電気の作られ方
いくら電気製品がそろっていても、それを動かす電気がなければ意味がありません。
この電気は、どのように作られ、どのように運ばれるのでしょうか。
2009年の日本では、火力発電が60.3%、原子力発電が30.6%、水力発電が9.1%と、
火力発電と原子力発電でほとんどの電気をまかなっていました。
しかし、東日本大震災の影響で、原子力発電の使用が見直されるようになっています。
原子力発電に変わる様々な発電方法が、現在研究されています。
参考資料:
電気が一番わかる
↓次の項目へ
電気の運び方
電気は、遠く山奥や沿岸など、都心部から比較的離れた場所に設置されている発電所で生まれ、電線を通って届けられています。
日本国内では、山奥などを除き、ほぼすべての場所で電気を使うことができます。
この様な鉄塔を見たことがありますか?
この鉄塔は、
発電所や変電所と、家庭や工場などの消費地を結ぶ送電線を支える役割を担っています。
2本の鉄塔の間にかかっている送電線は、一本がおおよそ800〜900キログラムと、車一台分もの重さがあります。
送電線は、風や雨の影響を受けたり、自らの重さに耐えられなくなるなどして、切れてしまうことがあります。
それを防ぐために、送電線にはダンパーと呼ばれるおもりがつけられています。
このおもりのおかげで、送電線が揺れてもねじれにくくなっています。
鉄塔には、送電線6本以外にも、一番上の部分に一本の線がかけられています。
これを架空地線といい、避雷針の役割を果たしています。
また、電気が漏れてしまわないような工夫もされています。
金属でできている送電鉄塔は、電気を通しやすくなってしまいます。そこで、送電線と鉄塔を絶縁する、磁器製のがいしが取り付けられています。
日本の大型発電所の多くは、三相交流発電を行っています。
これは、3組の回路を、回転する磁石の周りに並べた形の発電機を使う方法です。
これは、3本の電線に、発電した電流を流します。
送電鉄塔に架かっている電線も、電信柱に架かっている電線も、3本が多いですね。
これは、もっとも送電と費用の効率が良いからです。
参考資料:
発電・送電・配電が一番わかる
↓次の項目へ
タービン
現在日本で主に行われている発電方法で、最も重要な役割を果たすのが、「タービン」と呼ばれる部分です。
タービンは、鉄製の羽が数十枚並んだ、円錐のような形の羽根車です。
蒸気の圧力を高め、その蒸気で発電する方法では、多くの場合タービンが使われます。
タービンに吹き付けられる蒸気は、最初は高圧なので体積が小さいです。
しかし、タービンに当たるとだんだん体積が増えていきます。
それにあわせるため、タービンもだんだん広がっていきます。このため、円錐に近い形になるのです。
この様に、発電の効率を上げるために様々な工夫が施されています。
参考資料:
発電・送電・配電が一番わかる
↓次の項目へ
火力発電
ボイラーで天然ガスなどの燃料を燃やし、その熱で水を蒸気にします。
その蒸気の圧力を高め、発電機につながれたタービンを回転させて発電します。
タービンに吹き付けた蒸気は、冷却して水に戻し、再利用します。
ボイラーの中で燃料を燃やすと、水だけでなくボイラー自体も温まります。
このボイラーに伝わった熱を取りだし、ボイラーを通過する前の水に与えることで、発電の効率を上げています。
火力発電所は、燃料を運びやすく、タービンを通ったあとの蒸気を冷やすための水が必要なので、
主に臨海地域に作られます。
参考資料:
発電・送電・配電が一番わかる
↓次の項目へ
水力発電
水が下へ落ちるときの力を利用して電気をつくるのが水力発電です。
水力発電で使う水は、海水が蒸発し、雨となってたまったものです。
そして、水は川を下り、海に帰っていきます。
この水のサイクルの中で発電しているので、非常に環境に優しい発電方法です。
しかし、大きな電流を得るためには大きな発電施設が必要になってくるので、建造しにくいという難点があります。
ダムに水を溜め、そこから大量に水を落とす方法や、河に水車を入れて発電する方法があります。
川の水量にも限りがあるので、夜間などで電気が余る場合、その電気を利用して水を再びくみ上げる揚水方式が多くとられています。
水車の形も、近代的な物に進化しています。
参考資料:
発電・送電・配電が一番わかる
↓次の項目へ
原子力発電
原子力発電は、核反応によるエネルギーを使って発電します。
少しの燃料から膨大なエネルギーを取り出せるので、「夢のエネルギー」といわれたり、様々な物語でエネルギー源として使われてきました。
ヨーロッパでは、原子力発電を主な発電方法としている国もあります。
日本でも各地に原子力発電所が造られ、火力発電に次ぐ主な発電方法となっていました。
しかし、東日本大震災による原子力発電所の事故により、使用し続けるべきか意見が分かれています。
↓次の項目へ
原子炉の仕組み
主に行われているのが、「核分裂」を利用した方法です。
ウランで核分裂を起こし、その時に放たれるエネルギーで水を蒸発させ、火力発電と同じく、圧力を上げてタービンに吹き付けます。
ウランに中性子を一つぶつけると核分裂が起き、中性子が二つと生成物が放出されます。
この、ウランから飛び出した中性子が他のウランにぶつかることで、次々に核分裂を起こし、エネルギーを取り出します。
しかし、このままでは反応が加速する一方で、燃料がなくなるまで反応し続けます。
発生するエネルギーの量が多くなりすぎて、原子炉が破損する危険も高まります。
そこで、反応が進んだら、中性子を吸収する制御棒を挿入し、核分裂を制御します。
参考資料:
わかりやすい原子力 その原理と利用
↓次の項目へ
燃料が増える?
研究中で、成功すれば使う燃料をさらに減らすことができる「高速増殖炉」というものがあります。
「増殖」というのは、燃やした燃料よりも新しくできる燃料の方が多くなることをいいます。
ろうそくに例えると、「ろうそくに5本に火をつけたら、新しくろうそくが6本できた」ということです。
原子炉の中で、核分裂がおきたときに、核分裂がおこりにくいウランを、おこりやすい物質に変えると共に、
今まであった燃料の性能を上げます。
ろうそくのたとえを詳しくすると、
「地面に置いたろうそく5本に火をつけたら、ろうそくが分裂すると同時に、溶けたろうが落ちた小石の一つがろうそくに変わって、新しいろうそくが合計6本できた」というものです。
参考資料:
わかりやすい原子力 その原理と利用