■ レアメタルの用途
ここでは、レアメタルについて4つの用途を紹介します。
(特殊鋼・電子材料・精密加工機械・環境、エネルギー)
特殊鋼
特殊鋼とはクロムやニッケルなどの材料を少しずつ特殊配合した鋼のこと。
材料の種類や量そして混ぜるタイミングを変えると
さまざまな形質になるためいろいろな場面で役に立つ。
基本的にクロムやニッケルの他にはモリブデン、マンガン、バナジウム、タングステン、コバルトなどを
混ぜ合わせて使う。
わかりやすく言うと
料理の隠し味のようなもの。
ここ6年間は1億〜1億1000万トン生産されている。
内訳は転炉鋼が8000万トン、電炉鋼が3000万トンとなっている。
*それぞれのレアメタルの働き
クロム・・・錆びにくくなる。ステンレス鋼はクロムが11%以上入っている。焼入れをしやすくする働きもある。
ニッケル・・・錆びにくくなる、耐ショック性がつく。
モリブデン・・・高温の中で鋼がやわらかくなることを防ぐ。焼入れのときにも働きを助ける。
マンガン・・・鋼の強度が増す。鋼には必ず含まれている元素。モリブデンと同様、焼入れのときにも働きを助ける。
バナジウム・・・モリブデンと同様、高温の中で鋼がやわらかくなることを防ぐ。磨耗しにくくする。
タングステン・・・モリブデン、バナジウムと同様、高温の中で鋼がやわらかくなることを防ぐ。
バナジウムほどでないが磨耗しにくくなる。
コバルト・・・鋼が真っ赤になるくらい高温でもやわらかくなることを防ぐ。
電子材料
主に半導体レーザー、発光ダイオード、一次電池、二次電池(ニッケル水素電池)、燃料電池などに使われる。
半導体レーザー、
発光ダイオード
半導体に電圧をかけると、移動した電子がホールと結びつく際にエネルギーを放散する。
このときの発光を利用したのが発光ダイオードまたは半導体レーザーという。
光の分布により発光ダイオードと半導体レーザーと呼び方が異なる。
(発光ダイオードは広範囲に分布、半導体レーザーは集中して分布)
レアメタルを多量に使用している。
一番身近で使われているのは
CDやDVDの読み出しに使われる半導体レーザーである。
精密加工機械
精密加工機械とは
非常に高い精度が求められる部品を加工するために必要な機械のこと。
デジタルカメラ、携帯電話、ノートパソコンなどの製造には必須で、意外なところでは
ボールペンのボール、ビール缶、ビデオテープなどにも使用されている。
例えば、携帯電話をぶるぶる震わせる超小型モーターの磁石には、ネオジムが使われている。
ネオジムは鉄に混ぜると磁石の力が強くなる、という不思議な性質がある。
ネオジム磁石は「最強の永久磁石」で、日本人研究者が1983年に発明した。
どのくらい強力かというと、何と磁石の重さの880倍もの重さの鉄を持ち上げることが出来るという。
これにジスプロシウムを混ぜると磁石の性質がさらに強まるのでハイブリッド車のモーターの磁石に使われている。
では、世界最強の磁石=ネオジム磁石がどのくらい強力なのか、見てみよう。
【実験】ネオジム磁石の強力なパワーを実感しよう!
環境、エネルギー
燃料電池や光触媒などの性能を高めるために使われている。
リチウムやチタンは二酸化炭素の吸収と固定を行い、
コバルトやアンチモンは熱を電気に変換する熱電発電に使われている。
リチウムセラミックスとチタン酸バリウムセラミックス
リチウムセラミックスとは
リチウムの酸化物で、核融合炉のトリチウム増殖材として使用される。
酸化リチウムの他にはリチウムアルミネート、リチウムタイタネート等がある。
2001年のは東芝が450℃〜700℃の高温で二酸化炭素を体積比400〜500倍と
大量に高速で吸収する
リチウムシリケートセラミックスを開発した。
この
リチウムシリケートは室温から720℃までの温度域では二酸化炭素を吸収し、
900℃付近では二酸化炭素を放出する可逆反応を示す。
チタン酸バリウムセラミックスは
強い誘電性を示すため
コンデンサ材料、焦電体、圧電体などの電子部品材料として用いられている。