黄道十二星座とは地球上から太陽の見える軌道上にある13個の星座のうち、へびつかい座を除いた12個の星座をいいます
 星占いにはこの12個の星座が使われているのは皆さん、ご存じだと思います。
 ギリシャ神話などにはこれらの星座にまつわるお話がいくつも出てきます。  ここでは、その中からいくつかを紹介したいと思います。





十二星座とは

占いなどによく使われだいたい月別になっています。

牡羊座3月21日〜4月19日  牡牛座4月20日〜5月20日  双子座5月21日〜6月20日
蟹座 6月21日〜7月22日  獅子座7月23日〜8月22日  乙女座8月23日〜9月22日
天秤座9月23日〜10月22日  蠍座  10月23日〜11月21日  射手座11月22日〜12月21日
山羊座12月22日〜1月19日  水瓶座 1月20日〜 2月18日  魚座 2月19日〜3月20日


牡羊座

 テッサリアという国のアタマス王にプリクソスとペレーという子供がいました。
 生みの親はネペレーといい、雲の精でしたがその後、アタマスはイーノーを妻としてむかえ、プリクソスとペレー兄妹はイーノーに邪魔者扱いされていました。
 ある日イーノーはプリクソスを計略にかけ、生贄にされそうになります。
 それを知ったネペレーは、ゼウスに助けを求め、ゼウスに助けるよう言われたヘルメスが、空を飛べる金色の羊を使って助け出しました。
 兄妹を乗せた金色の羊は、空を飛びヨーロッパとアジアの境にある海峡もあるコーカサスの山の上までやってきます。
 その時ペレーは、あまりの速さに目まいを起こし海に転落してしまいます。
 黄金の羊は、ゼウスの生け贄に捧げられ黄金の皮はコルキスの神殿に飾られました。

牡牛座

 牡牛座には二つの伝説があります。
一説は、ゼウスが、天上からボエニキアの国を見ていると牧場に一人の美女が遊んでいるのを見つけました。
 その美女は、ボエニキア王の一人娘エウロパでした。
 ゼウスは、白い牛に姿を変え、エウロパ近づきました。
それを知らないエウロパは美しい白牛がおとなしそうだったので、白牛と戯れ、やがてその背にまたがります。
次の瞬間白牛は走り出した海も大地のように走り、恐れるエウロパに、ゼウスは、
「私はゼウスだ。言うことを聞け」
と言い、エウロパをクレタ島までつれて行きました。
 そしてたどり着いた地は、エウロパが初めてたどりついた人間でしたので、その地をエウロパにちなんでヨーロッパと呼ばれました。
後にエウロパはゼウスの子を3人産み生涯をすごしたといいます。

 もう一方の説では、この牛は実は雌牛であり、王妃ヘーラの神殿に仕えるみこイオが変身したものだそうです。
 つまり、ゼウスにみそめられ、密通を重ねるイオを誇り傷つけられたヘーラが、イオを牡牛の姿に変えてしまい、
 その牛の姿を象徴するこの星座は牡牛座と呼ばれながら女性星座に属しているといわれています。

双子座

 この星座の前身は、その名の通り兄弟で、父はゼウスだが、ギリシア神話の中でも絶世の美女として知られているレダです。
 レダはスパルタ王の王妃でしたが、ゼウスから神の子ポルクスとヘレネを、夫から人間の運命を持つカストルとクリュタイメストラを産みました。
 ヘレネとクリュタイメストラは美しい娘となり、ヘレネは世界一の美女といわれ、トロイ戦争の原因となりました。
 双子座になったのはカストルポルクスであるカストルはスパルタ王の子で、人間の運命を背負い、ポルクスはゼウスの子で不死の運命を定められていました。
 カルトスは馬術の名人、ポルクスは拳闘の達人で二人は一緒に戦場を駆け巡り勇名をはせていました。
 ある時、もう一組の双子の兄弟と一頭の牛を4人で分ける時の争いのときカストルの喉に槍が刺さり意識はあるものの運命は明らかでした。
 ポルクスは涙を流し、父ゼウスに、自分の死を願ったゼウスはポルクスの元に現れると、
「お前は私の息子であるし、カストルはレダの夫がお前の母に産ませた者だ。お前が私とともにオリンポスに住むなら喜んでお前を許そう。だがお前が弟の命を助けて、彼の運命を分かとうというのならば、お前は生涯の半分を地下で暮らし、半分は彼とともに天で暮らすが良い」
ポルクスは後の道を選びます。 こうしてカストルとポルクスは双子座となったのだそうです。

