酸性紙問題

みなさんも一度は図書館や博物館などで写真のように黄ばんだり、脆くなっている本を見たことはありませんか?
実はこの大きな原因は紙の作り方にあります。 ふつう、紙というものはパルブをすいただけではインクがにじんでしまいます。 半紙などはにじみを防ぐコーティングをしていないため、墨汁が紙にしみやすいです。
実は一昔前まで紙の製造工程の中でインクのにじみを防ぐために「ロジン(松ヤニ)」という物質が使われ、それを定着させるためには「硫酸アルミニウム」が使われていました。
その硫酸アルミニウムこそが紙を酸性化させ、黄ばんだり脆くさせる主な原因です。硫酸アルミニウムは紙に含まれる水分と反応して硫酸を生成し、紙を内部から崩壊させます。これにより紙は堅く脆くなっていきます。
そこで僕たちは硫酸を用いて紙が脆くなるのを疑似的に確認し、硫酸が紙に及ぼす反応についても調べてみました。

実験方法

実験器具:トレー、塗装のない紙、ラップ、白衣、ゴーグル、手袋、シャーレ、ピンセット
必要な薬品:硫酸

1, 硫酸の濃度0.05mol/L、0.1mol/L、0.5mol/L、1.0mol/L液をそれぞれ10mlずつ作る。

2, 1,で作った液と、蒸留水10mlをそれぞれシャーレにあけ、塗装のない紙を液につける。


3, 一定時間放置する。

4, その後、紙をピンセットでつまみ蒸留水ですすぐ。(そのまま乾燥させると濃硫酸ができてしまうため)

5, 乾燥後、脆くなったかを確認する。

その他に、紙の酸性化の原因として、大気ガスによる資料への影響、強い酸性物質と接すると酸が移行することなどがあります。また、紫外線焼け(UV焼け)することで紙が黄ばむこともあります。現在ではロジンを定着させるために中性のものを使っているため、今では酸性紙問題は解決しています。