ページタイトル 読めばわかる
スマホを持ったヤンキー
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読書の達人たちのような本の読み方をやってみませんか。

目次

読書が苦手な人へ

1.本をついつい開いてしまう環境作り

まず、「役に立たない読書」という本の一文をご覧ください。

『私は、本に関しては「決まりごと」が苦手ですから、そういうのは楽しくない。 それで、「随時読む」がいちばんです。仕事に疲れたときに、読む。ちょっと暇なときに、読む。お菓子を食べるように、読む。それが読書を楽しむ私の基本姿勢です。』([1], p42)

この本の著者、林さんは、「随時(ずいじ)読む」(=好きな時に読む)と言っています。

実は、初心者にとってはこれが高いハードルになります。
なぜなら、そういう習慣がそもそも無いからです。

ではどうやって「随時読む」習慣を付けるのか。すごく簡単です。

2つほどあるのですが

その1 とりあえず本を持ち歩く

汗だくで、本を5冊以上持って登校している様子。

その2 家などで、いつも居る場所に本を何冊か置いておく

リビングでTVを見ながらくつろいでいる。かたわらには本がたくさん積んであり、一応本を持っているがTVを見ている画像。

この2つをまずやってみてください。

つまり、いつでも本を手にとれる環境を作る事が極めて大事なのです。

また、一冊の本をずっと読む必要もなく、同時並行で、違う本を何冊も読むのも飽きが来なくていいそうです。外に持ち歩くことで、隙間時間を使えばたくさん読み進めることもできるし、違う環境で読めるので良い気分転換にもなります。

2.達成感が大事

本の好みはひとそれぞれですが、子供から大人まで幅広く読める、個人的にもおすすめの本があります。

それは「ショートショート」というジャンルです。 「ショートショート」とは、普通のお話より極端に短いもののことで、1ページにも満たない話もあります。 読書の基礎体力が出来ていない人や、時間が無い人にもおすすめです。

この「ショートショート」のすごいところは、短い中にも伏線がしっかりと張られてあるところです。オチでは、「なるほどっ」と目を輝かせてしまいます。 また、一冊20~30分(一話1~3分程度)で読み終える事が出来ます。本を一冊すばやく読み終える事は達成感も生まれ、喜びが生じるため、自然と次の本を求める事にもつながります

即席ショートショート4コマ タイトル 「ロボット」

一コマ目:白衣を着た技術者2人とロボットのイラスト。一人が「わーい、完成だ」と発言。もう一人は拍手している。

二コマ目:拍手をしていた技術者が「すばらしい。完成おめでとう」ともう一人に声を掛けるイラスト。

三コマ目:声を掛けられた技術者が無反応なので、声を掛けた方が不思議に思っているイラスト。

声を掛けられた技術者は、実は声を掛けた技術者の作ったロボットであり、声を掛けた方が「電池切れ」かとつぶやきながらロボット技術者の背中から取り出したコードをコンセントに繋ごうとしているイラスト

また、「読書はパワー」という本によれば、漫画ですら読書への橋渡しになるようです。一見するとイメージが悪いのですが、実際に効果があると実証されています。 ただ、個人的に思うのは、「バシッ」「うぎゃー」とかの擬音語ばかりで、文字列が少ないと脳で結びつく語彙が増えないため、効果は薄いかもしれません。

1学年を通じて、毎月1冊の漫画本を読む子どもは、4、5年生の子どもたちが本から読み取るのと同じ単語数を読むことになります。 小学校高学年と中学校の子どもが、おおいに読書をして語彙を獲得する経験を積む必要があることを考えると、この漫画本という「読書資料」を無視すべきではありません。([2],p.76)

3.指でガイド

指で文字列を追うイラスト

私は日本語の本ならばすばやく読み進められますが、英語が苦手で洋書を読む事は苦手です。 すぐにどこまで読んでいるかわからなくなったりします。

これは読書ページの脳の活性化の項目で触れているのですが、単語とそこで使われている状況に応じた意味をつなげるための脳の回路がまだ発達しきれていないからだと思います。

このような場合、指ガイドがおすすめです。子どもがやるイメージですが、大人でも効果があります。

『指やペンのガイドがあると、目を動かしやすくなるのです。その効果を活用し、自分が読むスピードよりも指やペンを動かすスピードを速めにしていくと、速読の訓練にもなります。』([3], p.124)

1か月で300冊? -プロの行う本の読み方とは

ここでは、インプット(=情報を蓄積するための読み方)を紹介します。

1.速読

本の読み方には『熟読』『普通の速読』『超速読』があると言われています[4]。
熟読は文字通り、一行一行しっかり読んだり、重要なところに線を引いたりしながら読むやり方です。1ページにおよそ1分ほどかかります。

