1-3. 力の表し方
先生 それでは、力というものはどうやって表現したらいいだろうか?
柚莉亜 力にも単位ってあるんですか?
先生 うん。日常ではまず使われないけども、長さにメートル[m]という単位があるように、力の"大きさ"にはニュートン[N]という単位があるんだ。
柚莉亜 にゅーとん?
一弥 以前理科の授業でやったやつです。
……忘れたんですか?
柚莉亜 ……。
先生 ま、まぁ、ここで覚えてくれれば問題ないよ。
……さて、理科の時間などで『1ニュートンは100グラムのおもりより、少し軽いくらいとかだったっけ?』
なんて、あやふやに覚えている人もいるかもしれないけれど、ニュートン[N]が出来たわけについてはまた別な機会に説明することにしよう。
先生 また、「x[m]動きました」なんて言う時の「x」のように、とりあえず文字で置くときは、大抵英語の頭文字「F」を使って、「大きさF[N]の力が……」と使われるよ。
この時xやFは『量記号』と呼ばれるんだけれど、公式などを書くのにも使われるからぜひ覚えておこうね。
柚莉亜 数学だと「x」ってよく使うけど、その「x」の代わりに「F」という字を置いたってことですか?
先生 そうだね、計算とかには別にFじゃなくても困らないんだけれど、『Fといえばこれは力を表しているな……』とみんながイメージできるように決まっているんだ。
一弥 値がわからないからxと置いてみる。でもxの代わりにFとおくと、求める量が力を表していると解る、という訳ですね。
先生 力は大きさだけでなく向きも持っている。なぜなら、押すのと引くのでは効果が違うからね。
なので、力を図で表すときは矢印を使おう、と決められているんだ。
物体と力のベクトル
先生 矢印の始点は、物体が力を受けている点。『受けている点』だから、力を加える側でなくて物体側にあるね。
柚莉亜 はい。
先生 この始点のことを作用点という。そして、ここから伸びた矢印の長さで力の大きさが何[N]なのかを表すんだ。
また、矢印が乗っている直線のことを「作用線」と呼んでいる。
一弥 作用線、ですね。覚えておきます。
先生 ちなみに、この矢印のことを数学で『ベクトル(vector)』というんだ。
この『ベクトル』は力だけでなく、"大きさ"と"向き"をもった様々なものを表すのに利用されているから、これからいくつか出てくるよ。
柚莉亜 ベクトルっていう、名前だけなら聞いたことあります。
先生 ……これは高校数学で習う内容だから、君たちはまだ習っていなくて抵抗があるかもしれないけど、力学を学ぶときにこれから重要なんだ。
柚莉亜 でも、むずかしそう……。
先生 まぁ、ここでは難しいことは全然扱わないから安心していいよ。
このベクトル、式で書く時は『この文字で表現されているものは、"大きさと向き"をもっているから気をつけて』ということを判らせるのに、矢印を上に乗っけてFベクトルと書いたり太字でFと書いたりするんだ。
まとめ

・力の大きさを表すには、ニュートン[N]という単位が使われ、F[N]と表すことが多い

・物体上の、力を受けている点を作用点と呼ぶ

・物体が受けている力は、作用点を始点とするベクトル(矢印)で表す

・力のベクトル(矢印)が乗っている直線を作用線という

・式でベクトル(大きさと向きを持つ量)を表す時は、太字で書く

先生 さて、このベクトルには役に立つ性質があるんだ。

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