自然界で起こる電気の現象

自然界でも、電気による現象はいくつも起こっています。
その一部は、だれもが経験したことがあるような身近なところで起こっています。
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雷は「大きな静電気」と考えることができます。この静電気は、
雲などで、水滴が上空に運ばれて氷の粒となったものや、火山の噴火で巻き上げられた火山灰や、砂嵐で巻き上げられた砂の粒が、
互いにこすれ合ったり、ぶつかることで発生します。

雷は、背の高いため氷の粒が出来やすい積乱雲で発生しやすく、雲がないときにはあまり発生しません。
ぶつかる氷は、水蒸気のような大きさの小さな粒もあれば、霰(あられ)のように比較的大きな粒もあります。

ぶつかる時、小さな粒は+に、霰は−に帯電します。どうしてこのようなことが起こるかは、まだはっきりしていません。
上昇気流により、雲の上部は小さい粒が集まり+に、雲の下部は霰−に帯電した状態になります。
この時、「静電誘導」という現象が起こります。
静電誘導は、「帯電したものを帯電していないものに近付けると、帯電していなかったものの表面が帯電する」という現象です。
この静電誘導が、雲と地面の間で起こります。
雲の下の部分は−に帯電しているので、地面は+に帯電します。


この状態で雲の中の静電気が発達していく と、最後にはついに空気の抵抗を突き破って地面に電気が流れ込みます。
参考資料:
Hinemos:知見特想部:雷の発生メカニズム
Wikipedia:雷
Wikipedia:電子雪崩

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デンキウナギ、デンキナマズ

体内でつくられた電気を、危険を感じた時に流します。
これらの生物は、細胞が発電できるように進化しています。
この細胞が一斉に電気を放つことで、電池をいくつもつなぐように、高い電圧の電気を流すことができます。
細胞一つ一つの電気は弱いものの、数千個の細胞が一斉に発電することで、一匹で600〜800V(乾電池400個分以上)もの電圧を発生させることもあります。
参考資料:
Wikipedia:デンキウナギ

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日常生活における利用

今や、日常生活では電気は欠かせない存在になっています。
電気はいろいろなエネルギーに変換しやすく、ほかのエネルギーより伝えやすいので、
「動力」「温度調整」「通信」など、広く使われています。
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動力 電動機(モーター)

電動機は、電気を使ってものを動かす機械です。
一番身近なものはモーターです。
電車や電気自動車、電池式のラジコン、携帯電話などのバイブレーターにも使われています。
ほかにも、リニアモーターや、磁場を用いない超音波モーターなどもあります。
単に「モーター」というと、「電動機」のほかに「圧力モーター(エンジンなど)」「分子モーター(微生物などの移動に)」など「原動機」全般をさすことがありますが、ここでは電動機のことをモーターと呼んでいます。

電車や新幹線の屋根の上を見たことがありますか?
屋根の上に「パンタグラフ」と呼ばれる電気を受け取る装置があります。
ここから電気をもらい、線路に電気を返すことで電気の道を作り、車内で電気を使っています。
・モーター
・照明
・空調
など

扇風機は、モーターに電気を送ることで軸を回転させ、その軸に固定した羽根で風を送りだします。
直流モーターは電流の流れる方向で回転方向が決まり、電流の大きさによって速さが変わるので、電流の使い方でいろいろなまわし方ができます。
参考資料:
Wikipedia:原動機

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熱の受け渡し

電気ヒーター・電子レンジ

電気ヒーターは、電流に抵抗をかけることで電気エネルギーを熱エネルギーに変換して放ちます。
この時、同時に光も放たれます。オレンジ色の光をしているのは、「赤外線」という熱に変わりやすい光が出ているからです。
白熱電球は、この光を利用しています。
初期の白熱電球は、電気をうまく光に変えられず熱になってしまう部分が多かったため、
使用時は非常に熱くなりました。

電子レンジは、電磁波を発生させて水分子を振動させ、熱を生み出しています。
電磁波は人体に有害ですが、電子レンジの内側は電磁波を通さないように加工されており、
扉が開いている状態では電磁波を発生させないようにする安全装置も組み込まれています。
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冷蔵庫

近年の冷蔵庫では、主にヒートポンプ方式で冷却が行われています。
これは、空気や液体の圧力が変われば温度も変わるという現象を利用しています。
実は、これは山などの高いところに行くと気温が下がるのと同じ現象です。
一本の大きな管の半分で圧力を上げることで温度を上げ、もう片方で圧力を下げて温度を下げています。
この時、液体などを流したり、圧力を調整するためのポンプを、電気で動かしています。

