています。
今回、私たちは免疫が中心となる病気について以下の三つを中心にまとめました。
・アレルギー
・自己免疫疾患
・がん


アレルギー

アレルギーとは、獲得免疫の一種で、免疫反応が不利に働く場合のことを言います。
通常は無害な抗原に対して、免疫反応が過剰に起こることで身体に悪い影響を与えてしまうのです。
原因は、体内に「アレルゲン」が入ると、それを排除するために、免疫細胞の指令により「IgE 抗体」(免疫グロブリンというタンパク質の一種)が血液中に作られます。IgE 抗体は皮膚や粘膜(目、鼻、腸など)に存在する「マスト細胞」に付着した状態でアレルゲンの侵入に備えており、体内に入ったアレルゲンをとらえます。また、それと同時にマスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質が放出され、これが様々なアレルギー症状を引き起こします。

食物アレルギー

食物アレルギーとは、特定の食べ物に含まれている「アレルゲン」に免疫反応が過剰に反応し、体に様々な症状を起こすことです。また、食物アレルゲンの摂取は口からだけでなく、鼻からの吸入や皮膚接触、注射などもあり、ほとんどの食物がアレルギー反応の原因となる可能性を持っています。
食物アレルギーは乳児期に始まることもありますが、成長するにつれて治ることがあるため、成人の食物アレルギー患者は多くありません。しかし、成人になっても食物アレルギーをもっている場合は、アレルギーが生涯続くと言われています。


現在日本では、食品衛生法第 19 条で、発症数や重症度によってアレルギーを起こす可能性が高い食品(アレルゲン)の表示を義務付ける「特定原材料」7 品目と、表示を推奨する「特定原材料に準ずるもの」21 品目が決められています。

花粉症

花粉症とは、体内に入った花粉に対して起こる免疫反応のことを言います。花粉が、鼻や目の粘膜を刺激することが原因です。基本的には、1年の決まった時期(原因となる花粉が飛ぶ時期)にしか発症しませんが、中には複数の抗原に対するアレルギーを持っており、1 年中症状に悩む人もいます。
例:スギ、ヒノキなど

ハウスダストアレルギー

ハウスダストアレルギーとは、体内に入ったハウスダストに対して起こる免疫反応のことを言います。季節に関係なくいつでも発症する可能性があり、年間を通して症状が出ることもあります。
例:ホコリ、ダニ

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは、かゆみを伴う湿疹が、良くなったり悪くなったりを慢性的に繰り返す病気です。
原因は、皮膚の「バリア機能」(刺激や乾燥から体を保護する機能)が低下し、外界からの刺激や抗原が体内に入りやすくなり、これらが免疫細胞と結びつくことによって、アレルギー性の炎症を起こします。また、皮膚を掻くこともバリア機能を低下させてしまいます。

アナフィラキシーショック

アナフィラキシーショックとは、アレルゲンが体内に入ることによって、全身性のアレルギー反応が引き起こされ、血圧の低下や意識状態の悪化が出現した状態を指します。血圧の低下や、のどが腫れて気道が狭くなることで呼吸困難を引き起こし死の危険もあります。つまり、アナフィラキシーショックが生じた際には、迅速な治療が必要となってくるのです。
例:食物、ハチ


アナフィラキシーショックを起こしたことのある人、起こす可能性のある人は「アドレナリン自己注射」という注射式の薬剤を常備しています。実際に注射をするのは患者本人やそばにいる家族などです。注射を行う可能性のある人はアドレナリン自己注射の使用方法を知っておく必要があります。

使用方法
1. アドレナリン自己注射を携帯用ケースから取り出し、オレンジ色のニードル(針)カバーを下に向け、アドレナリン自己注射の真ん中をしっかりと持ち、青色の安全キャップを外します。

2 .アドレナリン自己注射を太もも前外側に垂直になるようにし、オレンジ色のニードル(針)カバーの先端を「カチッ」と音がするまで押し付け、そのまま数秒待ちます。

3 .注射後、オレンジ色のニードル(針)カバーが伸びているか確認し、伸びていれば注射完了です。

4 .使用済みのアドレナリン自己注射は携帯用ケースに戻します。

自己免疫疾患

自己免疫疾患とは、通常は体内に侵入してきたウイルスなどを攻撃し自分を守るために働く免疫系が異常を起こすことによって正常に機能しなくなり、自分自身の組織や細胞を攻撃してしまう病気です。

関節リウマチ

関節リウマチとは、関節に腫れと痛みが生じ、軟骨や骨が破壊されて関節が変形してしまう病気です。
関節だけでなく、目や皮膚、肺なども攻撃することがあります。

全身性エリテマトーデス

全身性エリテマトーデスは、発熱、全身倦怠感などに加え、関節、皮膚、さまざまな臓器が障害される自己免疫疾患です。
頬にできる赤い皮疹(蝶形紅斑)、日光過敏症、口内炎、脱毛、関節炎などが起こります。 臓器障害としては、血球減少症、胸膜炎、心膜炎、腎炎、精神神経障害などがあります。

バセドウ病

バセドウ病とは、自分の甲状腺を刺激する抗体を作ってしまい、甲状腺を刺激して甲状腺ホルモン(チロキシン)が過剰に分泌されることにより、イライラ、動悸、発汗、手指振戦などの症状が生じる自己免疫疾患です。

後天性免疫不全症候群(AIDS)

原因となるHIVとは、「ヒト免疫不全ウイルス」のことです。Tリンパ球やマクロファージに感染しそれらの機能を低下させます。 感染してから8週間がたたないと検査で検出されない可能性があり、感染直後ではウイルスの量が増え、発熱、発疹等のインフルエンザのような症状が現れますが、1、2か月で収まります。その後10年以上の無症候期が続きますが、その後発病期をむかえます。一度体内にHIVが入ると根絶は困難とされています。
後天性免疫不全症候群(AIDS)とは、HIVに感染した人が免疫力の低下により、23の合併症(カンジダ症やクリプトコッカス症など)のいずれかを発症した状態のことを言います。つまり、HIVはエイズの原因となるウイルスであり、エイズはHIVを病原体とする感染症であるため、HIVに感染≠エイズなのです。
また現在では、HIVは死に至る病ではなく、コントロール可能な慢性疾患と考えられており、エイズ発症前にHIV感染を発見し服薬治療を受ければ、エイズの発症を予防することができます。

がん

細胞に何らかの遺伝子の異常が起こり、細胞の増殖が止まらなくなる病気です。その後何年もかけて異常な細胞の塊となり、その内の生命を脅かすものががん(悪性腫瘍)と言われます。がんは近くの細胞に侵入したり、血管やリンパ管を通って他の臓器に転移することがあります。

白血病

白血病は血液のがんです。
血液の中にある血球が骨髄で作られる過程で血球に何らかの異常が起こり、がん化した細胞(白血病細胞)となり、骨髄や血液の中に増えてしまいます。その結果、正常な血液を作ることができなくなってしまうのです。

まとめ