About "紙"
私たちは日常的に学校のプリントやティッシュ、雑誌や新聞などで紙を利用しています。
しかしそれらは同じ紙とは言っても種類や材料、特徴はまったく違うものです。
それではなぜこのような違いが生まれ、またどのように発展してきたのでしょうか。
1. まず紙とは植物の繊維を水でバラバラにして取り出し水中に分散させたあと平らにして水分をしぼり、乾かしたものです。紙作りに使われる植物の繊維の集合体を「パルプ」といい現在では木材繊維が多く使われますが、そのほかにも染料などの薬品が補助的に使われます。
ここで使われるパルプとは製紙に用いるために分離した植物繊維のことです。一言でいえば、木材などの原 料を薬品や機械で繊維をバラバラにしてドロドロにしたものです。
パルプの原料は木材ですが、その多くが建築に適さない木や、製材残材、建築廃材、間伐材などを使って作 られています。
パルプは大きく分けて「化学パルプ」と「機械パルプ」の 2 種類に分けることができ、この 2 つにはそれぞ れメリットやデメリット、特徴があります。
2. 紙の製造にはいくつかの工程があり、紙の種類によって漉き方や仕上げの方法が異なります。一般的な製造方法には、
① 原料となる木材チップを薬品や機械を使ってばらばらにしてよく洗ったあと漂白をするもの(さらしパルプ)としないもの(未晒しパルプ)に分ける
②取り出した繊維を叩いて化学パルプや古紙パルプを混ぜ合わせ薬品(サイズ剤:、填料:、紙力増強剤:、染料:、)を入れる
③繊維や薬品が混ざったものを抄紙機(写真入れる?)ですいてできた大型の紙を断裁、包装する
などの様々な工程が必要です。このようにして完成した紙には、どのような種類、どのような役割があるのでしょうか。
3. 紙の主なはたらきは、「記録する」、「包む」、「ふき取る」の3つですがそれぞれの用途に合わせ色や強度、薬品の量を調節する必要があります。 紙の種類は大きく①印刷・情報用紙②包装用紙③衛生用紙④雑種紙⑤段ボール原紙⑥紙器用板紙⑦食品用原紙⑧新聞巻取紙の8つに分かれその中でさらに細かく分けると何千種類にもなります。たとえば①は教科書や書籍、辞典に使われ、目を疲れにくくする黄色がかった色やページをめくりやすくする薬品を多くするなどの工夫がされています。②は封筒や模造紙など薄茶色で丈夫なものが多いです。③はトイレットペーパーやティッシュペーパーに使われますが水に流したり破れにくくするために薬品の量を調整しています。④は半紙や障子紙など薄くて白い原紙です。⑤は名前の通り段ボールの中仕切りなど段ボールを作るのに使われます。⑥は紙箱や厚手の印刷物に使われ、板紙の中で最も上等だといわれるマニラボールがここに含まれます。⑦の主なものには牛乳パックがあり、水がしみこまずやぶれにくくするためにフィルムで加工した紙を使っています。⑧は新聞の高速印刷に耐えられる強さをもつ、古紙パルプを多く使用しています。このように一言で「紙」と言っても詳しく分類するとさまざまな違いがあることがわかるでしょう。
TANAKA Juuyoh (田中十洋) via FindCC
4. メソポタミア文明で使われた「パピルス」は世界で一番最初に紙としての用途を持ち、英語「paper」の語源となっています。
しかしパピルスはパピルス草の茎を重ねて水を加え、押し固めて乾燥させたものなので現在の紙の定義とは異なり厳密には紙とは言えません。
今現在「紙」として使われているものの起源は1986年に中国で出土した「放馬灘紙(ほうばたんし)」この紙には前漢時代の地図が描かれており、紀元前150年ごろのものだと考えられてい ます。
中国では「放馬灘紙」をはじめとして古い時代から様々な紙が発明、使用されていて、贅沢品 であったにもかかわらず従来紙の代わりに使われていた木簡や竹簡、絹布にかわって普及しました。
日本には610年に高句麗僧によって伝えられました。これは写経の書写材料として仏教を広 めるためであり、その後日本独自の発展を遂げ「和紙」ができました。現在でも手漉きで作ら れており、牛乳パックなどを使って自分で作ることも可能です。
また、法隆寺などに所蔵されている「百万塔陀羅尼(ひゃくまんとう だらに)」は現存する最古の印刷物として有名です。
751年にはタラス河畔の戦いで捕えられた唐の捕虜に紙職人がいたことをきっかけに、紙の 製法が中国からイスラム世界に伝わりました。
イスラム世界でも、紙の原料として亜麻を使っ たりサイズ剤に小麦粉から作ったデンプンを使ったりするなどの独自の工夫をして広く知ら れるようになり、また、技術の発展とともに表面の滑りが良くなり文字を書きやすくなると、 世界各国に製紙工場が作られ始めました。
このようにして多数作られた製紙工場では印刷物が大量に作られるようになり紙の需要が増 大した一方で、慢性的な原料不足も引き起こされました。
この問題は19世紀に入ってより深 刻さを増しましたが1840年にケラーが木材を原料として紙を作る方法を発見し、これによ って完成したのが「洋紙」です。洋紙は木材を主原料に機械を使って製造され、日本には18 71年に初めて、欧米の機械を導入した洋紙工場が設立されました。