これ以外にも、半導体と電気を使って冷やす方法があります。
2種類の金属板(もしくは半導体)を張り合わせ、その接続部分に電流を流すと、片方の金属板の熱がもう片方の金属板に移動します。
しかし、電流を流すことでも熱が発生するので、効率が悪く、あまり普及していません。

参考資料:
Wikipedia:冷蔵庫
Wikipedia:ヒートポンプ
Wikipedia:ペルティエ効果

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情報の受け渡し

電気による信号は、主に電流を使っています。
「流れている/流れていない」の2種類の信号(2進数)を伝えることで情報を送っていたり、
電流の大きさで情報を保存しています。
電波は、電流を届ける方法の一つです。
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電話・インターネット

電話は、大きく分けて2種類あります。
・固定電話や公衆電話など、電話線が必要なもの
・携帯電話など、電話線がいらないもの
前者の、電話線が必要なものは、電話線を通して電話会社につながっています。
電話線がいらないものは、主に信号を電波にし、基地局を介してやり取りしています。

電波は、電磁波の中で300万メガHz以下のものです。
電磁波は光も含みますが、電波は触ることができず、光でもありません。
導体であるビルの鉄骨などに当たると反射しますが、それ以外の木や人体なら通り抜けます。
光と同じ、時速約30万qで伝わるので、高速で通信することができます。
空気などがない真空の空間でも伝わるので、宇宙でも利用されています。
3から30MHzの電波は、電離層と呼ばれる高い所にある層で反射するので、地球の裏側まで届きます。
参考資料:
AMATEUR RADIO WORLD アマチュア無線で広がる新しい世界
ニューワイド 学研の図鑑 宇宙
たのしい電波教室

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コラム 秒速30万q

秒速30万qは、光速と呼ばれる光や電波が伝わる速さです。全てのものの速さは、これより速くはならないといわれています。
1秒で地球を約7周半してしまう速さですが、宇宙に送った場合は、「○光年」という途方もない距離を進むので、
何年、何百年、何百万年もかかってしまうことがあります。
ちなみに、宇宙で距離をあらわすときによくつかわれる「○光年」というのは、光がその時間直進した時に進める距離です。
例えば、「400光年」というのは光でさえ届くまで400年かかるという、とんでもない距離です。
新幹線に近い速さの時速300qで同じ距離を進むと、おおよそ14億4千万年かかってしまいます。
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計算・情報処理

複雑な電子回路をつなぎ合わせ、命令を書き込んだりすることで、
キーボードやディスプレイといった外部装置と、キーが押されたこと認識する、画面を表示するなどの「信号の受け渡し」
届いたキーの信号を分析してどのキーが押されたかを理解する、画像のデータを電気信号に変えるなどの「情報の処理」
アプリケーションを開く、インターネットに接続するなどの「命令の実行」
などといったことができます。
これらは、実は主に0と1の2進数で行われています。
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電子回路・集大成コンピュータ

途切れることなく電気が流れる道を回路といいます。
この回路が埋め込まれた板などのことを基板といいます。
その回路に、いくつもの電子部品を組み込んで仕事をできるようにしたものが電子回路です。
この構造は、具ののったのピザに似ています。
ピザの部品は、
・土台となる生地
・ソース
・トッピング
となります。


この「生地」の部分が「基板」、
ソースが「回路」、
上に乗っている「トッピング」の部分が「電子部品」にあたります。

コンピュータは、たくさんの電子部品でできた、複雑な回路です。
しかし、実際使われているものは、細かな種類こそ多いものの、特別なものはほとんどありません。
実際にパソコンを開いて、中の様子を探ってみました。
それを例に、解説します。
※写真に映っている銀色のものは一円玉です。
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電子部品

電子回路に使う部品のことです。
最近では、半導体部品が多くつかわれるようになりました。
しかし、熱にあまり強くないものもあります。

電子工作が趣味で、自分で部品を購入し、回路を組み立てる人もいますが、
組み立てるときに熱を使う場合があり、このときに熱しすぎて故障し、使えなくなることもあります。
工場では、製造する機械に不具合でもない限りそのようなことは起こらないので、 不良品はほとんどないと考えてよいでしょう。