蟹座

 蟹座の物語に登場する物語の主役はギリシア神話中随一の英雄ヘラクレスです。
 ゼウスと人間のアルクメナとの間に生まれたヘラクレスは生まれる前からゼウスの正妻ヘラの呪いをうけ、愛する子供を皆殺しにしてしまいました。
 その罪を償うため、ヘラクレスは生涯に12の大業を成し遂げますが、その2番目にあたる「レルネア谷の怪蛇ヒドラ退治」が、蟹座のエピソードとなっています。
 嫉妬深い王妃ヘラの悪巧みに乗せられ、ヘラクレスは9の首を持つ大蛇ヒドラを退治に出かけますが、その時ヒドラに加勢する1匹の巨大な蟹が現れヘラクレスの足をはさみます。
 この巨蟹も実はヘラがヘラクレスの大業を成し遂げるのをジャマするために、ヒドラの手助けをしました。
 巨魁はヘラクレスの足を挟みますが、逆に、ヘラクレスに踏み潰されてしまいます。
 この巨蟹が天に昇って蟹座になったのだそうです。

獅子座

 獅子座の由来も、蟹座と同じヘラクレスの武勇伝にまつわるエピソードです。ヘラクレスの12の大業のうち、1番目の仕事が獅子座に由来します。物語「ネメアの森の人喰い獅子退治」です。
 ネメアの森に不死身と噂される人喰いライオンがいて、魔性の怪物と恐れられていました。
 このライオンはエキドナの子供で、夜となく昼となくで歩いては牛や羊はもちろんのこと、時には人をも襲っていました。
 弓矢を携えて出かけたヘラクレスは、途中でカンランの木を引き抜き棍棒をつくり、ライオンを待ち伏せしました。
 夜にこの荒獅子に出くわします。
 ライオンのたてがみには、血にまみれ、血の滴る唇を舌で舐めまわしていました。
 ヘラクレスは薮から2本の矢をライオンに命中させましたが、たちまちはね返ってしまいヘラクレスを見るやいなや襲いかかりました。
 ヘラクレスは、弓矢を投げ捨て、棍棒をふるって洞穴まで追い込み、力まかせに頭を殴りつけました。
 棍棒はおれましたが、ひるんだライオンに飛びかかり、力一杯ライオンを締め付け、絞め殺してしまいます。
 ヘラクレスはその皮を剥ぎ、生涯身につけていたといいます。

乙女座

 乙女座の前身については、さまざまな説があります。
 農業の女神デーメーテルだというのと、その娘で冥界の王プルートの妃になったペルセフォネだというのと2説あります。
 また、他にもゼウスとタイタン族の女神デミスの娘、正義の女神アストライアーだと言う説もあります。
 いろいろ説がある星座ですが、乙女座の姿は、天使のような翼と持った女神が麦の穂を手にしたものです。
 翼はペルセフォネのものだし、麦の穂はデーメーテルをシンボライズするものなので、実際はこの母子の女神の複合体だと考えてられるのでしょう。
 ペルセフォネは、ニュサの野原でニンフたちと供に花を摘んでいました。
 するとそこにひときは美しい水仙の花が咲いていたのです。
 ペルセフォネがその花を摘もうとニンフたちから離れた瞬間。
 突如大地が裂け、黒い冥府馬に乗ったプルートが表れ彼女は冥府に連れ去られてしまいます。
 実はこの水仙は、プルートが彼女を連れ去りやすいようにゼウスが用意したものです。
 冥府で暮らす事の多いプルートは女性への接し方が解からず、女性経験が豊富でペルセフォネの父親であるゼウスに相談したとき、ゼウスは『強引な方が女性に好かれる』とプルートを唆し、ペルセフォネを誘拐するように仕向けたのです。
 このことを知った母のデーメーテルが激怒しました。

