お茶が出来るまで

 私たちの元へ届けられるお茶は茶畑で栽培され、摘んだ生葉を工場で加工してできています。茶葉を栽培するには栽培地の気象と土壌の条件がとても重要となります。
 茶葉は寒さに弱く、気温に大きく左右されます。ですので、年平均気温は14〜16℃かつ、安定した雨量も必要ですので降水量が年間1300mm以上の場所が望ましいです。茶畑は排水性、通気性、保水性を兼ね備えた土壌が良いとされています。製造工程は茶葉の種類によって異なります。

日本茶(煎茶)の製造工程

1.蒸し・・・生葉を蒸気で蒸します。蒸し時間によって煎茶の特徴は変化します。
2.粗揉・・・蒸した茶葉を冷却した後、熱風を当てながら茶葉を粗揉みします。
3.揉捻・・・ねじるように茶葉を揉む事で水分を均一にします。
4.精揉・・・茶葉の形を針状に整えます。
5.乾燥・・・劣化を防ぐために茶葉の水分を約10%以下になるまで乾燥させます。ここまでの茶葉を「荒茶」と言います。
6.選別・・・荒茶を部位別に選別します。
7.火入れ・・・それぞれの部位に焙煎加工を行います。水分を5%以下まで減らし、長期保存を可能にします。

中国茶の製造工程

 中国茶は種類によって工程が異なります。
緑茶 殺青→揉捻→乾燥
白茶 萎凋→乾燥
黄茶 萎凋→悶黄→乾燥
青茶 萎凋→揺青→殺青→揉捻→乾燥
紅茶 萎凋→揉捻→発酵→乾燥
黒茶 殺青→揉捻→握堆→復揉→乾燥

紅茶の製造工程

 紅茶は「オーソドックス製法」「セミオーソドックス製法」「CTC製法(アンオーソドックス製法)」の3つに分けられます。

オーソドックス製法
 伝統的な手作りの製法を機械で再現した方法です。
1.萎凋
 生葉を萎れさせ、葉を柔らかくします。
2揉捻
 ねじるように茶葉を揉む事で水分を均一にします。
3玉解き・篩い分け
 揉捻後の固まった葉をほぐす工程です。
4発酵
 温度・湿度が管理された場所に茶葉を置いて発酵します。茶葉の色は徐々に赤銅色へと変化します。
5乾燥
 茶葉を熱風で乾燥させます。乾燥させることで「荒茶」となり、紅茶らしい風味と葉の色が現れます。
6仕上げ
 篩の大きさ(グレード)別に分けます。

セミオーソドックス製法
 オーソドックス製法の揉捻工程後にローターバンという機械を通して葉を切断する事で、オーソドックス製法より短時間でオーソドックス製法に近い風味を再現できます。

CTC製法(アンオーソドックス製法)
 現在、世界の紅茶のほとんどがCTC製法で作られています。CTCとはCrush(押しつぶす)、Tear(ひきさく)、Curl(丸めて粒にする)の略です。ティーバッグの原料としてよく使われます。

美味しい淹れ方・飲み方

日本茶の淹れ方

 日本茶を淹れる際にポイントとなるのはお湯の温度と浸出時間です。日本茶を淹れる際に使うお湯は適温に冷ましてから使います。温度が高いとタンニンが溶け始め、渋みが強くなり、うまみ成分のテアニンは50〜60℃の低温でも溶け始めます。お茶によって適したお湯の温度は違うので種類に適した温度のお湯を使いましょう。
 温度以外に溶け出す成分の量を決めるのが浸出時間です。温度と同様に種類に適した時間だけ浸出しましょう。

<工程>

1.茶葉(一人分3g)を急須に淹れます。

2.お湯を急須に注ぎます。

3.蓋をして種類に適した時間だけ浸出します。

4.最後の一滴まで湯のみに注ぎます。

中国茶の淹れ方

 中国茶を淹れる際にポイントとなるのは茶器の選び方とお湯の温度と浸出時間です。中国茶を淹れる茶器の種類はさまざまで、香りを楽しむ際には工夫茶器や蓋碗、茶葉の動きも楽しめるグラスなどがあります。茶葉の種類によって決まった茶器を使うというルールはないので、楽しみ方によって自由に茶器を選ぶことができます。
 中国茶は発酵の違いによって適したお湯の温度と浸出時間が異なります。中国茶の香りや味を引き出すためにも茶葉別に適切な温度と浸出時間を把握しておく事が大切です。

<グラスを使った淹れ方> 
1グラスに熱湯を注ぎ、グラスを温めてから湯を捨てます。
2グラスに茶葉(一人分3g)を入れます。
3茶葉に適したお湯の温度を注ぎ、浸出します。
4茶葉の動きを楽しみます。茶葉が沈みだしたら飲み頃です。

<蓋碗を使った入れ方>
1蓋碗に茶葉(一人分3g)を入れます。
2適温のお湯を注ぎ、蓋をして浸出します。
3茶こしを使ってお茶を茶海へ移します。
4茶杯にお茶を注ぎます。

<工夫茶器を使った入れ方>
道具
・茶杯
 お茶を飲むときに使う茶碗です。
・聞香杯
 お茶の香りを楽しむための茶器です。この茶器ではお茶は飲みません。
・茶こし
 茶壺から茶海にお茶を移すときに、茶葉が入らないようにする道具です。
・茶海
 茶壺で浸出したお茶を移すための茶器です。お湯を冷ますときにも使います。
・茶壺(チャフー)
 茶葉を浸出するための道具です。
・茶盤
 茶壺にお湯をかけるときにこぼれたお湯を受けるための道具です。