最近は、携帯電話やゲーム機など、小さく複雑な回路が多いので、「チップ型」と呼ばれる極小さなものが多く使われています。
ここでは、とくによく使われているものについて解説します。
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LED

発光ダイオードとも呼ばれる、半導体部品です。
決まった方向に電流を流すと光ります。この仕組みはかなり複雑です。


この写真では、下から上に流れます。足が長い方が+です。

白熱電球や蛍光灯よりも少ない電流で光らせることができます。
光るときに赤外線や紫外線をあまり発しないため、熱の発生をかなり抑えられています。
そのため、省エネとして照明や信号機などに広く使われています。
ごく小さなサイズにまで小型化できます。
しかし、熱があまり発生しないために、寒い地域ではLEDの信号機が凍りつくといった問題もあるようです。

寿命も長く、衝撃にも強いため故障することはあまりありません。
参考資料:
Wikipedia:LED

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集積回路(IC)

ごくごく小さな電子部品(おもにトランジスタ)で作った回路をケースに入れたものです。
この回路はとても複雑で、手作業で作ると時間がかかるうえに故障しやすくなり、場所も必要となるので、精密な機械で作られます。
命令を書き込むことで、「条件判断」「信号の入出力の管理」など、高度な処理を行うことができるので、
パソコンなどによくつかわれています。
最近のパソコンには、ほぼ確実にこの部品が使われているといっていいでしょう。 集積回路にしないものと比べるとかなり小さくできるので、携帯電話や万歩計、携帯ゲーム機など、小さな機械にもよく使われています。
最近では、車にも制御のために一台当たり数十個から数百個使われていることもあります。

写真の中の、黒い長方形(四角形)で、端子が4つ以上あるものはIC。
(中央・右上)

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トランジスタ

半導体部品の一つで、条件分岐を発生させることができます。
「バイポーラトランジスタ」というものは、N型かP型の半導体をもう一種類の半導体で挟んでつくられます。
このパターンにより、「PNP型」と「NPN型」に分類されます。
端子は、それぞれの半導体に一つずつ、合計3つついています。

それぞれの端子を、

名前 略号
ベース B
コレクタ C
エミッタ E
と呼びます。
メーカーや製造時期、型によって端子の順が変わることがあります。

分岐の例として、
コレクタに電流が流れ込んでいるとき、ベースに電流が流れているかいないかで、
流れていれば出力されてエミッタに電流が流れますが、

流れていなければ出力されず、エミッタには電流は流れません。


参考資料:
Wikipedia:トランジスタ

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トランス

トランスには、鉄心とコイルでできています。 コイルは、導線をばねのように巻いたものです。ただし、ばねではありません。 中に鉄芯を入れることで、電流を流すと強い磁力が生まれる「電磁石」として使うこともできます。
巻き数を多くすることで、力を強くできます。市販されている物は、導線どうしと鉄芯はコーティングなどで絶縁されています。
まき数の違う電磁石を二つ並べることで、電圧を変化させる「トランス」という電子部品もあります。
これは「変圧器」とも呼ばれ、家庭に電気を届けるときにも使われています。

この図の場合、Aに電流を流すとBには電圧が下げられて電流が流れます。
逆に、Bに電流を流すとAには電圧が上がった電流を流すことができます。
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抵抗器


回路に電気抵抗を発生させる部品です。
電圧や電流の調整をします。
いちばん簡単なつくりのものは、電気抵抗の強さを調節した金属の塊です。
金属は種類によって電気抵抗が違うので、種類の違う金属をまぜて作られます。
複雑な作りを組み込む必要がないので、小型化することが簡単です。
簡単な電子工作や昔の製品では写真の中央にある水色のものが、
最近の製品では、写真の右側にある黒くて小さいものが
使われています。
基盤にされるメモでは「R」と略されることが多いです。
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コンデンサ


電気をためておくものです。電気を発生させる電池とは、仕組みが違います。
コンデンサの祖先はライデン瓶で、金属の間に絶縁体をはさみ、一方の金属に電流を流すと電気が絶縁体にたまるという現象を利用したものです。
大きさや構造などで様々な種類があり、それぞれためられる電気の量にも違いがあります。
写真の左端にある黒い筒のようなものも、右側にある青いものも、どちらもコンデンサです。
「電流をためておく」だけでなく、たまった量が多くなったときに「放出する」、つまり「電流を流す、電源になる」という働きもあります。
インスタントカメラのフラッシュや、交流電流直流電流になおす時にも使われます。