トキと共生する佐渡の里山(新潟県佐渡地域)
~ 島に受け継がれたトキを中心とした豊かな生態系や景観を
保全する「生きものを育む農法」の振興~
日本のトキが最後の生息地として選んだ佐渡。
そんな佐渡島は日本海に浮かぶ、沖縄本島に次ぐ大きさの離島で、1,000m級の山脈をもつ島です。
山や深い森がもたらす恵みは大きく、トキが野生復帰できる豊かな生態系が維持されています。
江戸時代初期に金山が発見された佐渡島には、それを目的とした労働者や商人達が全国各地から集まりました。
島民達は、たくさんの人々の食糧を生産するために山の斜面を開墾して棚田を作り、農作物の増産に励みました。
佐渡の農家は困窮することがなかったので、小規模農家が多く、農地管理に目が届き、農薬などに頼らない農業を続けることができました。
その結果、生物の多様性も保全されてきました。
明治時代になると、金山は衰退したものの、トキをはじめとする豊かな生きものを育む里山や、多くの人口を支える生産力をもった農業、その農業と密接に結びついた農村の伝統文化が残りました。