☆材料
●結晶構造
その候補の一つとしてあがってきたのが「結晶構造」である。
1969年にすでに、アルミナ、石炭、黒鉛(グラファイト)、ベリリウム、それにダイヤモンドなどの素材の強度の比較的検討をおこない、ダイヤモンドがもっとも適しているという結果がでた。
格子欠陥が極限まで減らされ、通常の性能ではなく、理論的に考えられる最大限の引っ張り強さを持つ結晶が得られたとしたら、ぜひそれを宇宙エレベーターに使いたいものである。
そこで登場するのが「ホイスカー(ひげ結晶)」なのである。
この結晶はごく細長い針状もしくはひげ状の形態だ。
このホイスカーこそ、格子欠陥を含まない、理想の結晶構造を示す物質なのである。ホイスカーはしばしば、軸方向に対しては、通常の結晶の理論的な最高値を更に上回る引っ張り強さを示すことがあるという。
実際には、宇宙エレベーターが耐えなければならないのは、自重や遠心力ばかりではない。これほど巨大な建造物ともなると、風圧はもちろんのこと、月や太陽の潮汐力も無視できなくなるし、流星対策も講じなければならない。
またもちろん、宇宙船を含む大きな荷物を昇降させるのが目的のエレベーターだから、少々の荷重ではびくともしない強度や質量をもっていなければならない。
だから、全体の太さを十分なものにするとともに、補修しにくい部分ほど太くするために、テーパ比も先の理論のよりはずっと大きなものにする必要がある。
前へ←→次へ