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 「なくて七癖」という言葉があるように、誰にでもいくつかは癖はあるものです。辞書を調べてみると、広辞苑では、「かたよった嗜好または習慣 、いつもそうであること。ならい、ならわし。欠点、非難すべきこと」。明鏡国語辞典では「無意識のうちに身についてしまった言行。また、習慣となっている行動。普通ではない、そのものに特有の偏った性質や傾向」とあります。ほとんどの癖は、自分にとっては悪影響のあるものではありません。しかし、他人にとって不快に感じる事が多いので、非難することというような表現が使われます。ただ、癖と依存症や習慣とは違うものですから注意が必要です。

 依存症と癖とは何が違うのか。あえて違いをつけるのなら、「なおす」という漢字に現れます。癖は直す。依存症は治すです。すなわち、癖は自分で直そうとすれば直るものですが、依存症は専門家の治療が必要なものです。依存症は治さないと、社会的に大変なことになったり、健康を害することにつながるものです。薬物依存症、ネット依存症などがそうです。その点、癖は直さなくても大きな問題になることはありません。ただ、癖によっては病院に行った方がいいものもあるので注意が必要です。
習慣と癖の境界線は曖昧といえます。習慣は良しとされることをくり返し行動することで身についた行動のことを言うのに対して、癖は無意識のうちに身についた良し悪しを問わない行動といえます。約束の時間を守るのは癖とは言わず習慣と言いますが、遅刻は習慣とは言わず癖というのが分かりやすいでしょう。

 

 まず、癖はどのようにして生まれるのでしょうか。まず、なりたい人の行動を無意識のうちに真似をして、癖になるということがあります。親とそっくりの癖を持つ子どもが少なくないのも、この理由が該当します。その人のようになりたい、仲良くなりたいという気持ちが芽生えた時に、親和欲求の強い人ほど癖まで自己に取り込んでしまうのです。

 
 

 癖はストレスを回避するための自己防衛になっていることがあります。癖の生まれる最も多い理由といえるのかもしれません。楽しくてしかたのない時に貧乏ゆすりをするでしょうか。ストレスを受けた時に、ストレスから逃れて安心感を得るために癖があるといえます。
具体的には、人が強いストレスを感じている時に、誰かに触れていたいと思うものです。しかし、いつでもその環境があるわけではありません。そこで、自分で自分を触ったりする代償行為が生まれるのです。髪を触る、爪を噛むなどもその一種です。人は自分を触ることで、自己を確認し不安を取り除くという心理が働くのです。

 

 癖は繰り返しによって生まれてしまいますが、仕事も毎日行っているので職業ごとに生まれやすい癖が出てきます。同じ職場にいると同じ癖を持っている人が多いのであまり気になりませんが、人ごみの中にいるとその癖が見えてくることがあるのではないでしょうか。お尻辺りで手を組み立つ癖があるのは教師であったり、社長は堂々とした態度が求められますが、社長という肩書きが必要ない場所でも堂々としてしまう。新聞などもどこから読むのかで職業が見えてきたりしています。すなわち、その職業らしくあろうとする行動の繰り返しが、癖を生み出すのです。職業ごとで生まれてしまう癖は「職業病」といっても過言ではないのかもしれません。

 

 人は、気持ちのいいと思うことはついついやってしまう生き物なのでその行動を繰り返し行うことで癖になってしまうこともあります。枝毛を抜いて枝毛の無いまっすぐな髪の状態に快感を覚えたり、高度なペン回しに快感を覚えたりします。快感なことは繰り返し行うようになり、そして癖になっていく。本人は快感であっても、癖というのは他人に不快な思いをさせるものだと忘れてはなりません。

 
 

 代償行為とは満たされない欲求を別の行為で補おうとする行為です。例えば、乳離れによって授乳を受けられなくなった子どもは、指しゃぶりで安心感を得ようとする行為です。これは大人でも該当する行動はあり、イライラした時に机をコンコンとしてしまったり、ストレスから衝動買いをしたりといろいろな行動が見られます。ただし、この行為はあくまで代償であるので、癖を解消しようとするのであれば、その本質的な原因と向き合わなければなりません。

 
 

 癖というのは、世の中に自分ひとりなら何ら問題のない癖が多い。むしろ、心のバランスを整えるという意味ではメリットも大きいと言える。しかし、癖によっては人の気持ちを害するところを考えなくてはならない。そして、その癖によって能力以下の評価に繋がっていることも少なくは無い。例えば、職場でクチャクチャ音を立てて食べる姿を何日も見なければいけないのは、気になる人にとっては苦痛を通り超えて拷問と同じである。その癖だけできっと、「だらしない人」と評価されてしまうだろう。しかし、癖のある方は無意識に行っているので悪気は無い。
 癖は本人にとって不都合なことが無いので、あまり社会で大きな問題になることは無い。しかし、あなたの周りでは、あなたの癖を不快に思っている人がいるかもしれない。このサイトでは、癖について学習をし、癖と正しく付き合い、少しでも良い方向へ変わるきっかけになってほしい。

 
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