印刷の種類

版の種類による分類

有版式


●凸版
版の凹凸を利用した印刷法の一つで、インクを残したい部分を凸にして凸部分にインクをつけて紙に転写する方法。
活版印刷はこの版式である。印刷時の圧力により紙に凹凸が出来、印刷された文字に実際よりも
文字が太くなってしまうマージナルゾーンが生まれてしまうなどの特徴がある。
活版印刷は版が鉛製であることやオフセット印刷の発達などにより現代では廃れている。
現在主に行われている凸版印刷はフレキソ印刷である。
フレキソ印刷とは、活版の代わりにゴムや感光性樹脂でできた版を使い、
版にインクを供給する部分にアニロックスローラーと呼ばれるローラーを用いるものである。
陰圧がほとんどない(キスタッチと呼ばれる)ため、段ボールや包装フィルムなどの印刷に用いられている。
また、学校教育において美術の時間などに行われる木版画もこれにあたる。
一見木版画は凹版に分類されるように思われるが、削ったところ(凹部)が白く、
削らなかったところ(凸部)がインクの色で印刷されるため、これは凸版印刷である。

●凹版
版の凹凸を利用した印刷法の一つで版の凹部にのみインクを残し凹部に残ったインクを紙に転写する方法。
現在では電子彫刻された銅板のシリンダーを用いた刷版が使用されることが多く、耐久度が高いために大量印刷に向いている。
微妙な線や細かい線を表現できるため偽造防止の目的で紙幣や収入印紙に採用されている。
エッチングを利用した銅板彫刻も凹版印刷の一種で、これもまた学校教育の美術の授業で行われている。

●平版
平らな板の上に化学的な処理を施すことでインクを残したいところを疎水性、
残したくないところを親水性にしたのちに水分を含ませ、
親水性の部分を湿らせた後にインクを乗せることで親水性の部分は水がインクをはじき疎水性の部分のみにインクを残す方式。
一般にオフセット印刷と混同されがちだが、
オフセット印刷とはいったんインキをもとの版からゴム版などに転写することを指すため、平版印刷が正式な名称。
リトグラフなども平板印刷の一種である。
現代の日本の印刷物の多くは平版オフセット印刷で刷られている。
字絣の凹版凸版と違って刷版上の画像が反転していないために確認が容易である。
また、高速大量の印刷に適している。
●孔版
インクを通さない版に微細な穴を多数あけて圧力によってそこを通過したインクを紙に転写する方式。
理想科学工業が販売しているプリントゴッコなどがこれにあたる。
複製絵画に用いられるシルクスクリーンも孔版の一種である。