家庭科教育では、当初、男性は生産技術を学び、女性は生活技術を学ぶという授業形態を取っていたが、現在は男女同一のカリキュラムを組んでいる国や地域が増えている。 女性の社会進出などの時代の変遷によって、家庭の生活機能のあり方が変化しつつある。そうしたなかで人々が衣食住その他に関するサービスの提供を求めて生活産業の需要が高まっていけば、職業教育課程における家庭科には、それに応えられるだけの教育が準備されていなければならない。
日本と同様に、西洋やヨーロッパでは家庭科教育が必須科目になっている国が多く、家庭科教育が盛んに行われている。一方で、中国などでは家庭科教育が必須科目ではなく、アジア地域での家庭科教育があまり発達していない国は少なくない。また、日本では女性の社会進出が進み、男女共に平等に家庭科を学ぶことが意識されているが、男性よりも女性の家庭科教育を重視する国もある。
日本では小中学校で家庭科が男女問わずすべての児童・生徒の必修項目になっていると紹介。専門の家庭科室があって実習の機会も多く、よりよい生活技能を身に着け、暮らしの質を高めることが目的。
昭和22年の新教育制度発足により,民主的な家庭建設ができるようにすることを目指した教科として,小学校と高等学校に新教科「家庭」を創設した。それまでの女子教育として位置付いた「家事裁縫」は教科名称・目標・内容ともに改められた。中学校においては,戦前の職業の中の1科目,職業・家庭科,技術・家庭科と変遷し,新学習指導要領では,技術・家庭科の家庭分野として位置づけられている。
家庭科では,家庭生活を中心とする人間の生活を健康で文化的に営むことのできる能力,生活課題を解決し生活を創造することのできる能力の育成を目指している。 そのため,育てる資質・能力を次のようにとらえることができる。 1.日常の家庭生活に関心をもち,生活の現実認識をして見直すことができる。 2.生活の根底にある原理・原則について,科学的に追求して理解する。 3.実際の生活の場で実践できる技術・技能を身に付ける。 4.どうすればよいかを判断して,意思決定しよりよい生活を創造することができる。
中等教育の最終学年で実施される国内統一試験でも、家庭科は試験教科に含まれ、家庭科教育は盛ん。
英国・北アイルランドにおいて、家庭科は、7~9年生の男女ともに必修科目として教えられている。中等教育の修了資格試験の教科として、家庭科は、筆記試験並びに実技試験が課されている。職業教育のための選択科目として採用している学校もある。
ドイツでは1990年代までは多くの州で、「手芸」「家庭科」「被服製作」という教科が設置されていたが、男女別の教育を改める過程で、「手芸」が廃止され、「消費者教育」などに名称変更されている。現在は僅かな州でのみ、「家庭科」あるいは「被服製作」が教科として位置づけられている。
フィンランドでは家庭科は、7年生は必修課程、8・9年生では選択科目として位置付けられている。初等教育、中等教育ともに、食教育を中心に組み立てられているのが特徴である。
オーストラリアでは従来の州毎のカリキュラムが、全国統一カリキュラムに変わりつつある。すでに、4つの教科(History, Mathematics, English, Science)で全国統一カリキュラムが実施されている。家庭科の新しいカリキュラムは、アドバイザリーグループが作っている最中である。家庭科の中にdigital technologiesを含むことも課題となっている。
家庭科が必修科目でない。家庭科を開設する必要が大いにあると指摘されている。現在の子どもたちは家事を手伝うことが少なく、この分野の知識を学ぶ機会もないため、高校を卒業する歳になっても家事について学ぶ機会が少ない。