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睡眠の効能

ここでは、適切な睡眠がもたらす様々な効能について紹介して行きます。

ホルモン分泌の促進

『理想の睡眠』でもお話したように、この時期、睡眠時には成長ホルモンが出ます。適切な睡眠は、これの分泌を大きく促進します。
逆に、特に成長期である中学生期では、適切な睡眠をとれていないと成長が遅れることがあります。
また、高校生期はわりと成長期を過ぎていますが、成長ホルモンの役割はただ身体を成長させるだけではないのです。
成長ホルモンには、

  • タンパク質、脂質、糖代謝を促し、体内のバランスを整える
  • 骨の軟骨細胞に働きかけ、骨の成長を促す
  • 筋肉量を増やす
  • 免疫機能をサポートする

といった、たくさんの役割があるのです。

また、適切な睡眠は、中高生期、女性だけに分泌される女性ホルモン『エストロゲン』の分泌をも促進します。
このホルモンにも、

  • 筋肉を維持する
  • 内臓脂肪の蓄積を抑制する
  • 骨密度を保持する
  • 血管を柔軟にする
  • 悪玉コレステロールを減らす
  • 肌の潤いを保つ

といった、たくさんの役割があります。
美肌になりたい女子は、睡眠をしっかりとってみてはいかがですか?

身体の回復と免疫向上

適切な睡眠をとると、『理想の睡眠』でもお話した通り、様々な臓器や酷使した骨・筋肉などが修復されます。
これによって免疫力も上がり、細菌やウイルスの感染症などにもかかりにくくなります。

日中の気分を良くする

適切な睡眠をとると、脳の発育を促したり、情緒を安定させる役割を持ったホルモンセロトニンの日中の分泌が多くなります。
よって日中、快適な気分で過ごすことが出来ます。
逆に、睡眠不足だとこれの分泌が減少し、感情コントロールが困難になり、すぐイライラしたり、注意力に欠けたりするようになってしまいます。

記憶力・集中力の向上

これは皆さんにとって一番嬉しい効能かもしれませんね。
身体の休息であるレム睡眠時には、脳が働いている、というのは『理想の睡眠』でも説明しましたよね。
このレム睡眠時に、脳は記憶の編集を行い、記憶をより完全なものにしています。これは適切な睡眠あってのことで、適切にとれていないと技能の習得などの『記憶』にも遅れが出てしまいます。

睡眠と記憶力の関係を調べる学習実験 さてここで、記憶力と睡眠の関係を示すある学習実験を紹介しましょう。
1度覚えたことをいつまで覚えていられるかを同じ時間おきにチェックし、4回目から5回目の間に睡眠と記憶力の関係を調べるためにレム睡眠を入れました。
そして、レム睡眠を中断しなかった場合と50%中断した場合、100%断眠した場合、と3つの場合に分けて実験しました。
3つの場合について見てみると、その程度に応じて記憶が悪くなり、100%断眠した場合では、
最終的に記憶が半分程度なってしまっています。
つまり、記憶力の学習効果を上げるには十分なレム睡眠の確保が必要です。

記憶力と就寝時刻の関係 また、別の学習実験において、夜の10時から11時の間に学習させ、11時から2時まで睡眠をとらせ、その後テストをしたところ、睡眠をとらなかった場合と比べてほぼ2倍に記憶率が向上しました。
しかし、夜の2時から3時まで学習させ、その後3時間睡眠をとらせ、テストをしたところ、睡眠をとらなかった場合と睡眠をとった場合の記憶率はほとんど変わりませんでした。
つまり、夜遅い学習・睡眠は効果が少なく、記憶整理のためには10時30分〜11時ぐらいには就寝するのが良いということです。

また、いまの実験では3時間の睡眠をとらせて調査していましたが、テストで覚えていても、3時間の睡眠では結局長期記憶にはつながりません。
学習効果の向上には、睡眠を『とる』こととその『時刻』だけでなく、『時間』も大切なのです。

次は、それを示す学習実験を紹介します。
この実験では、自宅で睡眠をモニタし、起きて朝食をとったあと、ATMTテストといった、PC画面上に不規則に散らばった数字を順番に押す、脳の記憶力・集中力などの動きを調べるのに用いられるテストで脳の働きを調べました。
結果、脳の働きが、8時間程でピークに達していることがわかりました。
つまり、記憶力や集中力などの学習効果を最大限に高めるには、適切な睡眠時間が必要ということですね。

さて、ここまで記憶「力」、集中「力」など、抽象的なことばかりを説明して来ましたが、最後により具体的な睡眠と成績のデータを紹介します。

睡眠と成績 この調査は、全国の中高生の就寝時刻と睡眠時間、と成績の関係について調べたものです。
この結果を右のグラフで見ると、成績A評価の生徒は睡眠時間が最も8時間に近く、また就寝時刻も早いのに対して、D評価の生徒は睡眠時間も短く、就寝時刻も遅いです。これで、いかに適切な睡眠が学習において大切かがわかりますね。

成績下位者の睡眠時間(校内) 実際、私達は校内で調査をしてみましたが、成績上位者はほぼ8時間の睡眠をとっているが全体の45%と一番多く、逆に下位者は64%も6時間以下の睡眠であり、また校内で『しっかり適切な睡眠をとった時の方が学習に集中できるか』と聞いたところ、「出来る」は85%もでした!

成績上位者の睡眠時間(校内) つまり、記憶力・集中力を上げ、学習効果をもたらす睡眠を得るためには、適切な就寝時刻と起床時刻、そして睡眠時間を守り、生活リズムを崩さない規則的な睡眠習慣が大切ということですね。

睡眠と体型

適切な睡眠をとることで、コレステロールが分解されたり、代謝が良くなったりするので、良い体型を維持することが出来ます。
逆に、睡眠不足だと、ステロイドホルモンというもののの夕方の減りが悪くなり、肥満を招きます。適切な睡眠をとり、バランスの良い体型を維持しましょう。


以上5つが適切な睡眠がもたらす主な効能です。

>どうしたら適切な睡眠がとれるの?