自動運転車の課題

自動運転車が抱える課題は、大きく分けて3つに分類されます。

技術的課題

センシングの技術的課題
検出性能の向上
ドライバーの代わりに走行環境認識を行い、危険判断と行動を決定するので、運転支援システムよりも高度な検出機能と高い信頼性が求められます。
物体認識性能の向上(ローカルダイナミックマップ)
車両周辺に存在する物体(交通信号、道路標識、電柱、ガードレール等の構造物と道路及び道路上の自動車、歩行者、自転車)の識別、移動方向の認識が必要になります。
小さな物体の検出
自動駐車を行う際、路上の小さな障害物や空中の突起物、車両側方に存在する物体との距離を高精度に検出する方法が必要になります。
判断・計画に関する技術的課題
人間のドライバーの長年の経験などによって身につくような技術を実現することや、予防的判断をすることが求められます。
人工知能技術や、他車両、二輪車、歩行者、道路インフラとの協調を組み合わせての課題解決が期待されています。
制御システムの安全性・信頼性
自動運転システムが故障した場合、ドライバーが即座にシステムに変わり運転するのは困難なため、異常動作を起こさない「フェールセーフ」機能と、システムが故障した場合に残された系で自動走行を継続する「冗長」機能が求められます。航空機や鉄道システムではすでに用いられている考え方です。
セキュリティの技術的課題
通信データがハッキングやウイルスにより改竄されると、車両が暴走する可能性があるため、暗号技術の開発が必要になります。

非技術的課題

法整備の課題
道路交通に関する法律で重要になるのが、「ジュネーブ道路交通条約」と「道路交通法」です。これらは、車両の運行にはドライバーの存在が必要であると定めています。つまり、現行の法律下では無人運転は不可能です。また、日本の現行法律ではハンドルがない車両は走行不可となっています。
ドライバーの責任
現在の道路交通制度はドライバーが責任を持って運転することを前提に成り立っています。しかし自動運転ではドライバーが運転ループから外れるため、ドライバーの責任に関する見直しが検討されています。事故が起こった場合、レベル2まではドライバーに責任があると言われていますが、レベル3は明確になっていません。そのため、車の持ち主だけでなく、自動車メーカーにも責任が及ぶ可能性もあります。
社会適合性
他の手動運転車と混在して走行することが多いと考えられているため、隊列走行などで他の車に影響を与え事故を誘発する危険性があります。
安全性・信頼性・機能安全・セキュリティ
サイバー攻撃によって自動車が暴走する危険性があります。
倫理上の課題
事故不可避時にどのように判断するかなど、倫理的な判断をどうするかが問題となっています。

ヒューマンファクタの課題

ドライバーのシステムに対する過信により危険な状態に陥ることがあります。
逆に、ドライバーにとって自動運転が受け入れられるものであるかどうかも課題です。

自動運転車の実現・普及にはまだまだ多くの課題があり、様々な解決策が模索されているのが現状です。

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