オーストラリアはICTの導入を進める一方で、歴史教育にも重きを置いている。 急上昇する大学教育を見ても、様々な点で教育が急成長している国と言えるだろう。
オーストラリアでは、世界史を始めから最後まで通史で学習するのではなく、重要な史実をいくつか選んで勉強する方法が採られている。
オーストラリアは教育に関する権限を各州が持っているが、2008年からナショナルカリキュラムが開発されている。その中で全ての子供が学習すべき現代課題にはアボリジニ及びトレス海峡島嶼民の歴史と文化やアジアとの関わりが含まれており、歴史教育を重視する姿勢が鮮明である。2008年の「ナショナル宣言」では「 オーストラリアの社会的、文化的、言語的、宗教的な多様性を肯定的に評価し、オーストラリアの政治システム、歴史、文化を理解する。」といった人が活動的で教養がある市民であるという文言があり、歴史への理解が常識のように扱われている部分もあった。
ICT教育 多くの教室にプロジェクターとスクリーンが備わっており、パソコンを普段の授業で活用している学校が多い。私立学校では独自のサイト上に授業で使用される日本でのプリント類のようなコンテンツをすべて公開して、授業中、生徒たちはそのサイトを見ながら学習を進める。そういった学習でのそれぞれの進捗は教師から確認できるような仕組みとなっている。様々な学校で共通していたのは、ICTが学習に自然に使用されているという点である。
オーストラリアでは従来の州毎のカリキュラムが、全国統一カリキュラムに変わりつつある。すでに、4つの教科(History, Mathematics, English, Science)で全国統一カリキュラムが実施されている。家庭科の新しいカリキュラムは、アドバイザリーグループが作っている最中である。家庭科の中にdigital technologiesを含むことも課題となっている。
オーストラリアでは、1999年以降大学進学率が急上昇している。シドニー大学では週に34~45時間勉強することを推奨している。
アボリジニとは、ヨーロッパ人が渡来する以前にオーストラリアに住んでいた原住民のことである。土地をめぐる対立の結果、多くのアボリジニが犠牲になった。現在、アボリジニらは社会的地位を獲得しオーストラリアの政治にも大きくかかわっている。