こうした文字に関する問題が起こると、「綴り字改革」と呼ばれることがしばしば試まれてきました。しかしこれは非現実的で、できたとしても、その効果はあがらないでしょう。
すべての文字は、どんなに偉大なものとして扱われ、また多くの人々に使用されてきたといっても、実際は話し言葉の完全な再現ではなく、近いものにすぎません。
本来なら、一つの文字体系の表記法で全ての音素の発音を表現できなくてはなりませんが、たとえば、アルファベットでは、曖昧さや不明瞭さが原因で、意味における不確実さが生じてしまいます。発音を正確に表現できるのは専門記号だけですが、もちろんそういった記号を公用文字にするのは現実的ではありません。では新しい文字体系を作り出すかとなればそれは大変な労力を要することが予想されます。この問題はたびたび議論されてきました。