 一方、冥府に連れ去られたペルセフォネは暗い冥府に連れてこられ、プルートに地上に返して欲しいと祈願します。
 プルートは、連れ去った事を謝罪した上で、ペルセフォネに冥界の灯火になって欲しいとたのみました。
 ペルセフォネはプルートが胸のうちに秘めた孤独、寂しさを感じとりました。

 その後ゼウスがヘルメスを遣わし、プルートにペルセフォネを解放するように伝え、プルートもこれに応じる形でペルセフォネを解放しました。
 その際、プルートがザクロの実を差し出し、拒み続けていたペルセフォネでしたが、プルートの優しさ、孤独、寂しさを感じ取っていた為そのザクロの実を4粒食べてしまいました。

 そして母デーメーテルの元に帰還したペルセフォネでしたが、冥府のザクロを食べてしまった事を母に告げます。
 冥界の食べ物を食べた者は、冥界に属するという神々の取り決めがあったため、ペルセフォネは冥界に属さなければならないと、食べてしまったザクロの数だけ冥府で暮らす事になり、一年のうちの1/3を冥府で過ごす事となり、彼女は冥府王妃ペルセフォネとしてプルートの元に嫁いで行ったのです。
 そしてデーメーテルは、娘が冥界に居る時期だけは、地上に実りをもたらすのを止めるようになりました。これが冬という季節の始まりだといわれています。

 また、ペルセフォネが地上に戻る時期は、母である豊穣の女神デーメーテルの喜びが地上に満ち溢れるとされています。これが春という季節です。

天秤座

 天秤座のお話は、正義と徳を司る女神アストライアーは、掟を司る女神デミスの娘で、そのためか裁判官も勤めていました
人間の善悪を判断するとき天秤を使っていたため、それを象徴したものといわれています。
 アストライアーは争う人間の俗悪さを憎み、やがて善悪をはかる天秤も悪の方に傾き続け、神は天にのぼってしまいアストライアーもあきらめ天にのぼって行きました。

蠍(さそり)座

 この星座は、美しい3連星として知られるオリオンが登場します。
 オリオンは、海神ポセイドンと女傑国アマゾンの女王エウリアレとの間に生まれた美男子で、比類なき若者でもありました。
 オリオンは、「天下に自分にかなうものはいない。」と自慢していました。
 実際、オリオンは、美男子であり、力持ちで狩猟にも長けていました。
 ところが素性が悪く粗暴な振る舞いが目立つため、オリンポスの神々の憎しみをかったのです。
 何とか彼を懲らしめようとしましたが、強力無双なので誰も手が出せません。
 そこでヘラが一計を案じ、一匹の蠍にその役を命じました。
 蠍はオリオンの足元に忍び寄り、その鋭い毒針が踵にブスリと刺し、この豪傑を一撃のもとに倒してしまいました。
 その功績により蠍は天に昇って星座となり、オリオンもまた美形の星座となりましたが、星になってからもなお蠍を恐れています。東の地平線に蠍座が現れる春頃、オリオン星座は西の方角に沈み、蠍座が西の空に消える春の初めになると東の地平線から顔をのぞかせるのです。

