クヌギ林とため池がつなぐ資源の循環(大分県国東半島宇佐地域)
~豊かな農林産物と生態系をもたらすクヌギ林と小規模なため池群による資源循環型農林業~


 大規模な水田農業が発展しなかった国東・宇佐地域では、生計を維持するために水稲を補完する品目を栽培する必要がありました。 そこでクヌギを利用した原木しいたけ栽培が伝統的に行われてきました。 原木となるクヌギがしいたけの成長に必要な栄養源を供給し、原木しいたけを育てます。 クヌギという森林資源によって原木しいたけという食料が産み出されるこのシステムは、耕地が限られたこの地域において、栄養・生活保障の面で大きく貢献しています。

 さらに、原木しいたけ栽培を行うことは、里山の良好な環境や景観保全につながっています。 クヌギ林の伐採と再生が繰り返され、森林の新陳代謝を促し、水資源の涵養など森林の公益的機能の維持が図られます。

 この地域にふりそそぐ雨水は、クヌギの落ち葉などが堆積した土に浸み込み、有機物や栄養塩を含んだ湧水になります。 この湧水が植物プランクトンや海藻などの栄養源として、水田農業や沿岸漁業などを支えるとともに生物多様性を保持しています。

 かつては、多くの農家が複合農業として、限られた耕地を利用した水田農業と原木しいたけ栽培を営んでいましたが、今日では、肉用牛、白ねぎ、こねぎ、ハウスミカンなど豊富な品目を産出しています。

 また、特色のある品目も多く、特に「シチトウイ」は、国東市が国内唯一の産地として現存しています。

国東のGIAHSポイント




GIAHS

        ---佐渡
        ---能登
        ---静岡
        ---阿蘇
        ---国東
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