反対意見③

えだ:後は冒頭でも触れたけど、顔採用も「ルッキズム」問題の一つだよ。実際に私たちの学校で中高生100人を対象に「あなたは会社の人事です。履歴書の写真を見た時、どちらの人を採用しますか。」という内容のアンケートを行なってみたんだ。アンケートには男性、女性の写真をそれぞれ2つずつ添付していて、その写真からどちらがよいか1つずつ選んでもらったよ。画像は生成AIを用いて作成したよ。アンケート結果は下のようになったよ。

こたくん:だいぶ偏ってるね。

えだ:これは極端な例を出したから仕方ない部分もあるんだけど、この結果は「人を外見で判断してしまう傾向」を示しているんだ。この人たちの性格や能力が分かっていなくても、見た目の良い方を採用するのは公平とは言えないよね。

もと:でも私がさっき話した内容と重なるけど第一印象や見た目って結構大事なんじゃないかな。

もと:見た目に気を遣っているということは、細部まで気を配れる常識のある人間だと判断する材料になるのは勿論分かるよ。だけどみんなも、最初の印象と喋ってみた時に感じる印象が全然違ったっていう経験あるんじゃない?

紫:それはあるね。それにもし自分が見た目で私の実力以下の評価をされたら、すごく悔しいな。

こたくん:そうだね。それが採用で行われていると考えてみて。自分の方が人間性がしっかりしていて実力も伴っているのに、外見を理由にして他の人が採用されたとしたら…。

もと:それは不公平だね。

えだ:実際に学校で「見た目で特別な扱いをうけている人を見たことがあるか」という質問をしたところ、100人中60人が見たことがあると答えたよ。見た目で優遇されていたり、逆に自分が不当な扱いを受けたりすることは身近でおこっているんだね。

紫:複雑だね…。

もと:こういうのがきっかけで人との関係がこじれたりしたら悲しいね。

えだ:皆がそういう経験をせずにすむように、何かできることはあるんじゃないかな。

もと:平等に機会が与えられていないのは不公平だよね。また「ルッキズム」をなくすことは、持続可能な開発目標(SDGs)の目標10「人や国の不平等をなくそう」の実現にも必要不可欠なことなんだ。さっき触れた差別問題も含め人を容姿で判断して勤労機会を制限したり不公平な評価を下したりすることは、私たちの目指す「誰も取り残さない」世界にはふさわしくないんじゃないかと思うよ。

こたくん:その通りだね。

もと:そういえば、ネット上や友達との会話の中で「イケメンって人生勝ち組だよね〜」とか「イケメンに生まれたら悩みとか無いでしょ!」とかいう発言を耳にするんだけどこれって…。

えだ:うん。「ルッキズム」の考えを押し付けているよね。

こたくん:どんな人にも悩みがあって苦労することも沢山あるのに、それを見た目でそんな風に判断されたらとても嫌な気持ちがするんじゃないかな。

えだ:でも実際私もそういう内容の話をしたことあるなぁ…。

紫:私もある…。

オカ:そういった気づきって大切だと思うよ!自分の中の「ルッキズム」思想を自覚できればそれをなおしていくことができるからね。

もと:うん…そうだね…。私も日頃の自分の行いを見直してみよう。

こたくん:みんなルッキズムについて色々と考えることができたようだね!

(本文で扱っているアンケートは、岩田学園で中高生100人に行った調査です。 また形成外科は大分市にある銀座美容クリニックに訪問し、ヒアリングを行いました。)