射手座

 ケンタウロス一族の賢者ケイロンは、学者でもあり、ギリシア神話の英雄はほとんどケイロンの教育を受けたといわれています。
 ケイロンは巨人族の一番強いクロノスとニンフの間に生まれたのだがクロノスの妻の呪いを恐れて自らケンタウロスになりました。
この話にもヘラクレスが登場する、ヘラクレスはケンタウロス族といさかいを起こします。
 その結果、師であるケイロンを矢で射抜きました。
この矢にはヒドラの毒を塗っていたため癒えることはありませんでした。
ケイロンは苦しみ、英雄プロメテウスに不死の身を譲り、ケイロンは死にました。
ゼウスは、ケイロンの死を惜しみ星座にしたのです。

山羊座

 山羊座の前身は。ギシリア神話の中でパンのことで、野や森の精で牧羊神として親しまれています。
 頭には山羊の角と耳があり、上半身は毛深い人間だったが、下半身は山羊のものだった。パンは水のニンフに恋をしました。
 パンは、水のニンフを追いかけました。
 ニンフは思わず逃げ出し、逃げ切れなくなったニンフは神に祈り、その美しい姿が消えてしまいました。
 ニンフは、川辺にそよぐ葦になってしまったのです。
 パンはどの沢山ある葦の中でどれが恋をしたニンフかが分からないまま、1本の葦を笛にしました。
 葦の笛はニンフの名であるシュリンクスと同じ名が付きました。
 ある日、ゼウスをはじめとする。神々が、ナイル川の岸辺で酒盛りをしていました。
 パンもその仲間で、彼は得意のシュリンクスを吹いて皆を楽しませていました。
 そのとき突然、怪物テュポンが現れ、宴席にのり込んできた。神々はあわてふためき、大急ぎで鳥や獣や魚に変身して逃げ散りましたが、パンはあわてて逃げたため、水につかった下半身の部分が魚になり、地上にでていた上半身が山羊という姿に化けてしまったのです。
 それが、この星座の姿が上半身が山羊で下半身が魚という奇妙な形をしているエピソードです。

水瓶座

 この星座の前身は、トロイ王国の基礎をつくったトロースの子、ガニメデというで、どんな美女にも勝る美貌を兼ね備えた、賢い少年でした。
 オリンポスで酒の酌をしていた正妻ヘラの娘ヘベが結婚していまい、かわりのものを探すことになりました。
 ゼウスが、真っ先に頭に浮かんだのは、ガニメデでした。
 なぜなら、ゼウスは、 好色で、しかも男色趣味を持っていたからです。
 さっそくゼウスは、一羽の大鷲に姿を変え、父の羊の番をしていたガニメデをトロイの国からオリンポスの山頂にさらってきてしまいました。
 そして酒童としていつもかたわらに侍らす代わり、この少年に永遠の若さをと美貌を与えました。
 この少年が星になったのが水瓶座で、彼が手にする水瓶の中には、神々の英知の泉となる水が、いつも満々とたたえられていました。

 魚座

 この星座の姿は、2尾の魚からなり、その前身は、愛の女神アフロディーテと、その子、エロスです。
 愛の女神が魚にならなければならない理由は、山羊座のエピソードと関係があります。
 ナイル河のほとりで、酒宴を催していました。
 神々の中に、アフロディーテとエロスの母子の神もいました。
 酒宴の途中、デュポーンという名の怪物の登場します。
 神々は狼狽し、大急ぎでいろいろな動物に変身して四方八方へ逃げ散ったがアフロディーテとエロスも2尾の魚に姿を変え、ナイル河に飛び込んで助かりました。
 しかし、お互いに離ればなれにならないように、リボンで双方の尾を結わえ付けたのです。
 2尾の魚に変身したアフロディーテとエロスが、天に昇って星座になったのが、魚座の姿だが、その尾はリボンでしっかりと結び合っています。






雑 感


 星座は、アニメや占いなどに使われたいへん親しまれています。星座は、星の並びを見て人が考えたものです。星の並びがいろいろな形に見える想像力の豊かさが感じられます。これらを考えた人はきっとロマンチストだったと思います。


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