1.茶壺に茶葉(一人分3g)を入れます。(高い温度のお湯を使う場合はあらかじめ茶壺を温めておきます。)
2.茶壺にお湯を淵すれすれに注ぎます。
3.茶通で茶壺の表面に浮いたアクを取ります。
4.茶壺にお湯をかけ、茶葉に適した時間だけ浸出させます。
5.茶こしを使ってお茶を茶海に移します。その間に聞香杯と茶杯を温めておきます。
6.聞香杯にお茶を注ぎます。
7.茶杯に移して、空になった聞香杯の香りを楽しみながら茶杯でお茶を飲みます。

紅茶の淹れ方

 紅茶を淹れる際にポイントとなるのは「ゴールデンルール」と「ジャンピング」です。ゴールデンルールとは紅茶を美味しく淹れるための4つの決まり事です。

・ティーポット(ティーサーバー)を使う
・茶葉の量を正確に量る
・汲みたての沸騰したお湯を使う
・浸出時間を正確に計る

 茶葉を入れたティーポットに適した温度のお湯を入れるとポットの中の茶葉は浮かんだり沈んだりします。この現象を「ジャンピング」と言います。ジャンピングを上手く起こす事で茶葉の成分が溶け出し、紅茶の美味しさを引き出します。

<ストレートティーの淹れ方>

1.ティーサーバーに茶葉(一人分3g)を入れます。

2.沸騰したお湯を注ぎます。

3.蓋をして浸出します。細かい茶葉なら3分、大きめの茶葉なら4分ほど行います。

4.時間がきたら紅茶を少しかき混ぜ、中栓を降ろして抽出します。
※降ろし過ぎると紅茶に渋みが発生するので注意しましょう。

5.最後の一滴までティーカップに注ぎます。




せっかくなら、正しい淹れ方でおいしくお茶を淹れて、お茶の時間を楽しみましょう。

お茶の保存方法

日本茶の保存方法

 保存していたお茶を飲んだら味が変わってしまっていた事はありませんか?もしかしたら保存方法に問題があるのかもしれません。お茶は乾物だから保存が利くと思ってしまいがちですが、保存を正しく行わないとお茶はどんどん劣化してしまいます。
 保存の手順は未開封か開封後かで変わってきます。未開封のお茶は冷蔵庫のような涼しくて暗い場所で保存するのがおすすめです。冷蔵庫の場合、お茶に他の食品の匂いが移る事があるのでお茶をさらに袋に入れるなどして保存しましょう。冷蔵庫から出すと袋が結露しているので、常温に戻してから開封しましょう。
 開封してしまったお茶は茶筒などの密封容器に移し替えるのがおすすめです。保存場所は未開封時と同じく、涼しくて暗い場所にしましょう。しかし、急激な温度差が生じる冷蔵庫ではなく、棚の中などで保存するのがおすすめです。お茶に匂いが移る場合があるので、保存場所には匂いが強い物を置くのは控えましょう。
 正しく保存しても味は少しずつ落ちてしまいます。買うときは飲み切れる量だけ買うようにして、美味しいうちに飲み切るようにしましょう。

お茶菓子について

お茶菓子の役目

 お茶菓子は本来お茶の美味しさを引き立てるためのものです。四季の移ろいを感じさせ、味わいのあるものがふさわしいとされています。ですので、ほのかな香りや美味しそうに見える色と形のものを添えるのがいいでしょう。また、風味に重点を置いたものなので、原材料の良質さと新鮮さが条件になってきます。味、香り、色、形、銘の調節を考えたうえで自然体かつできるだけシンプルなお茶菓子を添えるのが主流です。もてなす側の心が相手に伝われば良いでしょう。

日本茶に合うお茶菓子

 日本を代表する玉露や煎茶には和菓子を添えるというのが主流です。何よりも季節感を大事にしている茶の湯は色や形、銘で季節を感じるため、動物や植物、日本の模様などを模ったお茶菓子を一つ二つ添えることでより楽しむことができます。大福や饅頭などの甘いものも悪くはないですが、甘さが控え目のお菓子だとお茶の風味を際立たせ、美味しく飲む事ができます。さらに、お茶を飲む前にお菓子をいただくことで、お菓子の甘さが口に残り、ほろ苦いお茶の美味しさをより引き立ててくれます。

中国茶に合うお茶菓子

 香りを何よりも楽しむ中国茶では味を引き立てるというよりは香りを邪魔することなく味が控えめなものを添えるのが基本です。種やドライフルーツなど素材の形をそのまま残したものや、春巻きなどのアジアン風で軽い食べ物を添えるといいでしょう。ノンオイルで仕上げた野菜や果物のチップスを用意することで繊細な中国茶の香りを邪魔をすることなく十分に楽しむことができます。

紅茶に合うお茶菓子

 紅茶に合うお茶菓子といえばクッキーやケーキなどの洋菓子がベストです。紅茶の斬新な色におしゃれなデザインの洋菓子を添えることでテーブルの上が華やかになります。紅茶の特徴に合わせた美味しい洋菓子が加わることで、紅茶の香りや個性をより引き立てることができます。また、逆にお茶菓子に合わせて紅茶をアレンジしてみるのも楽しみ方の一つです。紅茶とお茶菓子の組み合わせに決まりはないですが、食後からあまり時間がたっていないティータイムならお茶菓子は軽いものを、軽い食事代わりのティータイムには様々なお茶菓子を用意するといいでしょう。