第2章

7.ワームホール

「過去へ行く」メカニズムを発表したソーンアメリカ合衆国の理論物理学者。ジョン・ホイーラーの弟子で重力の理論や、相対論的宇宙論の分野に貢献した。らの論文は、理論物理学の研究論文としては最も権威のある学術誌(フィジカル・レビュー・レター誌)に発表されたこともあり、マスコミも大々的に取り上げられました。「物理学者、タイムマシンを発明」とセンセーショナルなタイトルをつけた報道もありました。
しかし、中心となるメカニズムに物理学の理論を駆使してはいますが、ワームホール型タイムマシンには、いくつもの仮定が重なっています。仮定されたことを整理すると、
 ・ワームホールが存在して、
 ・さらにそのワームホールが通過可能で、
 ・さらに負のエネルギーが安定に存在して、
 ・さらに人類がワームホールを通過可能な技術をもち、
 ・さらに人類がワームホールを制御可能な技術をもち、
 ・さらに一方の出口を光速近くで動かすことができ、
 ・さらに旅行者が別ルートで同じ場所に戻れれば、
「ワームホールで旅行を始める時点の過去にまで」戻れる
このように、いくつもの「もし」が重なっていることに注意です。
これだけ仮定があるとしたら、読者の方は「マユツバな話だ」とか「もう不可能」と思ってしまうでしょうか。
それとも「人類の将来のテクノロジーに期待しよう」とか「どれから解決できるかな」とワクワクされるでしょうか。
ソーンらのワームホールモデルを実際に数値シミュレーションした研究を次に紹介します。

「ワームホールが通過できるように開けておけるのならば、光よりも速く移動することができることになる。 過去に遡って旅行することも可能になるのじゃないだろうか。」---通過可能なワームホールを学会発表したソーンアメリカ合衆国の理論物理学者。ジョン・ホイーラーの弟子で重力の理論や、相対論的宇宙論の分野に貢献した。たちに、ある准教授が進言した。 時空の異なる2点を結ぶことは、遠く離れた空間の2地点を結ぶだけではなく、時間を超えた2地点を結ぶことでも同じことで、ソーンもいわれるまで気がつかなかったそうだ。ソーンらは早速「ワームホールの片方の端を光速近くに動かすことで、過去に行くタイムマシンが可能になる」という論文を発表した。 メカニズムは次のようだ。 今、ワームホールがあり、一方から手を入れれば瞬間的に他方の出口から手が出てくるとする。

このワームホールの出口の1つを地球に置き、他方の出口をロケットに置いて、地球から光速に近い速さでロケットが星間旅行をする。
ウラシマ効果によって、地球とロケットの時間にはずれが生じる。
ロケットが地球に帰還したとき、地球では10年経っていて、ロケット内の時間では1年しか経っていないとする。
つまり、ロケットの人は9年後の未来の地球に戻った。
この状態でワームホールを通過したらどうなるのでしょう。

ワームホールに手を入れれば、まだ1年後の地球と結ばれている。だから、10年後の地球人が、ロケット内のワームホールに飛び込めば、9年前の地球に行くことになります。つまり過去へのタイムマシンです。
逆に1年後の地球人がワームホールを通過すれば、10年後の地球である、つまり、未来へも過去へも行けるタイムマシンができるのです。



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