最初に、TVでもおなじみ、第一線で活躍されておられるジャーナリストである池上彰さんと、佐藤優さんの共著である、『僕らが毎日やっている最強の読み方』から、速読法を引用します。

超速読

『「超速読」は1冊を5分程度で読むやり方で、「はじめに」の1ページと目次を読み、それ以外はひたすらページをめくります。このとき、文字は読まずにページ全体を見るようにし、目に飛び込んでくる見出しやキーワードを頭に焼き付けます。 そして結論部分の1ページを読みます。そうすることで、本全体の印象をつかむと同時に、熟読に値する本かどうかを見極め、その本で読むべき箇所のあたりもつけます。』([4], p239,240)

つまり、ほとんど試し読みのようなものです。内容を理解するというよりは、その本が熟読に値するかを見極める読み方です。これは後述しますが論文などで情報をまとめる際に極めて有効な手段だと思います。

速読

『「普通の速読」は1冊を30分程度で読むやり方で、文字をできるだけ速く目で追い、1ページ15秒で読むことを目標にします。まず「はじめに」と目次、そして「おわりに」を読み、 その本のどこが重要かのあたりをつけ、その箇所は1ページ15秒、それ以外は超速読で済ませます。』([4], p240)
速読をしているイラスト

このとき注意すべきなのは、本の内容を100パーセント理解するという完璧主義をなくすことだそうです。大雑把に把握すれば良いのです。

一般的に学校の論文が苦手な人は、本を読みなれていないため、熟読に値するかも分からないのに、1冊に時間をかけすぎてしまいます。そうやっていると、何冊も読むのが辛くなり、結局ほとんどろくにテーマ全体を理解せずに、他人の文章の切り貼りだけで字数だけを埋めていくという過ちを犯しがちです。

また、速読(飛ばし読み)に関して、『東大家庭教師が教える頭が良くなる読書法』によれば、

①「質問に対応するところだけを読む」
②「著者が示した要点だけをくり返し読む」
の二つの方法があるそうです。

①について

「この本で何を知りたいのか?」という質問をあらかじめ自分で立て、その回答の部分だけを読んでいく方法です。今の自分にとって必要な箇所だけをとりあえず読んでいく。 その本に書かれている情報の中で、すべてではなく一部だけを取り出すという読み方です。([4], p.99-100)

②について

各項目や単元の最後に「まとめ」として提示されている箇所、あるいは、文章中で太字になっている箇所などをくり返し読んでいく方法です。 その本の内容の大枠をつかみたいという場合などには、こうした飛ばし読みがオススメです。([4], p100)

これら2つは、上記速読法の、「重要なところにあたりをつける」ための具体的な方策になると思われます。 このように速読を極めていくと、本当に大事なところに目が行くようになり、質の高い情報を集める事が出来るのだと思います。

2.情報の保存

次に集めた情報を保存していく方法の紹介です。上手く情報を整理・保存していると、何か文章を書く際にすぐに引っ張り出せるし、また、その整理する過程において脳にもある程度情報が保存されるため、現実での対面的なコミュニケーションでも役に立つでしょう。

①メモに残す
「役に立たない読書」の著者である林望さんは、読んでいて上手いなあと感心した文章に出会うと、カードにメモしておくのだそうです。

メモ帳のイラスト
「書き込む」ということは、記録をすることです。そうした記録は自分を観察するためのデータになります。たとえば、くり返し読むときに、「印象に残ったところ」や「感想」や「意見」を集中的に見ていけば、自分が日ごろ何に注意を向け、どんなことを感じているのかを知るきっかけになるでしょう。 ([1], p113)

書きこむことで読書がただの作業でなくなり、自分の中(脳)に落とし込んでいけるのです。

②本をバラす(*自分で購入した本のみ)
学生は普通の本だけでなく、参考書や問題集などを読むことも多いでしょう。そんなとき、効率よく勉強するために、本をバラバラにすると読みやすいです。
*当たり前ですが、借りた本では絶対にやらないで下さい。犯罪です。

赤本を自分流に1冊にまとめている男の子

本に直接書き込んだり、折り目をつけたり、ちぎったりなどして、自分が使いやすいようにカスタマイズすると、その冊子は自然と自分に馴染んでくるものです。

自分に本が馴染むという意味では、電子書籍よりは紙媒体の本がはるかに優れていると私も思います

3.その他

① 背表紙だけ読む
まるで作家気分。タイトルからストーリーを創作してみる。
何かを作るためや、書くために本を読む人がいるでしょう。そんな人たちの手助けとなる創作意欲を引き出すための読書法として、背表紙だけ読むという読書法があります。

