第2章

4.球殻状タイムマシン

ゴッドのアイデアは、高密度の物質で球殻(中身をくり抜いた球)を作り、その中に滞在すればよい、というものです。
球の内部では、あらゆる方向から力を受けるために結果的に重力を受けないことが知られています。
そこで、ブラックホールきわめて高密度で大質量で、きわめて強い重力のために、物質だけでなく光さえも脱出できない天体に潰れてしまわない程度の高密度の球殻(例えば木星と同じ質量を半径5,7m程度に縮めた球殻)を作り、その中に滞在します。
球殻の外ではとても強い重力になるので、入るときは十分注意する必要がりますが、ひとたび中に入れば、球の内側の時間の進み方は、球のずっと外側よりも遅くなります。
潰れないような最小の球殻を作った場合、最大で5倍程度の時間の進み方の違いが生じます。
10年間、球殻内に滞在して戻ってくれば、50年後の未来に帰ってくるタイムマシンになります。

球核状タイムマシン
重力が働かないような球殻の内側にいても時間の差が生じる理由は、もともと時間の遅れは重力の位置エネルギー物体が「ある位置」にあることで物体にたくわえられるエネルギーのことの差で生じるからです。
球の内側と無限遠との重力エネルギーの差があるため、時間の差が稼げる方法です。


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