現代の文字が抱える問題についてダイグロシアがあります。
区別的二言語併用(ダイグロイア)とは、社会規模で、ある民族の書き言葉と話し言葉が異なってしまって、全く異なる二つの言語になってしまった状態をいいます。これは公の場で使用する高等な言語(H変種)と、家庭など私的な場で用いる言語(L変種)です。ちなみにこれと同じ現象が個人の範囲で起こるとそれは「バイリンガル」と呼ばれます。普通は言語についてのみ言いますが、ここでは言語と文字の関係で考えています。
▲H変種とL変種の違い。
これには主として2つの種類があります。
一つは、正言語(H変種)と非正言語(L変種)の形を認識する社会で、正言語のみが文字で伝えられているという場合です。もう一種類は日常語は進化してしまったが、書き言葉は進化が遅く、取り残された、という場合です。
これらの違いがあるために、次の問題が起こります。
1、文字が分かりにくく、また扱いにくくなる。 2、子供に伝えるのは困難になる。
1はまだしも、2の場合問題なのは、文字の習得に時間とお金がかかるものとなるので、社会の成長を妨げているということです。これがダイグロシアとして議論されている問題です。
こうした問題意識が社会に広く浸透すると、なんとか状況を良くしようと、綴り改革(文字を言語に調整する)が起こるのです。しかしこの試みはうまくいかないと考えられています。なぜでしょう。