タイトルは、見ているだけで刺激になります。「このタイトルだったら、こういう内容で私なら書くな~」と、アイデアをひねり出すきっかけにしています。([3], p108)
本の背表紙

本のタイトルは、タイトルだけではどんな内容の本か分からないものも多いです。
最近話題の「君の膵臓を食べたい」も、題名だけではなんのことかわからないでしょう。そんな題名から、どんな内容の本だろう、自分だったらどんな話をつくるだろう、と考えることが、創作のヒントになるということですね。

②新聞も読んでみる
もうすでに本を読んでいるという人は「新聞」に挑戦してみてもいいかもしれません。
新聞は、世の中を“知る”ための最良のツールであり、読むことで、世界の動きを俯瞰的にざっとさらうことができます。プロの読み方では

新聞は基本的に飛ばし読みで、見出しを見て読むか迷った記事は読まないが原則です。

朝刊の文字数はおよそ20万字(およそ新書一冊以上の量)と言われており、じっくりと読んでいれば時間がなくなってしまうからです。

大切なのは、新聞にかける時間を決め、

①「見出しだけで済ませる記事」
②「リード(見出しと本文の間に書かれてある文章)まで読む記事」
③「最後の本文まで読む記事」

の三段階に分けて読むことです。([4],p80)

新聞は「大事な大きなことから」から「付属的な小さなこと」へという「逆三角形」の構造で書かれている([4],p.80)

読みなれた人へ

読書好きの皆さんは、面白い本をつい一気に読んでしまうことありませんか?
私は本の続きが気になりすぎて、ご飯も食べずに何時間も読書をした経験があります。
しかし、

ずっと読んでいると、だんだんと体のほうは疲れてきます。エネルギーも下がっています。([3], p106)

とあるように、確かに何時間も活字を読んでいると目は疲れ、 同じ態勢なので身体も疲れてきます
そうなってくると、なんとなくで読み進めてしまい頭には内容が残りません。 何度も戻って同じページを読む、という事態も起こります。
本を読んで疲れた時は、どれだけ続きが気になっても一度休み、脳と体をリフレッシュさせることが大切でしょう。

両手を上に上げ、あくびする様子

至高の読書法

ここまで、目的別にいくつかの読書テクニックを紹介してきましたが、最高の読書法は

好きな本を自由に楽しむ事だと言えるでしょう。本を好きな人はテクニックに頼らずとも、本をどんどん読んでいます。

好きな本を楽しむ=「自由読書」は言語教育の中で最もパワーがあると言われています(→
読み書き能力のページ)。また、「自由読書」をするかどうかは、学力の習得にも意義を持っています。

「自由読書」をすれば、それだけで最高レベルの学力が得られるというのではありません。むしろ基礎を作り上げることによって、より高度な学力が獲得できるというものです。「自由読書」をしないと、高い学力を得るのがとても困難になります。([2],p14)。

好きな本を読んでいるところ 自由に本を楽しめば、娯楽として充実した時間がおくれるだけでなく、充実した学力も身につくわけですね。

番外編-高校生は何のために本を読む?

高校生の現状を把握しておきます。 以下は、学校で行った『なんのために本を読んでいるのか』のアンケート結果(約300名分)です。

読書をする理由
もとから好き11%
娯楽として43%
何かを得るため15%
強制されるから23%
なんとなく8%

『娯楽として』が一番多いですね。
二番目に多いのは『強制されるから』です。

先述した通り、プライベートで本を読む生徒は半数以下です。 読まない生徒は朝読などで、「読まされる」と否定的に捉えている事になります。読書を"強制する"事については賛否あると思いますが、形が強引であっても、"何もやらない"よりは読書の効果(⇒読書ページ※難解につき注意)を得られている事になりますし、それをきっかけに読書が好きになる人が出現すれば、なお良い事だと思います。

また、『何かを得るため』の内訳として「読解力を鍛えるため」「漢字の勉強になる」「国語力をつけるため」など、 自分の能力をあげるために読んでいる人が多いことが分かりました。こういった方々が将来、「読書自体が好き」というところまで行ってくれる事を当サイトでは願っています。

参考文献
[1]役に立たない読書 林望
[2]読書はパワー スティーブン・クラッシェン 訳長倉美恵子・黒沢浩・塚原博
[3]東大家庭教師が教える頭が良くなる読書法 吉永賢一 
[4] 僕らが毎日やっている最強の読み方 新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身に付ける70の極意 池上彰、佐藤優
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