紙は上記の2つに板紙(ボ ール紙)を加えた3つに、大きく分けることができます。
しかしそれらは同じ紙とは言っても種類や材料、特徴はまったく違うものです。
それではなぜこのような違いが生まれ、またどのように発展してきたのでしょうか。
1. まず紙とは植物の繊維を水でバラバラにして取り出し水中に分散させたあと平らにして水分をしぼり、乾かしたものです。紙作りに使われる植物の繊維の集合体を「パルプ」といい現在では木材繊維が多く使われますが、そのほかにも染料などの薬品が補助的に使われます。
ここで使われるパルプとは製紙に用いるために分離した植物繊維のことです。一言でいえば、木材などの原 料を薬品や機械で繊維をバラバラにしてドロドロにしたものです。
パルプの原料は木材ですが、その多くが建築に適さない木や、製材残材、建築廃材、間伐材などを使って作 られています。
パルプは大きく分けて「化学パルプ」と「機械パルプ」の 2 種類に分けることができ、この 2 つにはそれぞ れメリットやデメリット、特徴があります。
2. 紙の製造にはいくつかの工程があり、紙の種類によって漉き方や仕上げの方法が異なります。一般的な製造方法には、
① 原料となる木材チップを薬品や機械を使ってばらばらにしてよく洗ったあと漂白をするもの(さらしパルプ)としないもの(未晒しパルプ)に分ける
②取り出した繊維を叩いて化学パルプや古紙パルプを混ぜ合わせ薬品(サイズ剤:、填料:、紙力増強剤:、染料:、)を入れる
③繊維や薬品が混ざったものを抄紙機(写真入れる?)ですいてできた大型の紙を断裁、包装する
などの様々な工程が必要です。このようにして完成した紙には、どのような種類、どのような役割があるのでしょうか。
3. 紙の主なはたらきは、「記録する」、「包む」、「ふき取る」の3つですがそれぞれの用途に合わせ色や強度、薬品の量を調節する必要があります。 紙の種類は大きく①印刷・情報用紙②包装用紙③衛生用紙④雑種紙⑤段ボール原紙⑥紙器用板紙⑦食品用原紙⑧新聞巻取紙の8つに分かれその中でさらに細かく分けると何千種類にもなります。たとえば①は教科書や書籍、辞典に使われ、目を疲れにくくする黄色がかった色やページをめくりやすくする薬品を多くするなどの工夫がされています。②は封筒や模造紙など薄茶色で丈夫なものが多いです。③はトイレットペーパーやティッシュペーパーに使われますが水に流したり破れにくくするために薬品の量を調整しています。④は半紙や障子紙など薄くて白い原紙です。⑤は名前の通り段ボールの中仕切りなど段ボールを作るのに使われます。⑥は紙箱や厚手の印刷物に使われ、板紙の中で最も上等だといわれるマニラボールがここに含まれます。⑦の主なものには牛乳パックがあり、水がしみこまずやぶれにくくするためにフィルムで加工した紙を使っています。⑧は新聞の高速印刷に耐えられる強さをもつ、古紙パルプを多く使用しています。このように一言で「紙」と言っても詳しく分類するとさまざまな違いがあることがわかるでしょう。
TANAKA Juuyoh (田中十洋) via FindCC
4. メソポタミア文明で使われた「パピルス」は世界で一番最初に紙としての用途を持ち、英語「paper」の語源となっています。
しかしパピルスはパピルス草の茎を重ねて水を加え、押し固めて乾燥させたものなので現在の紙の定義とは異なり厳密には紙とは言えません。
今現在「紙」として使われているものの起源は1986年に中国で出土した「放馬灘紙(ほうばたんし)」この紙には前漢時代の地図が描かれており、紀元前150年ごろのものだと考えられてい ます。
中国では「放馬灘紙」をはじめとして古い時代から様々な紙が発明、使用されていて、贅沢品 であったにもかかわらず従来紙の代わりに使われていた木簡や竹簡、絹布にかわって普及しました。
日本には610年に高句麗僧によって伝えられました。これは写経の書写材料として仏教を広 めるためであり、その後日本独自の発展を遂げ「和紙」ができました。現在でも手漉きで作ら れており、牛乳パックなどを使って自分で作ることも可能です。
また、法隆寺などに所蔵されている「百万塔陀羅尼(ひゃくまんとう だらに)」は現存する最古の印刷物として有名です。
751年にはタラス河畔の戦いで捕えられた唐の捕虜に紙職人がいたことをきっかけに、紙の 製法が中国からイスラム世界に伝わりました。
イスラム世界でも、紙の原料として亜麻を使っ たりサイズ剤に小麦粉から作ったデンプンを使ったりするなどの独自の工夫をして広く知ら れるようになり、また、技術の発展とともに表面の滑りが良くなり文字を書きやすくなると、 世界各国に製紙工場が作られ始めました。
このようにして多数作られた製紙工場では印刷物が大量に作られるようになり紙の需要が増 大した一方で、慢性的な原料不足も引き起こされました。
この問題は19世紀に入ってより深 刻さを増しましたが1840年にケラーが木材を原料として紙を作る方法を発見し、これによ って完成したのが「洋紙」です。洋紙は木材を主原料に機械を使って製造され、日本には18 71年に初めて、欧米の機械を導入した洋紙工場が設立されました。
紙は上記の2つに板紙(ボ ール紙)を加えた3つに、大きく分けることができます。